買い出し
夏実ちゃんだけじゃなく、オレからも絵本を借りるってことは…とくに夏実ちゃんとどうこうって感じでもないのかなー…?
「ゆみちゃんがさ」
「えっ?ゆみちゃん?」
だれ?
オレがキョトンとした顔をしていると、
「あー、いとこね。そのゆみちゃんが絵本大好きで特にネズミのシリーズ気に入っちゃってさ。ほら、絵本ってなかなかの金額するから…ね?」
と教えてくれた。
あー…なんだよ。いとこか。
「なるほどねー。たしかにたくさん揃えるのは、高校生には絵本高いかもなー。」
「でしょ。あ、そういえば直斗は、夏実ちゃんのことどう思ってる?」
と、みさきはいきなりの質問をぶち込んできた。
…
ずっと好き好き言ってるのもキモいやつだよね。なので…
「あー、幼馴染だよ。」
と淡白に答えた。
「そっか。幼馴染か。」
「うん。」
「あー、そうなっちゃうかー…」
「なんで?」
「だってさ、夏実ちゃんって…さ…あ、やっぱりなんでもない」
「はぁ?なんだよ。言ってよー、気になるじゃん」
…
「あのー…夏実ちゃんって…絵本好きだよねぇ。」
と、はぐらかされた。
…
みさきは、いったいなにを言いたかったんだろう…。
みさきと夏実ちゃん…二人はいったい…
…
みさきの家に来ればなんかヒントあるかなぁって思ったけど、猫といとこのことしかわからなかったなー。
でも、みさきは夏実ちゃんからいつどのタイミングで絵本を借りたのだろう…?
やっぱり…二人は、いつのまにか密な関係…なの?
彼女は、柚乃さんだけど…じゃあ夏実ちゃんって…
…
よくわからないまま時は流れていた。
そして校外学習の班決めが今、教室で行われていた。
そしてオレは春野さんと同じ班になった。
春野さんとは、中学から一緒だし学園祭でも実行委員としてともに頑張った仲だ。
なんか、春野さんは話しやすい…のかな?自然とよく一緒になるんだよな。
オレたちが校外学習に行くのは、大型遊園地だ。
まずどこからまわるって話をしていたらもう、心はその遊園地にワープしているくらい心が躍り出す。みんなのテンションも爆上がりだ。
これは、当時みんなテンション凄そうだな…。
夏実ちゃんたちは、もう校外学習行ったって言ってたな。
お土産もらったし、オレも夏実ちゃんにお土産買って行こっと。
日帰りだし、たいして準備するものもないけど親睦を深める為にみんなでおやつの買い出しに行こう‼︎となり放課後みんなで買い出しにやってきた。
おやつを買うだけなのに、なぜかオレたちは雑貨屋さんに来ていた。
「あー、これかわいい〜♡」
「これも〜♡」
とはしゃぐ女子。
「あー、かわいいねー」
と合わせる男子。
グループデートかよっ‼︎
みたいな状態だ。
?
なんか…なんか視線を感じる。
⁉︎
あれっ?
夏実ちゃん⁉︎柚乃さんも。
「あ、夏実ちゃん!柚乃さんも」
「あ、ども!何?グループデート?」
柚乃さんが覗き込んだ。
「そうじゃなくて…校外学習の買い出し。」
「あー、仲良いね」
「うん。そうかも。」
オレが柚乃さんと話していると夏実ちゃんは、じっとオレたちの班の人たちをみていた。
それに気づいて春野さんがこっちに来ようとした途端、夏実ちゃんは慌てるように
「それじゃあ、また。行こう柚乃ちゃん」
と行ってしまった。
どうしたんだろう。夏実ちゃん…
「あれ?今のって幼馴染の?」
「そう。夏実ちゃん」
「ふーん」
と言いながら春野さんは、夏実ちゃんの後ろ姿をしばらくみていた。
続く。




