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53.結論

 ルヴィン王子が街から去って行くのを見届けた私たちは、一度ギルドに戻ってきていた。ギルドの執務室にて、ギルドマスターが満足そうにしながら頷く。


「これで王子もこの領地に来ることはないだろう。なにせ、あそこまで大恥をかかされたのだからな」


 確かにあれは見事な大恥だった。一国の王子があそこまでの恥をかくなんてそうそうないことだろう。まあ私を追い出してから、あの人は恥の多い人生を送っていたのであろうが。


「君たちの戦い振りを眺めていたが、見事なものだった。特に今回はウェイド辺境伯もシセに良いところを見せることができたのではないかね?」


 ギルドマスターがそう言うと、ウェイド辺境伯は恥ずかしそうにしながら頭をかく。


「ああ。なんていうか、今までシセにばっか頼っていたから……少しは役に立てたようで俺も嬉しい」


「そんなことないですよ。今も、以前も、変わらずウェイド辺境伯にはお世話になってばかりです」


「全く、シセは本当に優しいな」


 優しいと言われても、私は本当にそう思っているのだからそれ以上のことは言えない。でも、ウェイド辺境伯のこの姿勢は本当にいいところだと思う。


 あの傲慢で愚かな王子とは違って、よっぽど人としてできている。


「ともあれ、シセが戻らないことによって宮廷はてんてこ舞いになるだろう。だが、それは王子自身の、国家の愚かな判断だ。金で解決できるのならば、大人しく金を出して質素に生きれば良いことだ」


 当たり前ではあるけれど、ギルドマスターは国家に対して本当に厳しいな。まあでも、それくらいの方が、王族にはちょうどいいのかもしれない。


 私も上手いこと利用され続けてきた毎日から脱出できたことを喜ぶべきなのだろう。


「ところで、例の魔族対応の件だ。こちらも伝えておこうと思う」


 ギルドマスターは手を組んで、ふむと息を吐く。


「結論として、引き続き対応することにした。例の一件以降、罠の可能性だってありえる。それこそ、一定以上の金銭を報酬として回収することも考えた。そうすることによって、迂闊に向こうも依頼を出せなくなるからだ。けれども……それ以上に先方の領民たちが苦しむことになるのは我々も避けたい」


 ギルドマスターはメガネをくいと上げる。


「つまりだ。我々は100%の善意の下動くこととし、引き続き各地へと支援を続けることにした。少なくとも、ノーブル伯爵領以降我々の評価は上がっている。結果として領地拡大まで繋がったが、それも悪いようには捉えられていないからね」


 なるほど。それならばやらないわけにはいかないだろう。しかし領地拡大に関しては何かしら反感を買いそうではあったが、どうやらそうでもないらしい。


 まあ大方、ノーブル伯爵側が何かしら他貴族からも思われていたのだろうが。



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