50.そろそろだ
というわけで、翌日私たちはギルドにて待機をしていた。ギルドマスターが御者と連携して、ギルドにて落ち合うようにセッティングしてくれたようだ。
放置していればウェイド辺境伯邸にまで行っていたと思うが、それだけは大事になりすぎるから回避したいという考えである。とはいえ、こんな田舎のギルドに王子が来る時点で大事だとは思うけれど、まあそんなことを気にする余裕なんて私たちにはない。
ギルドの執務室にて。ギルドマスターは嘆息しながら言う。
「対応は一旦、シセに全て任せる形にしようと思う。私が出ても構わないが、そう簡単に納得してくれるとは思えん。ありえないと思うが、権力を振り回して全員処刑だなんてことも回避したい」
それもそうである。宮廷内でほぼほぼ権限はないと思われるが、腐っても王子なのだ。万が一のことを考えるとギルドもそう動くことはできないだろう。
「ただし、向こうが二度と来られないと思わせるのが第一優先だ。そのため……ウェイド辺境伯には表に出て貰う」
「俺が出るのか?」
「ああ。君たちの関係性は分かっているが、今回は一度『二人は婚約をしている仲』ということにしてもらう」
婚約をしている仲、か。確かにそこまでされると、ルヴィン王子もなかなか入ってくる余地はなくなるだろう。
ウェイド辺境伯は頭を掻きながら笑う。
「いいけれど……俺たち年の差がありすぎる気が……」
「問題ないだろう。お前は好みじゃないかもしれないが、王族貴族間ではこの年齢差はおかしくはない。すまないが、そういうことにしておいてくれ」
好みじゃない……そればかりは少し引っかかったので、ウェイド辺境伯に聞くことにした。
「私は好みじゃないですか?」
その言葉を聞いた瞬間、大慌てでウェイド辺境伯が訂正する。
「違う違う! シセはとても良い子で、魅力的だとは思うよ。なんていうか、俺はどちらかと言えば、家族としてそう思っている」
全く……少しばかり、この年齢差がこそばゆかったりするな。でも、嬉しい。ちゃんとウェイド辺境伯がそう言ってくれて、私は満足した。
「それじゃあ、今回限り……よろしくお願いいたします」
「ああ。こっちこそこんなおっさんで申し訳ないよ」
そんなやりとりをしていると、ギルドマスターが苦笑しながら呟く。
「案外お似合いかもな。まあ、それはそうと」
ギルドマスターがちらりと時計を確認する。
「そろそろだ。準備したまえ」




