28.報告
魔族討伐を終えた私たちは、冒険者ギルドへと報告にやってきていた。個室に通され、私とウェイド辺境伯とエリック、正面にはギルドマスターが座っている。
ギルドマスターはくいとメガネを上げて、大きく息を吐いた。
「ひとまず、魔族の討伐を感謝する。それ以降近辺の魔物もパタリと大人しくなったという報告を多数受けている。これは大きな戦果だ」
と言いながらも、ギルドマスターは「しかし」と言う。
「他領でも、似たような現象が発生しているのか確認を取ってみた。率直に言えば、起こっているというのが事実のようだ」
ギルドマスター側でも調査をしたようだが、やはり他の領地でも同じような現象が発生しているようだった。やはり魔族が言っていたことは本当だったらしい。
「魔族が何を企んでいるのか、未だ正確な情報は不明だ。しかし、我々が最も速く対処できた存在として、他領にも支援をしていきたい所存である」
ギルドマスターはちらりとウェイド辺境伯を見る。
「もっとも、この仕事はウェイド辺境伯領の名誉を挽回する意味もある。王都からの悪評よりも、更に良い話を広めようという魂胆だ」
その話を聞いて、あははと笑うウェイド辺境伯。もう笑うしかないといったところなのだろう。
私はギルドマスターを見て言う。
「私も手伝います。他領と言っても、転移魔法さえあれば時間はカットできますし、万が一のことがあっても、その場で寝ることさえできれば結界の維持は可能です」
ギルドマスターはその言葉を聞いて、目を見開く。
「ありがたいが……しかし君は結界の外に出ても維持ができるのか?」
「できます。ただし、かなりの負担がかかるので長期間はできません。転移魔法に使う魔力もバカにならないので、どちらにせよそこまで期待はしないでいただきたいですが」
ギルドマスターはふむと頷く。
「ならば短期決戦だな。ウェイド辺境伯やエリックにも、引き続き同伴を願いたいが構わないか?」
ウェイド辺境伯とエリックは、こくりと頷く。
「もちろん。シセの手伝いもそうだし……俺の名誉を挽回するためにね」
「当たり前じゃないっすか! 師匠とならどこでも行きますよ!」
意気揚々としている二人を見て、私は少し笑ってしまう。
全く、本当にいい仲間ができたものだな。
私も精一杯頑張らないと。
ギルドマスターはにやりと笑って言う。
「よし。ならば明日からノーブル伯爵領へと向かってほしい。ここから、右隣の領地だ」




