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目覚めた世界は異世界化? ~目が覚めたら十年後でした~  作者: 白い彗星
第二章 異世界っぽい世界で学校生活
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第91話 サキュバス能力を活用したい



「……うぬ?」


 ぎゃいぎゃいと騒いでいたが、ふとここで、ルーアは重大なことに気づいてしまう。

 自分で喋っていて、その言葉の中で、気づいてしまったことがある。


 この力を使えば……目の前にいる達志の好きな相手も、わかるんじゃないだろうか。

 同じクラスメイトであるリミは、直接聞いてはいないがおそらく、達志のことを好いている……んじゃないだろうか。これまではガードが堅かったが、今は緩そうだし……今度夢を覗いてみよう。


 それに、他にも気になる相手はいる。数日の付き合いであるが、達志を取り巻く女性環境には、目を見張るものがある。


 なので……人助け精神として、なにかしら手がかりを握っていても、いいんじゃないだろうか。そう、これはクラスメートのため。

 断じて、自分の興味的欲求を満たすためではない。


「ふ、ふふ……ぐふふふ……」


「笑い方キモいんだけど」


 急に笑い出したルーアに、こいつ何か企んでいるな……と達志は直感する。それがなにかはわからないが、どうせろくなことではないのだろう。

 それを指摘されて、ごまかすようにルーアは軽く咳ばらい。



「ま、まああれですよ! 好きな人と、その人が望んでいることを、夢の中で叶えさせてあげる……これって、とても素敵なことだと思いませんか?」


「いいこと言ってるみたいだけど、さっきえっちな夢とか言ってた口でそんなこと言っても説得力ねえよ。目ぇキラキラさせてもダメだからな」


 ごまかしの台詞がぺらぺら口から出ているようだが、そんなもので達志はごまかされはしない。

 むしろ、まるでなにかをごまかすような仕草に、疑いが深くなるばかりだ。


「お前、妙なこと考えてない?」


「……ソ、ソンナコトナイデスヨ?」


 ……わかりやすすぎる。じっと見つめ、さりげなく達志は話題を誘導する。


「ふぅん、けどすごいよな。ルーアにかかれば、どんな相手でも丸裸ってわけだ。すごいすごい」


「ぅえへへへ、そうですかね? でも、誰でもってわけじゃないんですよ。精神的に強い、ガードの堅い相手とかは無理ですね。ま、人は眠ると精神的なガードは緩くなるので、そんな人は滅多にいませんが。

 あ、でもリミなんかは、氷の女王様と呼ばれているだけあって、全然隙がなくて。でもタツが来た今ならリミのガードもゆるゆるに……あ」


 少し褒めただけで、驚くくらいにペラペラしゃべりだした。気付いて、口を閉じたが、もう遅い。

 こいつリミにもなにかするつもりだったか……間抜けは見つかったようだ。


「……で?」


「……夢を見せる相手には、こちらから相手の頭の中に干渉しないといけないので。リミの頭の中に干渉しようと思ったら、こちらが氷漬けにされてしまいます。

 強い魔法使いとかにも無理です」


 達志の眼光を受け、ルーアは縮こまる。

 どうやら、ルーアの行為を防ぐには、強靭な精神力が必要らしい。


 それに、強力な魔法を持つ者の精神に入り込むのも、リスクが高いのだとか。


「はぁ……リミや俺に、そういうことすんなよ」


「は、はぁ……あ、でもぉ、夢なんで覚めたらすぐに忘れちゃいますし。私以外の記憶には残らないので、ご心配なくぃててててて頭ガァアアア!」


 てへぺろ、と懲りない様子のルーアの頭を、拳でぐりぐりしてやる。

 徹底的にわからせるべきだろうか。


 ルーアは涙目になりながら、「しませんしません」と言っている。

 夢なら起きたら覚める……しかし、起きた直後は覚えている。えろい夢を見せるのがルーアの仕業なら、その段階でルーアの仕業だとわかるのだ。


「ったく。

 ……ところでルーアって、ロリ体型なの気にしてんじゃん? そんなにロリ体型を気にしてるなら、ずっとその姿でいればいいのに」


「うぅ、はげちゃう……」


 とりあえず、頭ぐりぐりはやめてやる。

 ルーアは、ロリロリ言われるのを気にしていた。しかし、この体型ならロリなんて言われるはずもない。


 そう、ずっとこの姿を保てばいいのではないだろうか。

 さすがにこの大人バージョンは刺激が強すぎるが、もしも自在に体型を変えられるというのなら……高校生の平均体型にくらいなら、楽に変身できるだろう。


 だが……


「……この姿……というか変体状態を維持するのは、体力を必要とするんですよ。意外ときついんですよ、今の姿」


 若干プルプルと震えるルーアは、達志の提案は無理だと答える。


 サキュバスの変身は体力が必要で、長時間は無理……それは同時に、いつも見ているロリルーアはサキュバスの能力を使っていない、正真正銘本来の姿ということになる。


 それを聞いて、今まで接していたのは、かりそめの姿ではなく本来の姿だったことに、どこかほっとした様子の達志であった。


 そんなわけで、元の姿に戻ることに。


「ふぅ、いやぁ……やっぱりこの状態が一番楽ですね! 自然体が一番!」


「今サキュバスの能力全否定したな」


 サキュバスの変身能力やら、夢の中で怪しげなことをしてるんじゃないかとか……その一幕を終えて。

 大人バージョンのえろえろボディから元のロリボディに戻ったルーアは、ふっと一息ついて、お茶を飲んでいる。


 ちなみにこのお茶、自分のものではない。自分のものはすでに飲んでいる。

 これは、達志に出してくれたもののはずなのだ。だが、そこは突っ込むことはなかった。


 ちなみに現在は、ロリルーアのサイズに合ったワンピースを着ている。先ほども、大人バージョン用のワンピースを着ていたし、ワンピース好きなのだろうか。

 だが今着ているのは黒一色であり、残念ながらセンスの欠片もない。さすが中二病。

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