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そろそろ常備兵力も少しずつ増やさねばな

 さて、扇谷上杉定正の救援要請を受けて相模へ向かい、実蒔原の合戦で勝利をおさめた俺たちは戦場が武蔵の河越周辺に移ったこともあって伊豆に帰還した。


 ちなみに風魔たちはちゃっかり敵の陣地に残された食料などをかっさらってきたようだ。


「流石に風魔は現地調達も手慣れているな」


 俺が苦笑しつつ風魔小太郎にいうと


「そうしなければ生き延びることはできませんでしたからな」


 と真剣な表情で答えた。


 まあ、足柄周辺の土地を考えればそうなるのも当然ではある。


 史実においては将軍足利義政の息子の足利義尚が六角征伐の途中で病死すると10代将軍として足利義材(義稙)が将軍として擁立されたが、明応2年(1493年)の明応の政変で細川政元・伊勢貞宗らによって追放されると、11代将軍として擁立されたのは堀越公方足利政知の子供である足利義澄で、それ以前の延徳3年(1491年)4月の父である足利政知死後に、堀越公方に決まっていた潤童子と継母を殺して、事実上の公方となった足利茶々丸を討伐せよという理由で、北条早雲は伊豆へ向かっているが、それ以前は足利義尚に従っており、将軍足利義政やその弟の義視その息子の足利義材に仕えていた時期もあるといわれる。


 要するに将軍が代変わりするごとに仕える相手が変わっているわけで、21世紀の会社で言えば社長が変わっても働く部署は変わらないようなものだろう。


 ただ将軍が死んでその後を引き継いでいるならまだいいのだが、足利義政などは将軍職を譲ったものの政治的権力をすべて息子などに渡したわけではないからこれまた話はややこしくなる。


 もっとも、基本的に北条早雲は伊豆討ち入りまでは中央の意向に沿って行動していたはずである。


 ただし、実際に下向した先の駿河や伊豆では将軍の意向などというものはほとんど意味をなさなかったこともあって、今川と扇谷上杉に対して両属状態のような立場であったと思う。


 そして現在の俺は実際にそれに近い状態で実蒔原の合戦での功績で伊豆に関しての所領安堵の書状を扇谷上杉定正より得たことで、本来山内上杉や堀越公方がおさめていた伊豆に関しての権限を今川と扇谷上杉の双方から認められて、幕府による伊豆守護の任命もあってようやく中央でも地元でも伊豆の国主は俺という認識になったわけだ。


 もっとも本来の伊豆守護である山内上杉やそれと歩調を合わせている甲斐の武田とは完全な敵対関係になったわけでもあるが。


「西と東はいいとして今度は北の甲斐の動向を気にせなばならんかな。

 まあ東も安心してばかりはいられんが」


 実際に三浦が扇谷上杉定正から離反しているというのは大きな痛手であるはずだからしばらくしたらまた救援要請が来るかもしれない。


 そして国元に戻って一番最初に行ったのは雇った流れ者たちの継続雇用だ。


「お前たちこのあと行く宛もないのであればこのまま俺のもとで働き続けぬか?

 東海道の関所や道そのものの警備などにも人手がいるのでな」


「そいつはありがたい。

 ぜひやらせていただきやしょう」


 彼らを放り出せば他国に雇われるなり、野盗山賊に成るなりするだろうし、俺が軍事的に行っていることを他所でやられてもいいことはなにもない。


 そして三浦に引き続き小田原の大森もいつ離反するかわからない状況であれば扇谷上杉定正の信頼とすぐさま駆けつけることができる常備兵をなるべく得ておくに越したことはないだろう。


 扇谷上杉定正からみれば伊豆に新たな配下ができたという認識に過ぎないかもしれないが、大森三浦が離反した場合に頼れるのは俺だけという状況になる可能性が高いからな。


 ただ警備警察的に使うとしてもそのコストが大きくなりすぎるのも問題なので長宗我部の一領具足のような半農半武の屯田兵的な存在の兵士も育てていくべきではあるだろうが。

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