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実蒔原の合戦で勝利を収めたぜ

 さて、銭や米で500人の流れ者を雇い、彼らに槍を与えて兵士とし、風魔の100名ととも俺は扇谷上杉定正の拠点である糟屋館へ向かっている。


 行軍訓練をしているわけではないので隊列を組んだりするのは無理だがあるきなれているのだろう彼らの足はそこそこ速いのでその点でまだ助かる。


 ちなみに俺の留守の間は大道寺重時が俺の代わりに書類仕事をすることになるがあいつなら大丈夫だろう。


 風魔小太郎の配下の者はともかく流れ者たちにやる気はあまりなさそうではあるが、合戦が終わるまではちゃんと飯が出ると言うこともあって脱落者は今のところいない。


 伊豆もそうだが相模も山間の場所が多いので決して楽な道ではないのだがな。


 そして扇谷上杉定正の本拠である糟屋館に到着した。


 糟屋館で俺を迎えたのは上杉定正の兄で養子の上杉朝昌であった。


「うむ、よく来てくれたな。

 ささやかだが宴の用意はしてある」


「ありがとうございます。

 できれば俺とともに来た兵たちにも飯や酒を振る舞ってやってほしいのですが」


「うむ、それもどうりであるな」


 ということで俺は着到状を提出した後、糟屋館で部下たちは糟屋館郊外の実蒔原(さねまきはら)で酒宴によってもてなされた。


「して、上杉顕定などはどの程度の兵でありましょう」


「うむ、太田資康や三浦高救とともに1000騎で出発したと聞く」


「1000騎でございますか。

 刑部様(上杉朝昌)と私の兵を合わせれば十分迎え撃てそうでございますな」


「うむ、修理大夫(上杉定正)も河越を出立して後を追っているとのことだ。

 私と修理大夫がそれぞれ200騎を率いて戦うことに成るであろうから問題はないな。

 もしもそなたの援軍が間に合わねば七沢城に籠もって時間を稼ぐつもりであったが」


「では、我々が迎え撃っている所で背後から奇襲攻撃をかけると行ったところでございましょうか?」


「うむ、そのとおりだ」


 そして実蒔原で何日か過ごす間に近くの木を切り倒し先を尖らせるように削って鹿砦を築き、構えた槍を揃えて上げ下げし槍衾を作れるように軽く訓練した所で敵方が到着して合戦となった。


 敵の先陣は太田資康で父の仇討をいざ討たんとばかりに騎馬を以って勢いよく突っ込んできた。


「慌てるな、槍の穂先を相手に向け構えを崩すな」


 応仁の乱以降には馬の上で使う太刀から降りて使う打刀に変わったのも訓練された長槍を扱う歩兵で馬の足止めが容易になったというのもある。


 太田資康の部隊を弾き返した後は三浦高救の部隊も攻撃してきたがこれもなんとか弾き返した。


 そして後方に陣取っていた上杉顕定の本陣を上杉定正の部隊が急襲したことで敵は総崩れになった。


「勝ったな」


 歩兵は騎馬ほどには機動力はないので追い討ちをかけるのは無理だがまあ十分だろう。


 上杉定正と上杉朝昌が追撃を行ったことで顕定軍は潰走したものの大将首をとったりはできなかったようだ。


 こちらの被害も軽微だったしな。


 上杉定正はそのまま川越城へ戻り、上杉朝昌が戻ってきたのを確認して軍忠状を提出した後に俺たちは伊豆へ帰還したのだった。


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