駿河に下向して今川家のお家騒動を仲裁し上杉政憲と太田道灌を撤兵させたよ
さて、今川義忠が討ち死にして、残された嫡男の龍王丸は生まれたばかりとあって、三浦氏や朝比奈氏などが義忠の従兄弟である小鹿範満を擁立し、堀越公方足利政知と扇谷上杉家が介入し、犬懸上杉家の上杉政憲と太田道灌がそれぞれ兵300を率いて駿河国へやってきたという状況をまずなんとかするために俺は兵千を率いて急いで駿河へ向かった。
ちなみに急ぐ必要もあるし、美濃より東はまだまだ戦乱が続いていて危険でもあるので嫁達は京に残してきてる。
龍王丸派にとって情勢は非常に不利で、今のままでは母親とともにいつ殺されてもおかしくないからな。
そして駿河に到着した俺はまず上杉政憲と対談した。
「和睦に反対すれば関東管領たる山内上杉家が攻撃することになるでしょう。
更に古河公方の足利成氏も黙っておりますまい」
そして太田道灌とも対談を行った。
「和睦に反対すれば関東管領たる山内上杉家が攻撃することになるでしょう。
更に古河公方の足利成氏も黙っておりますまい」
ついでに将軍の御内書を提示しつつ、西は戦乱が収まっているのでいざとなったらば細川が動くかもしれないということや大阪で木綿や絹・生糸などが荷止めされるかもしれないことを匂わせておく。
犬懸上杉家、扇谷上杉家ともに関東管領山内上杉家の分家であり、同族でありながらもその仲は決して良くはないうえに、古河公方である足利成氏は小山氏・結城氏の軍勢と共に遠征して、伊豆の堀越公方を攻めたが、敗れて古河城に撤退したばかりであって、また攻撃がないとは限らないのである。
もっとも幕府の帰順命令に、小山氏・小田氏等の有力豪族が応じるようになったため、上杉勢の長尾景信が古河に向けた総攻撃を開始すると、足利成氏は本佐倉の千葉孝胤の元に退避したが、上杉勢も古河城に入るだけの力がなく、現状は足利成氏が古河城への帰還や堀越公方への再度の攻撃を虎視眈々と狙っているところでもある。
「わかりました龍王丸が成人するまで範満を家督代行とすることでこの度は撤兵いたしましょう」
足利成氏の攻撃を受けたばかりのこともあってか上杉政憲は比較的素直に撤兵しそうだ。
「お互い色々苦労しますな」
「たしかにそれは言えますな」
太田道灌は俺に境遇で感じるものがあったのかそう言った。
まあ足利義政に振り回されている俺と、当主がころころ代わって家中がまとまらない扇谷上杉家に仕える彼に気苦労が多いのは確かだしな。
両派は浅間神社で神水(お神酒)を酌み交わして和議を誓ったのちに、家督を代行することになった範満が駿河の今川館に入り、龍王丸は母北川殿とともに焼津の小川城に身を寄せ、上杉政憲と太田道灌は撤兵した。
小鹿範満は犬懸上杉政憲の娘を母としており以前から親密な関係にあったので当面は今川の当主代行を出来るのであればそれで良かったのだ。
無論将軍からの御内書があるからと言って龍王丸の元服後に小鹿範満が権力を手放すとは考え難いが。
とりあえず落ち着いたら大井川の西岸にある掛川の倉真温泉にでも行ってゆっくりするか。




