表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

141/160

甲斐の武田を使って上杉の行動を牽制しつつ鎌倉五山の僧侶を中央への使者として出したよ

 さて、俺は岩付城に入って様子を見ているが、山内上杉は現状ではまだ動いていない。


 それは俺がすでに甲斐を制圧しているため、武蔵に全兵力を投入すれば横から武蔵そして上野に攻め込まれる可能性があるからと、越後守護代の長尾能景や揚北衆が上杉房定に対して不満を持っていることもあるだろう。


 そして古河公方の元へ赴いていた風魔小太郎が戻ってきた。


「やはり武田を先に潰して甲斐を制圧しておいて正解だったな。

 古河公方の方はどうだろうか?」


「再び鎌倉に環住し、関八州の秩序を取り戻すことができればこれ以上ないとのことです」


「ふむ、山内上杉顕定も古河公方との結びつきを強化し、古河公方から養子を迎えて後継者とし、関東管領を古河公方の「御一家」として一体化しようとしているようだが、やはり現状には不満もあるようだな」


 古河公方もできるならば鎌倉に戻りたいというのが本音で、いつまでたってもその様子を見せなかった山内上杉にあまり良い感情を持っていないのは事実だろう。


 俺としても現状では国人を一時的に被官に組み入れても、何かあれば上杉などになびいて裏切り、また兵を出さなければならない状態になっているだろうし、城を落としても代官を派遣して直轄領にするという事もできないので、名目の支配領域は増えているが強固な支配体制であるとは全く言えない。


 俺は使者を送って大道寺重時を玉縄城からこちらへ呼んだ。


「済まないが俺は鎌倉に戻って鎌倉五山の坊主経由で中央と連絡を取ろうと思う」


 俺がそう言うと大道寺重時がうなずいた。


「ああ、それはお前にしか出来ないだろうし、俺はその間ここを守っていればいいのだろう?」


「そうなる、色々大変だが頼むぞ」


「任せておけ」


 俺は大道寺重時と入れ替わりに鎌倉に戻り、鎌倉五山の第一位建長寺へ向かった。


「お初にお目にかかります。

 北条左京大夫長氏でございます」


「うむ、ご用件は何かな?」


「はい、鎌倉五山復興のための浄財の寄付を住職に許可願えればと思うのですが今現在は鎌倉より公方が古川へ追い出されてことによりここ鎌倉は荒れ果てております」


「うむ、その通りであるな」


「鎌倉の栄華を取り戻すには古河公方にお戻りいただくのが一番ではないかと。

 そしてそれを中央の公方様や大御所様にも許可いただければと思うのですが、何分このような状況でもございます」


「ふむ確かに」


「それ故に鎌倉五山の皆様に上洛していただき、私に変わって中央の公方様や大御所様に話をしていただけないかと」


「ふむ、上洛のための費用が問題ですな」


「そのために費用はこちらで用意いたしますゆえご安心を」


「うむ、結構なことですな。

 その話お受けいたしましょう」


「ありがとうございます」


 ここで鎌倉に新たな公方と付属の官僚を派遣してもらうという方法もあるのだが、堀越公方のように誰にも支持されないまま古河公方と上杉がむすびついての全面的な争いになるのも正直困る中央もそれどころではないだろう。


 ともかく鎌倉五山の坊主も鎌倉が行政の中心でなくなったことで大きく落ちぶれて困っているだろうからその辺はギブアンドテイクだ。


 これで相模や武蔵の統治権限が最悪ほぼなくなっても古河公方、改め、鎌倉公方に関東の統治をぶん投げられればむしろ、現状の俺から見れば助かる可能性が高い。


 ただまあ明応地震で鎌倉も大きな被害が出るはずだからそのあたりの対策はしておくべきだろうけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ