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多少揉めたが今川の軍として相模へ兵を出すことが決まったよ

 さて上杉定正からの密使が駿河国守護である今川氏親のもとへやってきて、助力を頼んできた件は取りあえず引き受けた。


 今川の家臣内部にも相模への出兵に利益があるのかと反対するもの者は居た。


「小田原を落とし七沢城も陥落させたとして、我らになんの利益がありましょう」


 彼らは以前にも小鹿範満をおした駿河三浦氏やその分家でもある由比氏などだ。


「小田原が敵の手に落ちた以上伊豆・駿河も狙われるのは必定でありましょう。

 三島を抜かれれば駿府城下まで攻め込まれ田畑を刈られ、城下を焼かれる可能性は十分ありますぞ」


 俺がそう言うと彼らは難しい顔で黙り込んだ。


「む……」


 実際問題として彼らは相模東部の三浦氏と同族であるので、その相模三浦氏も山内派と扇谷派に分かれての内紛状態であるが、だからこそ山内上杉が勝利しても自分たちはそちら側の三浦氏についてもいいしそのまま領地を認めてもらえばいいと思っているのであろう。


 過去を顧みれば実際足利尊氏や北畠顕家なんかはあっさり箱根を通過して、さらに東海道を通過したりしているし、文明3年(1471年)に足利成氏は小山氏・結城氏の軍勢と共に遠征して、伊豆の堀越公方を直接攻撃してもいるから、小田原が山内上杉に抑えられたということは、扇谷上杉だけでなく今川の家臣と見られている俺がいるために駿河が攻撃される可能性は十分あるわけだ。


 なお朝比奈・岡部・庵原なども小鹿範満を押したが、彼らは相模への出兵への反対は無い。


「小田原並びに七沢城をこちらの手で奪還するのが良かろうと思います。

 そのようにすれば敵は駿河までは来れはしますまい」


 朝比奈泰煕がそう言ったので俺はうなずいた。


「ああ、そうすれば駿河まではせめてはこないだろう」


 山内上杉としても河越を放置して伊豆や駿河へ攻めて来る可能性はさほど高くはないのではあるが、敵勢力と直接接触しているような状況は良くない。


 だからこそ相模から山内上杉の勢力を駆逐して武蔵の扇谷上杉が山内上杉の正面に立つようにしないといけないのだな。


「では今回の出兵には朝比奈丹波守(泰煕)殿、福島越前守殿にも助力を願いたい」


「任されましょうぞ」


「うむ安心めされよ」


 この時代だと主君は家臣に対して出兵を強制することができるわけではないのであくまでもお願いするしか無い。


 しかし、重臣クラスであれば千や二千もの兵を出せるわけなので、俺単独で小田原の攻撃を行うよりはずっと楽になるな。


 駿河三浦氏やその分家でもある由比氏などの抑えとして瀬名・関口・新野・入野・小鹿と言った今川の分家を駿河などに残しておけば、彼らも変な動きはしないだろうし、出兵中に政務も滞らないで住むだろう。


 まずは大森憲頼・成頼親子の協力のもとに小田原城を落とさねば。


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