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just angle  作者: 柚希 ハル
7/9

追いつけない、それが悔しい

 

 撮影が終わった。

 ということは、透と同じ現場で仕事をすることはもうない、ということでもある。

 透と会えるのはこれが最後になるかもしれない――

 化粧室で、化粧直しをしながら、はたとそんなことを思った。

 奇跡的に決まった透との仕事。

 仕事で関わったとはいえ、透は有名新人俳優で、すでに雲の上の存在だ。

 また仕事で関われるとも思えない。

 そう思うと、心が少し締め付けられる。

 切ない、というより、悔しい、といったほうがしっくりくる。

 それは一体、どうしてなのだろうか――

 カナはため息を一つ吐いて、目の前の鏡と向き合った。

 不安で、悔しそうな表情だ。何かに焦っているのかもしれない。

 こんな顔で透と会ってどうする。

 ふと、鞄に入ったチラシが目に入った。先日先輩から貰った、コンテストのチラシだ。

 応募するかどうかはまだ決めていない。だがチャレンジしてみるのもいいかな、と思っていた。

 そうだ、あとでこのことを話してみよう。

 透はきっと、いいじゃんと押してくれるのだろう。

 カナは無理やり笑ってみせた。ちゃんと笑えることを確認して、最後に口紅だけ塗り直して化粧室から出る。

 二人だけの、ささやかな打ち上げだ。

 最後なんだから楽しまないと。

 そう思いながら、カナは透との待ち合わせへ向かった。



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