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そのままのキミが好き!  作者: 星名柚花


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15/34

15:カバンで揺れる、フェイクスイーツ

 登校すると、芽衣ちゃんはまだ来てないみたいだった。


「連休中、どっか行った?」

「家族とフランスの別荘に行きました」

「ひゃー! フランスにも別荘があるなんて、さすがだねぇ! いいなー。私、聖華せいかたちと行ったショッピングモール以外、どこにも行ってないよー」

 北園さんたちが教室の後ろでお喋りしているのを見つけて、私はカバンを持ったまま近づいた。


「おはよう、美弦みつるちゃん、聖華ちゃん」


 北園さんは「美弦ちゃん」、姫宮さんは「聖華ちゃん」。

 ゴールデンウィークに一緒にでかけてから、私たち、下の名前で呼び合うようになったの。

 下の名前で呼び合うのって、友達って感じがして、いいよね!


「おはようございます、日和さん」

「ひよりん、おっはー。ゴールデンウィーク、終わっちゃったねえ。またみんなでどっか遊びに行こうねー」

 聖華ちゃんは上品に微笑み、美弦ちゃんは白い歯を覗かせて笑った。

 

「うん!」

 私は笑顔でうなずいてから、聖華ちゃんたちと別れて自分の席に座った。

 さて、予鈴が鳴るまで、何しようかな。


 スマホをいじる?

 誰かとお喋りする?

 一時間目の授業の予習をする?


 考えていたとき、ちょうど雪村くんが登校してきた。

 雪村くんのカバンを見て、私は目を丸くした。


 雪村くんのカバンに、ケーキとアイスクリームのキーホルダーがついてる!


 あれって、たしか、フェイクスイーツっていうやつだよね?

『男子より女子が好きそうな可愛いもの』は隠してたはずなのに、どうしたんだろう?


 ゴールデンウィーク中に、何かあったのかな?

 私は思い切って立ち上がり、雪村くんの席に向かった。


「おはよう、雪村くん」

「おはよう」

 雪村くんは数学の教科書やノートを机に入れてから、私を見た。


「そのカバンのキーホルダー、可愛いね。買ったの?」

「ガチャで当たったんだ。ゴールデンウィークに、天馬や平川ひらかわくんたちとゲーセンに行ったら、二階にガチャコーナーがあった」

 その話を聞いて、私は教室の前方を見た。


 クラスメイトの平川くんは教壇の近くで、友達の田中くんと、楽しそうにお喋りしている。

 平川くんと田中くんは明るいキャラだから、久城くんと気が合うみたい。

 雪村くんは久城くんに引っ張られる形で、平川くんたちと仲良くなったんだろうな。


「その中に、フェイクスイーツのガチャがあって。つい見てたら、平川くんに『興味あるなら回せば?』って言われて。焦ったけど、平川くんは馬鹿にするとか、からかってる感じじゃなくて。田中くんも、なんか、普通に、やればいいじゃんって言ってくれたから……やろうかなって」

 雪村くんは照れたように言って、カバンのキーホルダーを指でいじった。


「そうなんだ」

 微笑ましい話を聞いて、私の胸もほんわり温かくなった。


「可愛いものが好きなのがバレたらヤバいって思ってたけど。花崎さんの言う通り、そんなことないかもしれない」

「そうだよ。そんなことないよ。馬鹿にしたり、からかってくる人がいたら、私が怒るよ。私だけじゃなくて、久城くんだってきっと、ううん、絶対怒るよ!」

「うん。おれが前、小学校でからかわれたときは、おれより天馬のほうが怒ってた」

 雪村くんは、くすっと笑った。


「あ、そうだ。『バーチャル・ドール』の……いや。学校でこの話は止めとこう」

 何か言いかけて、雪村くんは口を閉じた。


「何? 何かあったの?」

 言いかけて止められると、気になる!


「お知らせを見たらわかるよ。後でログインしてみて」

「わかった」

「日和ー。雪村くんも、おはよー」

 声をかけられて、私は横を見た。

 カバンを持って、芽衣ちゃんが歩いてくる。

 芽衣ちゃんのポニーテイルには、ピンクのシュシュがついていた。

 みんなでショッピングモールに行ったときに買ったやつだって、すぐにわかった。


「おはよう、芽衣ちゃん」

「おはよう」

「あれっ、雪村くん、可愛いキーホルダーつけてるねえ。前はアルファベットのキーホルダーじゃなかったっけ? シンプルな『R』の文字のキーホルダー」

「そうだけど……よく覚えてるね」

 雪村くんは、芽衣ちゃんの記憶力に驚いたみたい。


「やっぱり、前のキーホルダーに戻したほうがいいかな。月岡さんは、男子がフェイクスイーツつけてるのって、変だと思う?」

 私以外の女子の意見も気になるらしく、雪村くんは少し不安そうな顔で聞いた。


「いいや? 変じゃないと思うよ? いまは多様性の時代だよ、たよーせー。男子とか女子とか気にする奴いないって」

 芽衣ちゃんはあっけらかんと言って、手を振った。


「じゃあさ、もし、もしもだよ? 馬鹿にしたり、からかってくる人がいたら。芽衣ちゃんも、私と……私たちと一緒に戦ってくれる?」

 言い直して、私は芽衣ちゃんの目を見つめた。


「いいよー? よくわかんないけど、そのときはあたしがボコってやるわ」

 芽衣ちゃんは片手を握り、誰もいない空間に向かってパンチを繰り出した。

 もちろん、ボコるっていうのは冗談だって、私にもわかってる。

 芽衣ちゃんは、そんな暴力的な子じゃないもんね。


「たのもしー! さすが私の親友!! 最高!!」

 迷わず味方になってくれたのが嬉しくて、私はパチパチ拍手した。


「ボコるって……暴力はだめだよ。花崎さんも、拍手しないで」

 困ったような顔をしながらも、雪村くんは嬉しそうだった。

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