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そのままのキミが好き!  作者: 星名柚花


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12/34

12:部活、何するか決めた?

 その日のバーベキューは、とっても楽しかった。

「私のおかげで1位になれたから」って、班のみんなが私のぶんのお肉や野菜を焼いてくれた。

 久城くんは執事ごっこみたいなことして、「お代わりです、どうぞ、姫!」とか言って。

 おかしくて、「なにそれ!」って、笑っちゃった。


 それから時間が経って、いまは夜の八時半過ぎ。

 九時までは自由時間なんだ。


 何をしようか迷ったあと、私は散歩に出かけることにした。

 芽衣ちゃんは部屋に残って、クラスの女子たちとカードゲームをしてる。

 一階のロビーでは、八人の生徒がテレビを見てた。

 ロビーの横の研修室では、真面目な生徒たちが先生をつかまえて、個別授業を受けてるみたい。


 自由時間なのに勉強するって、すごいなあ……。

 私は感心しながら、玄関の自動ドアを通って外に出た。


 バーベキュー会場となった場所に行くと、多くの生徒たちが椅子に座ってお喋りしていた。

 その中に、久城くんと雪村くんもいた。

 二人は炭酸入りのぶどうの缶ジュースを飲んでいる。

 すぐそこにある自動販売機で買ったんだろうな。


「こんばんは」

 声をかけると、二人はこっちを見た。


「花崎さん。こんばんは。散歩?」

「うん。暇だから」

「じゃあ、オレらに混ざる?」

「いいの?」

「もちろん」

「花崎さん、こっちに座って。おれ、天馬の隣に行くから」

 雪村くんは私に椅子をゆずって、久城くんの隣に座った。


「ありがとう」

「風呂入ったばっかり? 髪が濡れてる」

 椅子に座ると、久城くんが質問してきた。


「本当だ。ドライヤーが甘かったかな。ちゃんと乾かす時間なくて」

 私は指で自分の髪をいじった。


「制限時間があるからなー。オレらはテキトーでいいけど、女子は大変だろうな。ドライヤーだって、全員分あるわけじゃないだろうし」

 久城くんは缶ジュースを飲んでから、ふと気づいたような顔で私を見た。


「オレらだけジュース飲んでるのも悪いよな。花崎さんも、なんか飲む? おごるよ。肉食わせてもらったし」

「いやいや、悪いよ。あ、じゃあさ。あとで払うから、買ってもらってもいい?」

「いいよ。行こ」

 私は久城くんと一緒にジュースを買いに行った。

 ジュースを持って戻ると、雪村くんが言った。


「おかえり」

 おかえりって言われると、まるで、家に帰ってきたみたい。


「ただいま」

 私は小さく笑いながら椅子に座って、缶ジュースを飲んだ。

 う~んっ、キンキンに冷えたジュースと、シュワシュワ弾ける炭酸が、最高っ!


「――おいしいっ!」

「うんうん、わかる。風呂上がりのジュースってうまいよなー。家じゃなかなかできないから、今日は特別だ」

 久城くんは笑ってジュースを飲んだ。


「そういえば、花崎さんは部活、何するか決めた? もうすぐ仮入部期間も終わりだろ」

「うん。迷ってたけど、決めた。私は部活じゃなくて、『勉強同好会』に入る!」


 勉強同好会とは、勉強したい生徒たちが作った同好会。

 放課後は自習室に集まって、宿題をしたり、わからないところを教え合ったりするの。

 先輩からは、過去のテスト内容を教えてもらえたりするんだって。


「え……放課後も勉強する気なの……?」

 勉強が嫌いな久城くんは、信じられない、という顔をしている。


「うん。オリエンテーションのときに、みんなから頼られたり、かしこいって言われて、嬉しかったから。入学式で新入生代表に選ばれたことも、嬉しかったし。中間テストでも、できれば1番目指したいなって思って」

「花崎さんは『学生のカガミ』だね」

 雪村くんが言った。


「鏡?」

「ああ、天馬のことだから、人が映るほうの鏡を想像してるんだろうけど。そっちの鏡じゃなくて、こう」

 雪村くんはポケットからスマホを取り出して、『鑑』という文字を打ちこんだ。


「つまり、おれが言いたかったのは、花崎さんは他の学生たちの手本となるような素晴らしい学生だね、ってこと」

「なるほどー。理玖ってやっぱ、頭いいよなー。塾に通ってたときも、落ちこぼれのオレに色々教えてくれたし。お前がいなきゃ多分、五桜落ちてたわ」

「天馬が落ちたら、おれも困ってたと思う。話す相手、いなくなるし」

 キャッチボールみたいに、二人の会話はポンポン弾んでいく。

 漫才みたいなやり取りを見て、私は思わず笑ってしまった。

 いいな、こういう関係って。

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