表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/146

0日目昼:個室だった場所

「キューティーラブリーエンジェル建設ぅううう!ああああああ!キューティーラブリーエンジェル建設ぅうううう!ああぁあぁああああぁぁああああぁあああ!」

 樺島剛バカは目を覚ました。……というより、『戻ってきた』という方が正しいのだろう。

 バカの意識は前の周で『やり直し』を使ったところからシームレスに繋がっていて、バカの感覚では、今、丁度社歌の2番を元気に歌い終わったところである。

「……おはよう!」

 そしてバカは元気よく、首輪をバキイ!と引き千切り、クローゼットをバキイ!と破壊し、そして中から金庫を取り出すと……。

「まずは海斗ぉおおおお!今度はぜってー助けるからなぁああああ!」

 そのまま、壁に向かってタックルしたのであった!


 壁は無残に大穴を空けられることになった。そして、バカが壁を破って海王星の部屋に突入した時、海斗はまだ、眠っていた。

「……海斗ぉ」

 すうすうと寝ている海斗を見て、バカはじわじわ元気を出す。……今回の海斗は、ちゃんと元気だ!

 だが、バカはそんな海斗を起こさないようにして、そっと、もう一撃タックルを決める。いや、やっぱり多分今のタックルで起きた。流石に壁が壊れたら海斗も起きるだろう。

 ……そうして、海王星の部屋は両サイドの壁に穴が開いた開放的な造りになった。


「……な、何者だ!?」

 そしてバカはそこで、天城と出会う。

 バカのことを知らない、バカを警戒している天城だ。……辛く険しい道をたった1人で歩き通してきた陽だ。

「くそ、貴様は一体……!」

 天城の警戒を向けられて、バカは少し、緊張する。……だが、怯まない。挫けない。ただ、進むのみ!

「俺、樺島剛!俺、あんたのこと助けに来た!」

 バカは笑顔で、天城に挨拶した。

「あんただけじゃなくて、他の皆も、助けに来たんだ。えーと、俺、何回もやり直してて、それで、だから、ええと……」

 上手く言えねえなあ、ともぞもぞしながらバカは少し考えて、そして。

「一緒に木星さん懲らしめて、たまのこと、助けような!えーと……『光』!」

 そう言って、バカは天城にその手を差し出したのだった。




 バカは天城と握手した。天城はぽかんとしていたのだが、バカは構わず天城の手を握って、『握手、握手!』とふりふりやったのである。

「あ、そうだ。とりあえずここの壁、破っとくな」

「……は?」

 混乱している様子の天城は置いておいて、バカは早速、施工に入る。

「な、何を言っている。おい、何をするつもりだ」

「うん?ここの壁破って、土屋のおっさんと海斗も一緒に木星さんを待ち受けるんだ!そうすりゃ、木星さんが壁抜けてきたっていう証人が4人になるだろ?……って、前のたまが言ってた!」

「前の、たま……?」

「詳しくは、後で海斗と土屋のおっさんと一緒に俺の金庫、見てくれよ!それ見りゃ多分、分かってもらえるから!な!」

 バカはそんなことを言うと、早速、タックルで本日3枚目の壁に穴を空けたのだった!




 土屋はもう起きていたので、ものすごくぎょっとしてくれた。ついでに光の盾も出してくれたので、バカはなんだか嬉しくなる。この盾はバカが初めて例のドアに勝てた時の思い出の品だし……何よりも、今、こうして土屋が生きている。バカはそれがとても嬉しいのだ!

「な、何だ、これは……!?」

「うん!それは光の盾!土屋のおっさんの異能だな!えーと、詳しくはこの金庫の中に……あ、まだ土屋のおっさん、首輪外してなかったのか。じゃあ外しとくな!」

 バカは困惑する土屋の首から首輪をバキイ!と千切り取った。そしてクローゼットをバキイ!と破壊して、中の金庫を取り出しておいた。

「じゃあ次は海斗だ、海斗!えーと、海斗ー!海斗ぉー!」

 ぽかんとしている土屋と天城を放っておいて、バカは海斗の部屋へ戻る。すると、海斗はもう起きてぽかんとしていたので、バカはそこを覗き込んで、にっこり笑って挨拶した!おはよう!

「う、うわっ!?だ、誰だ!?」

「うん!俺、樺島剛!ええと、やり直した時、俺、海斗と友達になったんだ!目標はここを皆で出て、ミニストップのソフトクリーム食うこと!あと、海斗の小説読ませてもらって、俺のポケモン海斗に貸すこと!それで一緒にメロンパン食べような!よろしく!」

 バカは嬉しくなって、一気に海斗に話しかけた!海斗は只々引き攣った顔でぽかんとしていたが、バカは『あっ、首輪ついたままだ!』と、慌てて海斗の首輪を引き千切った。

 ……バカはここでふと、『あれ?そういや、首輪って引き千切っていいんだっけ……?』と考えたが、まあ、千切っちゃったものは仕方がない。諦めて、今回は全員の首輪を破壊することを目標とすることにした!




「な、何だ……?一体、何が起こっているんだ……?」

「ごめんな、海斗。詳しく説明してる時間、無いんだ。今から木星さんが天城のじいさんを殺しに来ちゃうから、それ、皆で待ち受けなきゃ!」

「は!?」

 さて。海斗は困惑しているし、バカとしてはゆっくり海斗とおしゃべりしていたいのだがそうもいかない。

 バカは再び天王星の部屋へ戻ると、そこで天城と土屋と落ち合った。

「よし!天城のじいさん!これから木星さんがここに来るんだろ!?俺、何したらいい!?」

「……お前、一体、何者だ……?」

「だからぁ!俺は天城のじいさんの味方だよぉ!『無敵時間』で無敵になった爺さんぶん回して蟹ロボ一緒にやっつけた仲なんだってばあ!」

 天城は相変わらずバカを訝しんでいたが、ひとまず、バカが只者ではないことだけは分かってくれたらしい。あと多分、滅茶苦茶説明がヘタクソなことも分かってくれた。まあ、バカはバカなのでそれは分かってもらえてよかった!

「で!天城のじいさん!ここには土屋のおっさんも海斗も、俺も居るぞ!皆、味方だ!」

「ま、待て!僕まで巻き込まないでくれ!」

「ごめん!一旦巻き込まれて!ごめんな!ごめんな!俺も上手く説明できないからぁ!でも木星さん来ちゃうからぁ!」

 バカはわたわたわた、と慌てながら、『どうしよう!確かに海斗も土屋のおっさんも、天城のじいさんだって、こんなの突然すぎるよなあ!?』と困り果ててしまう。だがバカは説明が下手だし、説得も下手なのだ!




 ……そうして。バカが、ヘタクソな説明にわたわたしていると。

「あ、もうきちゃった!早い!」

「ひっ……人が!」

 むにゅ、と、ドアをすり抜けて、木星さんがやってくる!その手には、ナイフが握られていて……。

「ふ、ふふふ……わ、悪いが、楽しいゲームの為に、死んでもら……え?」

 木星さんは、明らかに想定と違ったのであろう光景に、唖然としていた。

 土屋と海斗は、『ドアをすり抜けて人が!』とびっくりしていた。

「あっ。これ危ないから貰っとくな!」

 バカは、木星さんの手からナイフをひょいと取り上げた。

 ……そして。

「……では、眠ってもらおう」

 天城が木星さんの腕を掴んで、『無敵時間』を使っていたのであった!


「……な、何が起きているんだ……?これは、どういうことだ……?」

 そして只々、海斗と土屋は、ぽかん、としていた!




 さて。

 木星さんが捕獲されたところで、バカはようやく、海斗と土屋、そして天城にも、バカの事情を説明することができる。

 できる、のだが……。

「えーと、金庫、金庫開ければ、俺の異能が書いてあってぇ……ええと、ええと」

 バカは、金庫をまた海斗に開けてもらおうかな、と考え……しかし、そこでふと、見つけてしまった。

「あー……天城のじいさぁん、この木星さん、いつ戻るの?」

 そう。

 そこには、『無敵のバット』が落ちている!




「……鐘が鳴る3分前に設定した」

「そっか!じゃあ、それまでちょっと借りる!えーと、まずは金庫!」

 ということで、バカは早速、木星さんを振り回し……金庫を破壊した!

「それから、ドア!」

 ついでに、タックルでも十分破れるドアを、木星さんフルスイングでかっ飛ばしてみた。

「で、皆は俺の金庫の中身、読んどいてくれ!」

「ま、待て!どこへ行く!」

「何が起きているんだ!?何故人を振り回しているんだ!?お、おい、君!待ちなさい!」

「とりあえず、たまが大広間行っちゃう前に首輪外して連れてくるー!」

 バカは木星さんを構えて、廊下へ飛び出していったのであった!

 ……そう!木星さんも、無敵になっちゃえばただのバットなのだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
(爆笑腹筋崩壊中、しばらくお待ちください) RTAはじまったって(酸素不足
無敵のバットとの組み合わせ強すぎる大好き
[良い点] 丁度100話のカタルシス!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ