表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力大戦 ~magical world~  作者: アッキー
「祖の魔力」と「究極魔力」
92/96

託された願い

更新が遅れて申し訳ございません。


読んでいただけるとありがたいです。

「あいつは……!」

 弘行はそう呟きながら拳を握りしめた。

「確かペルセポネ……だったか?」

「あぁ。 もう一人は見たこと無いが……」

 弘行の問いにアポロンはそう答えると真優に視線を移した。 真優は二人の魔神族を見て震えている。

「私知ってる……。 お兄ちゃんと戦ってた魔神族だよ……」

「遊真と?」

「こっちに戻ってきた後にお兄ちゃんはあの光の柱の所に行っちゃったから……。

 お兄ちゃん……今どこにいるんだろう……」

 真優は心配そうに呟いた。

「今はこの状況をどうするかだ」

 弘行は二人の魔神族を睨み付けた。

「姿は見えて無くて魔力も感知されてない。 ならこのまま何もせずにやり過ごした方が……」

 アポロンがそう言って二人の魔神族の方を見た。

 メフィストは弘行達に手を向けていた。



「はぁ……はぁ……」

 遊真は息を切らしながら街に向かっていた。 本来なら瞬間移動で帰りたいところだが、魔力が尽きてしまった今では遊真は瞬間移動は使えなかった。

(レノーラの絆魔力(リンク)を使っても良いけど……。 メフィストと戦うなら温存しときたいし……)

 遊真がそんな事を考えながら街に向かっていると前から何かがこちらに向かってくる。

「あれは……?」

 遊真が目を凝らすと前から向かってくるのはメイを担いだオーガの姿が見えた。

「メイ……!? 何で捕まって……」

 遊真はブレスレットに触れ、レノーラの魔力を引き出した。

「メイを離せ!」



「嘘……でしょ……?」

「まさか……見えているはずは……」

 メフィストはニヤリと笑った。

竜神王衝撃(ドラゴンインパクト)

「退避しろ!!」

 大輝の叫びと共に弘行達は横に跳んだ。 次の瞬間には弘行達のいた場所は木などは生えていないクレーターとなった。

「そこにいるんだろう? 残り物は」

 メフィストは笑いながらそう言った。

「バカな……見えているのか……?」

「いえ。 見えてはいないはずよ」

 答えたのは結菜だった。 結菜はメフィストを睨み付けた。

「恐らく奴はここに女神族の森が在ることを知っている。

 しかし姿までは見えていないから攻撃は当たらなかった。ただこのまま攻撃を食らい続けると姿を隠せる森が消えて無くなり、民間人まで全員が死ぬ事になるわね」

 結菜がそう言うとみんなの表情に絶望の色がうかんだ。

「戦うしかない!」

 弘行はそう言うとメフィストの方に歩きだし、真優は弘行の前に立ちはだかった。

「待って! あいつは多分お兄ちゃんの言ってた最強の魔神族。 ここにいる人じゃ多分勝てない」

「じゃあどうすれば……!」

「私が行く」

「…………は?」

「私がみんなを守る! だからみんなはここに居て!」

 真優はそう言うとメフィストの方へ走っていく。

「なっ!? 真優!?」

 弘行は後を追おうとしたが結菜が弘行の腕を掴んだ。

「ダメよ。 貴方が行っても真優ちゃんの言う通り何も出来ずに死ぬだけよ」

「しかし……! 黙って見ているだけなんて……!」

「いいえ。 恐らく真優ちゃんだけでは森を守れない。 だから私達で真優ちゃんが守りきれない箇所をカバーするの。

 今できる事を精一杯やりましょう」

「……了解」

 弘行がそう言うと結菜はゆっくりと手を離した。

「お願い真優ちゃん……! 後少しだから……!」

 結菜はメフィストに向かって行った真優の背中を見つめた。



 メフィストは再び手を前に向けた。 目の前には何もない大地が広がっている。

「悪魔族の話によるとここに森があるらしいな」

「奴等は魔力が貧相じゃからの。 妾達に見えぬものも見えるのだろう」

「しかしやり過ごせると思っているらしいな……。 甘い考えだ」

 メフィストはそう呟くとニヤリと笑った。

竜神王衝撃(ドラゴンインパクト)

 メフィストの手から再び衝撃波が放たれる。 しかしそれは急に軌道を変え、空に向かって行った。

 上空の雲が消し飛び、青い空が覗いている。

「曲がった……?」

 メフィストが首をかしげると前に一人の少女が立ちはだかった。

「ほぅ……森の中から出てきたのか……。 やはり姿は消えるようだな」

「もうこれ以上は……やらせない!」

 真優はそう言ってメフィストを睨み付けた。

「む……。 あの小娘は確か空間を曲げる魔力を持った奴じゃな。

 メフィスト。 特に気を付ける必要は無いぞ」

「いや……そうでもないぞ」

「何……?」

 ペルセポネはメフィストの言葉に疑問を覚え、真優を見つめた。 真優の胸元のペンダントが光輝いている。

「「忍耐(ヒュマニタス)」か……。 お前が使用者だったとはな……」

「知ってるんだ……。 ならどういう力かも知ってる?」

 真優はそう叫んで手を合わせた。 真優の前から森を覆うようにドームの様な形の半透明の膜が出来上がる。

「一度使用した魔力が尽きない……だったか?

 炎は燃え続け、雷は放電を続け、木は枯れ果てる事はない。

 そしてお前のその防護壁も消える事は無いと……」

「その通り……! 貴方はこれ以上は進めない!」

「笑わせるな。 そんな薄い膜で防ぎきるつもりか?」

 メフィストはそう言って手を真優に向けた。

竜神王衝撃(ドラゴンインパクト)

 手から衝撃波が放たれるが衝撃波は再び膜に沿って上に向かって飛んでいった。

「……なるほど。 防ぐのでは無く軌道を変えて森を守ると……」

 メフィストはそう呟くと衝撃波を連射した。 しかし衝撃波は次々と軌道を変えられ、全て上空に反れて行った。

「どうするのじゃ? メフィストよ。 流石にこれでは簡単には入れんぞ」

「そうだな……。 傲慢(スペルビア)で魔力の放出を止めても魔力は消えずにあの膜も消えない。 内側に瞬間移動も出来ない様だな」

「無理矢理ぶち破るのもありじゃが……。 少し手間がかかりそうじゃな……」

「ルシファー程上手くは出来んが……。 これが一番早いだろう」

 メフィストはそう言うとゆっくりと真優の作り出した膜に近づいていく。

 膜の前でメフィストは立ち止まると手を前に出すとメフィストの目の前に黒い円が出来上がった。

(あれは……?)

 真優は首をかしげたが学校であの黒い円の様な物からルシファーがワープで現れ、生徒の一人を突き刺したのを思い出した。

「まさか……!」

 真優の目の前に黒い円が現れ、メフィストが現れた。



「はあっ!」

 遊真は最後のオーガを蹴り飛ばした。 オーガは木に激突し、その場に倒れた。

「メイ! 大丈夫か!?」

 遊真は地面に倒れているメイを抱きかかえて優しく体を揺さぶった。

 しかしメイは全く目を覚まさない。 遊真はメイの左胸に手を当てた。

 少し膨らんだ胸の柔らかさを感じて遊真は慌てて手を離した。

(死んではいないな……)

 遊真は自分のペンダントを見つめた。

(少しなら……いけるか……)

 遊真がペンダントに触れるとペンダントは光輝き始めた。

「目覚めよ」

 遊真がメイの額に手を当てるとメイはゆっくりと目を開けた。 遊真はもう一度ペンダントに触れ、ペンダントは輝きを失った。

「遊……真……?」

「大丈夫かメイ? 何があった?」

「…………あっ!」

 何かを思い出したのかメイは急に焦り始め、遊真の肩を掴んだ。

「遊真! 助けて!!」

「落ち着け。 何があった?」

 遊真は優しくメイの頭を撫でた。

「みんな……みんなメフィストに……やられちゃったの!」

「…………え?」

「お姉ちゃんも……みんなやられちゃったの!!」

「そんな…………」

 涙を流すメイから告げられた事実に遊真は愕然とした。 遊真は拳を握りしめた。

「早く街に向かおう……! 一秒でも速く!」

 遊真がそう言うとメイは頷いた。

(頼む……もってくれ俺の魔力!)

 遊真はもう一度ペンダントに触れるとメイを抱えて上空に飛び上がった。

「遊真! ペンダントの光が!」

 メイがそう言うとメイの言う通りで既にペンダントの光は消えかかっている。

「とりあえず瞬間移動するぞ!」

 遊真はメイと共に瞬間移動し、着いたのは先程まで戦場だった学校の近くだった。

 校庭に何人か倒れているのが見える。 一人は遊真が寝るときに良く見る人影だった。

「……姉ちゃん?」

 遊真は考えるより先に走り出していた。 途中ガタガタになった体で、何度も転びながらも走った。

「姉ちゃん!」

 遊真はゼウスの体を抱きかかえて優しく揺さぶった。 しかしゼウスは一切反応しない。

「くっそ…………!!」

 遊真はゼウスの体を強く抱きしめて涙を流した。 後ろからゆっくりとメイが近づき、メイは優しく遊真の肩を叩いた。

「遊真……。 ミカエルも……翔一も……」

 遊真が振り返るとメイが運んで来たのか後ろにはミカエルと翔一が横たわっている。 腹部には大きな穴が空き、既に出血は止まっていた。

 遊真はゼウスの近くに落ちていたペンダントを拾い上げた。

「何で……こうなったんだよ…………!!」

 遊真はペンダントを握りしめ、地面に拳を打ち付けた。 横でメイも涙を流し続けている。

 遊真は涙で濡れた目を凝らして周りを見渡した。

 少し離れた所に一人。 そしてその近くにも倒れている。

「ラファエル様も……。 ロケスもデュークさんも……」

 遊真に拳を強く握りしめた。 そしてもう一人校庭に倒れている人物を見つけた。

「レノーラ!?」

 遊真はふらつきながらもレノーラの元へ向かった。

「レノーラ!」

 遊真はレノーラの抱きかかえた。

「遊……真……」

「レノーラ! 良かった! 今傷を!」

「待って…………遊真…………。貴方は……もう……魔力が……」

 レノーラの言う通り遊真のペンダントからはもう光が失われていた。

「それでも少し位は……!」

「ダメよ遊真…………。 貴方は……メフィストを……倒さないと……」

 レノーラは小さな声でそう言った。 今にも消えてしまいそうな小さな声である。

「分かってるよ! その為にはレノーラの力も必要だ!」

 レノーラは優しく遊真の手を握った。

「今……溜まりきったから……」

 レノーラがそう言うとレノーラの手を通して遊真に魔力が送られ、遊真の傷が段々と癒えていく。

「レノーラ? これは……」

「遊真との絆魔力(リンク)の力よ……。 想像世界(イマジネーション)を使って貴方の傷を癒やしてるの……」

「なっ!? ダメだレノーラ! そんなボロボロの状態でそんなに力を使ったら……」

「いいの……」

 レノーラは手を遊真の頬に当てるとそっと遊真の涙を拭った。

「私の魔力はブレスレットに十分残ってる。 大丈夫。 貴方ならきっとメフィストを倒せるわ……」

 レノーラは優しく遊真の頭を撫でながら涙を流しながら微笑んだ。

「お願い……! 世界を……守って……」

 そう言うとレノーラの手は力が抜けた様に地面に落ちた。

「レノーラ……?」

 遊真はレノーラの体を揺さぶるが反応は無い。 遊真は力強くレノーラを抱きしめると優しく地面に寝かせた。

 レノーラの最後の言葉は悲痛なる叫びだった。 弟を殺され、一族を蹂躙され、最後には自分も新しく出来た仲間も殺された。

 その魔神族を倒してくれ……そんなメッセージだった。

「メイ。 みんなを……頼む」

「遊真……」

 遊真はゆっくりと立ち上がった。 ペンダントは……今までとは比べ物にならない程に光輝いていた。

ポイント評価&ブックマーク登録。

どちらかでもしていただけると とても嬉しいです。よろしくお願いいたします。



本日更新の

黒と白の暗殺者~剣に誓いし絆~

もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ