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魔力大戦 ~magical world~  作者: アッキー
「絆魔力」と「神と呼ばれし獣達」
63/96

勝者と敗者

読んでいただけるとありがたいです。

 もはや選択肢は一つだった。

「逃げるぞ!!」

 遊真はゼウスの手を掴み、レノーラが既に伸ばしていた尻尾に触れた。 遊真は翔一の横へ瞬間移動した。

「逃げるぞ翔一!」

 翔一の腕を掴み、遊真は遠くの空を見た。

(手のひらから打ち出す衝撃波が山を破壊するんだ。 山の様に巨大化した衝撃波なら……この辺の大陸が消し飛ぶ可能性だってある。 だったら出来るだけ上にも逃げないと……!)

「逃がすと……思うか……?」

 ベルゼブブが指を鳴らすと羽音を立てながら無数の虫が現れた。

「魔虫族!?」

 虫達は遊真達に突撃をし始めた。 これでは翔一も遊真も視界が遮られ、上空へ逃げる事が出来なかった。 遊真はゼウスをレノーラに託すと、魔虫族の群れの中に突っ込んだ。

絶対死領域(デスゾーン)!」

 遊真が技を発動すると周りにいた虫が一匹残らず全て地面に落ちた。 遊真はゼウス達の元へ戻り、瞬間移動の準備をし、上空を見て唖然とした。

 ドラゴンの形をした衝撃波は既にあと五メートル程までに迫っていた。 当たる寸前だった。

「くっそ……!」

 遊真は思わず右手を衝撃波に向けた。 これほど巨大な攻撃を防げない事は分かっていた。 しかし遊真は反射的に手を前に出していた。目を閉じなかった。 だからこそ目の前に現れた青い盾の様な物に乗った緑髪の青年の姿がはっきりと見えた。

消失の盾(アプラティオネ・スクゥートム)!!」

 青年の目の前にキラキラと輝く青色の巨大な盾が現れた。

 次の瞬間その盾に衝撃波が爆音と共にぶつかった。 遊真は思わず目を閉じ、耳に手を当て、耳を塞いだ。


 遊真はおそるおそる目を開けた。 自分の周りには砂ぼこり等は舞っておらず、後ろを見るとレノーラとゼウス、翔一も無事だった。 遊真は少し上にいる青年に目を向けた。 そして笑みをうかべながら言った。

「助かったぜ、ミカエル」

 ミカエルも笑いながら遊真の横に着地した。

「びっくりしたぜ。 いきなり上空に竜が現れるんだからな」

「ウリエルは?」

「もう来るさ」

 遊真は先程ミカエルが飛んできた方向に目をやるとウリエルが笛を口にくわえたまま空中をふわふわと浮いていた。 こちらに気づき、近づいてくる。 背中にはメイを背負っていた。

「良かった!ん……?遊真だよね?」

「あぁ、そうだよ。 「絆魔力(リンク)」使ってるから姿がいつもと違うけど」

 ウリエルは後ろの竜神(レノーラ)に気づき、何かを聞こうとしたが、体をびくんと震わせると前を見た。

「遊真、おしゃべりは……また後にした方が良い感じだね……」

「まぁそうだな……」

 遊真もウリエルが見ている方向に目を向けた。 ミカエルの盾の向こう側にメフィストとアイモデウスが立っていた。 ベルゼブブはアイモデウスの背中でぐったりとしているが肩が動いている為 死んではいない事が分かる。

「驚いたぞ、まさかあれを止められるとは思いもしなかった」

「予想外だったかい?」

 ミカエルは盾を消してそう言った。

「あぁ、予想外だった。 お陰でもう一度あれを作らなくてはならなくなった」

「作らせる訳ないだろ?」

 遊真が一歩前に出るとレノーラが遊真を呼び止めた。

《ダメよ遊真。 ここは退きましょう》

「やっぱり……?」

 遊真は小声で呟きながら自分の手を見た。

《私のこの声はメフィスト達には聞こえないから言うけど、貴方も気づいている様に「絆魔力(リンク)」がきれかかってる。 あと一発技を出せば絆魔力(リンク)は消えるわ。 だからと言って時間をかけても時間切れで絆魔力(リンク)は消える》

「じゃあ……」

《下手に仕掛けて絆魔力(リンク)が消える方がまずいわ。 メフィストに絆魔力(リンク)がきれかけてる事を知られない様に撤退しましょう》

「あいつはそんな簡単に逃がしてくれるかね……」

 遊真はレノーラ達の横に戻ると逃げる為に相手に気づかれない様にミカエルの手とレノーラの腕に触れた。 翔一もウリエルとゼウスの手を握っていた。 遊真は小声で翔一に話しかけた。

「行けるか……翔一?」

「…………ごめん遊真。 危険な賭けだっていうのは分かってる。 だけど試したい事があるんだ」

「賭け?」

「うん。 だから失敗したとしても僕の事は構わずに逃げてくれ。 どちらにせよ逃げるには陽動が必要だ」

「ちょ……待て! 翔一!」

 遊真はそう大きな声で言った時には既に翔一はウリエルとゼウスから手を離し、メフィストの目の前に瞬間移動していた。

「!?」

 翔一の行動はあまりにも予想外でメフィストは少し反応が遅れた。 この時、翔一の攻撃がメフィストをかすった。

 正確には翔一のブレスレットがメフィストの体に一瞬だけ触れた。その時メフィストは自分の魔力を半分程失ったことに気づいた。 メフィストは翔一の方に目を向けた。 翔一のブレスレットの近くに炎の様に揺らめいている人の形をした黒い透き通った物が蠢いていた。

(俺の……魔力……?)

 メフィストは直感的にそう感じた。 まるで自分と同じ力を感じたからだ。

「思った通りだ。 何故お前が僕にとりついたのか考えてたんだ。 それはただ単に何かの相性の様な物が良かったんだろう」

「だったら……何だと言うんだ……」

 メラメラと揺らめいていた物がゆっくりと翔一の体に入っていった。

「ここでもう一つ気になる点があった。 それは僕にとりついている間、どうやって力を高めていたかだ。 答えは簡単、僕の魔力を少しずつ取り込むこと。 食べると言ってもいいかもね。 つまりメフィスト、お前は僕と魔力の相性がよく、僕にとりつく事ができ、魔力を吸収することが出来た。

 だったら逆も出来るはずだよね?」

 メフィストは拳を握りしめた。

「つまりお前が俺の魔力を吸収することが出来ると……!」

「その通りだ」

 翔一はメフィストを真っ直ぐに見ながら言った。

「だがお前は俺がどうやって出てきたか知っていまい」

 メフィストの言葉に翔一は驚くような反応を見せた。

「俺の魔力を使ったんだ」

 そうアイモデウスは言った。

「俺の魔力は「共鳴(リズネンス)」。 簡単に言えば近くにいる魔神族の力を高める事が出来る。 触れている時が最も強化出来る」

(だからあの攻撃を防げたのか……!)

 遊真はそう思った。

「まずベルゼに一人から魔神族の魔力を感じたと言われてな。 俺は直感的にメフィストだと思った。 俺は当然メフィストに会った事があったからどのような魔力かは知ってる。 俺の魔力は知ってる魔力なら例え少し位離れていたとしても、その魔力限定で力を高める事が出来る。 だからベルゼに手伝ってもらい、結界を作った。 メフィストの魔力を関知したら自動に時間差で俺の魔力を発動する物だ。 今はただ結界が張られてる状態だがな」

「後はそのメフィスト魔力を高め、最後はベルゼブブが魔力を流し込んでメフィスト復活ってことか……」

 翔一はそう言った。

「ご名答だ」

 アイモデウスはニヤリと笑いながらそう言った。

「今でも結界は残ってる。 俺が魔力を発動してお前が今取り込んだメフィストの魔力を暴発させることも可能だ!」

 そう言ってアイモデウスが魔力を発動しようとした時、横から青色の槍が飛んできた。 アイモデウスは間一髪で回避すると槍の飛んできた方を睨んだ。 そこにはミカエルが立っていた。

「そんなことさせると思うか?」

 ミカエルはそう言って自分の横に槍を戻した。 反対側にはウリエルが何やら演奏をしている様で周りに音符の形をした物が入った玉が出来ている。 そしてメフィストの前には遊真が立ちはだかっている。

(まずいな……魔力を吸いとられて ただでさえ初めてで そろそろヤバイな って思ってた「絆魔力(リンク)」が消えかかっている……!)

 メフィストは一歩下がると口を開いた。

「退くぞアイモデウス。 流石に俺も限界だ。 「絆魔力(リンク)」無しでは流石にレノーラの力を使う遊真には勝てん。 一対一ならまだしもな」

「……分かった」

 アイモデウスをベルゼブブを背負い直し、メフィストの肩に触れた。

「次はこう上手く行くと思うなよ 遊真」

「どうだろうね?」

 遊真が笑みをうかべるとメフィストは視線を遊真達とは反対側の空に移すと瞬間移動し、遊真達の目の前から消えた。

 完璧にメフィスト達が見えなくなると遊真が光に包まれ、遊真が元の姿に戻っていた。

「ギリギリだったな……。 何とか騙せた」

 ミカエルは遊真の側に歩み寄った。

「お前の「絆魔力(リンク)」が消えかかってた事か? 第一あのまま戦っても良かったんじゃないか?」

「無理だよ。 俺にはレノーラの力無しにはメフィストに対抗出来ない。 見た感じウリエルも相当限界だろ?」

 遊真の言う通りウリエルは既にぺたんと地面に座り込んでいた。

「まぁな。 ……ってレノーラ!?」

 ミカエルは変な声で叫んだ。 遊真は思わず笑い声を上げた。

「まぁ後で説明する。 とりあえず俺たちも結界内に逃げといた方がいいだろ」

「確かにそうだな」

 そう言ってミカエルはウリエルと一緒に盾に乗り、メイを翔一がおんぶし、遊真はゼウスを背負った。

《四人なら簡単に運べるわ》

「じゃあ頼むよ」

 遊真と翔一はレノーラの背中に乗り、ミカエル達も並走をするように移動を始めた。

「今回は助かったぜ翔一。 まさかあんな博打だとは思いもしなかったけどな。 体は大丈夫か?」

「大丈夫だよ。 寧ろ自分の体の一部が返ってきた感じすらしてる」

「そっか。 違和感が無いなら大丈夫だな」

 そう言って遊真はレノーラの背中に座り込んだ。 横では大きな翼がばさばさと動いている。

(勝ったには勝ったのかも知れないけど……あんまり実感は無いな……

 あのまま戦えば俺たちが負けてた可能性の方がデカイ)

 遊真はそのまま寝転がり、空を見上げた。 横ではゼウスがうとうと寝ないように眠気と戦っていた。

(姉ちゃんがいなかったら俺は簡単に殺されてたな……。

 強くなるんだ……もっと)

 遊真はそう心の中で決意した。

題名を変えようと思っております。

どう考えても「イマジネーション」じゃ無いと思いましたので(笑)。


題名が変わってもよろしくお願いいたします。


ポイント評価、お気に入り登録等をしていただけるとありがたいです。m(._.)m

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