揃いし五本の指
更新が遅くなってしまい大変申し訳ありませんm(._.)m
これからも文化祭のダンス練習の為更新が遅くなり、文化祭が終わればテストがあり、テストが終わったら修学旅行と楽しく大変な行事が待っておりまして更新が停滞するかも知れません……
ですがちゃんと自分が最初から想像していた形までもっていくまで投げることはしないと心に決めております!
これからもよろしくお願いいたします。
メフィストの姿に特に変わりはなかった。 メフィストは遊真の方を見てから、ベルゼブブの方へ向かった。
「おいベルゼブブ、あいつ死にかけじゃねぇか。 まぁお前も死にかけだが」
「苦戦しちまってな……あとあいつはどっちにしろあの力の反動でああなる事は分かってただろう?」
「まぁな。 しかしこれでは殺しがいが無いな。 仕方ない……レノーラを殺る時にでも力を解放しよう。 あいつも「父」の力で死ねるなら本望だろう」
そう言ってメフィストは笑い声をあげた。
「どういう……意味だ……?」
遊真は視線をメフィストに向けて言った。
「そうだな。 お前はもう脅威にはならねぇからな。 少し昔話をしてやろう。
いや、まずドラゴンが「竜神」と呼ばれるか知っているか? 本来なら「竜」だけでいいものをだ」
「悪いが俺はこっちの大陸には詳しくないんでな……」
「あぁ、そう言えばそうだったな。 まぁ話を続けよう。 何故 神 という漢字が付いたかだが単純な話 あいつらが 神 と呼ばれし女神族と魔神族と対等の力を持っていたからだ。 と言っても全員がそれほどの力を持っている訳ではない。 俺たち魔神族にも弱いやつがいるように女神族にもそれほど力が強くないやつがいる。 だが俺やベルゼブブの様にずば抜けて強いやつはいるわけだ」
メフィストは遊真に歩み寄り、近くに腰を下ろした。 メフィストは話を続けた。
「つまりドラゴンも全員強い訳ではない。 だが奴等の中でもやはりずば抜けて強いやつがいた。 そいつは金色の鱗をもったドラゴンだった。 竜神王と呼ばれた竜神族の長だ。 金色竜神と呼ばれることもあったな。 そしてもう一匹が銀色竜神と呼ばれた竜神。 こっちはメスでさっき言った金色竜神との間に二匹のドラゴンを産んだ。 そいつらは親をも凌ぐ力を持った竜神だった」
「長が交代したのか……?」
メフィストは少し笑いながら首を横に振った。
「いや、強いと言ってもそれはあくまで潜在能力の話だ。 幼竜が長の竜神に勝てることはない。 その二匹のドラゴンの内一匹の名前はルーク。 白金竜神と呼ばれた竜神だ。 そしてもう一匹は……」
「遊真!」
いきなり遊真とメフィストとベルゼブブの目の前に「三人」の人物が現れた。 一人は遊真より少し幼く見える男子と白銀の髪をした綺麗な女性、そして美しい金色の髪をした女性だった。 一人は翔一。 もう一人はレノーラ。だがもう一人の存在にメフィストとベルゼブブそして遊真はそれぞれ驚いていた。 メフィストとベルゼブブは一旦後ろへ下がった。
「ヘラ……!?」
「いやラクシュミー……だろ……?」
二人は金色の髪をした女性を見てそれぞれ誰かの名前を口にしたが遊真はそんな事は全く気にしていなかった。 それより今 目の前にいる事が信じられなかった。
「姉ちゃん……!? 何で!?」
ゼウスは安心したように少し微笑むと遊真に近づいた。
「良かった……まだ命があって……。 死ぬほど心配したんだから」
「いやいやいや……! 何でここに……!?」
「翔一が私をこの大陸に呼び出したの」
「翔一が……?」
遊真はゼウスに傷を治してもらいながら翔一の方を見た。
「ウリエルに力を借りてね。 今ウリエルは信じられない位強くなってる」
「ウリエルが……? 何でまた急に……」
「……メイが死んだ」
「え……」
「ウリエルの目の前でメイがマリーに殺され、そして同じ様にミカエルも目の前で死んだ。 そこでウリエルが「覚醒魔力」の力を全て引き出し、「究極魔力」に目覚めてミカエルを生き返らせたのよ」
そうレノーラが翔一の言葉をついで言った。 そして再び翔一が話し始めた。
「それで一回だけ僕とミカエルも「究極魔力」を使えるって事で色々試してもどれも上手くいかなかったから。 大輝様を通じてゼウス様に連絡をとって呼び出してみたら上手くいったって感じだね」
「その「究極魔力」っていうのがよくわからんが……まぁまた今度聞かせてくれ。
……生きてられたらな……」
「何でそんな弱気なの?」
ゼウスは遊真の治療を終え、遊真の体力回復に移った。
「姉ちゃん俺の体力を回復していいのか……? あいつらの強さは異常だ……」
「大丈夫。 私は「膨大な魔力」を持ってるから」
ゼウスがそう言って遊真はメフィストとベルゼブブの方を見た。 二人は大して動きを見せず、様子を伺っているといった感じである。
「おい……お前は誰だ? ベルゼブブの言う通りラクシュミーなのか?」
そうメフィストが言った。 ゼウスは首を横に振った。
「いいえ。私の名前はゼウス。 ラクシュミーは私の親です」
「なるほど……通りで似てる訳だ。 もう一人の親はヘラか?」
「そうです。 やはり似てますか?」
「あぁ、似てるな。 あいつを完璧に思い出せる程。 鬱陶しい事この上無い」
そう言ってメフィストは視線を遊真に向けた。
「今こいつを「姉ちゃん」と呼んだか……? お前は女神族なのか?」
「人類と女神族のハーフだ。 言ってなかったか?」
「聞いた様な聞いてない様な……まぁいい。 半分ならお前の片方の親はヘラか。 確かに面影が無いことも無いか」
「何の話だ?」
「そうだな、さっきと話が飛ぶがこれも昔話だ。 前に強大な力を持った二人の女神族がいた。 名前はヘラとラクシュミー。 ヘラは俺と同じ様に全ての「祖の魔力」を使い、ラクシュミーは不思議な幻術系の魔力を使う女神族だった。 俺たち魔神族は向こうの大陸で戦いお互いに疲弊した。 最初は俺たち魔神族の方が優勢だった。 しかしヘラが始めて「絆魔力」を使った。 あの銀色竜神と心を通わせてな。 俺はヘラに追い詰められラクシュミーに霊化させられた」
「そしてメフィストを失った魔神族は劣勢になり、弱ったところを封印されたんだ」
とベルゼブブがメフィストの言葉をついで言った。
「ただその封印される直前にルシファーがウィルスを作ってな。 それをばらまかせて貰った」
「それがあのウィルスか……!」
遊真の言葉にベルゼブブは笑いながら頷いた。
「その後ラクシュミーはある妖精族に自分の力を渡して死んだと聞いています」
ゼウスがそう言うとメフィストはため息をついた。
「そんな事まで出来たのか……ラクシュミーの魔力は不思議なものばかりだ」
「その後ヘラは人類の女性との間に子供を産み、封印が破壊された時にベルゼブブに深手を負わせ、自分の力を全て使い、結界を作りました」
メフィストは視線をベルゼブブに向け、ベルゼブブはわざとらしく目線をずらした。
「ベルゼブブ、お前はヘラに勝てるとでも思ったのか?」
「い、いやぁ……あいつも歳とって弱くなったかなぁ……とか思って……」
「何で先に征服したこっちの大陸に戻ってきたのか合点がいった……」
メフィストは手を額に当て、再びため息をついた。
「しかも女神族の封印を見て生き残ってた竜神族が結界を既に張っていてお前はのんびりと「絆魔力」の相手を探してたのか……」
「つまり貴方達魔神族はこちらの大陸の種族をほぼ壊滅させ、竜神族も滅亡寸前まで追いやり、向こうの大陸に移り、私の親に敗れたと」
「簡単に言うとその通りだ」
ゼウスの言葉にメフィストはそう言って頷いた。遊真はゼウスに体力を分けて貰ったのでゆっくりと立ち上がった。
「だがもう俺たち魔神族は負けん……!」
そう言ってメフィストは光に包まれた。
(この光は……「絆魔力」!)
光が消えるとそこには金色の鱗を纏ったメフィストの姿があった。
「「絆魔力・金色竜神」!」
そうメフィストは呟いた。そしてベルゼブブの肩に手を置いた。 するとアイモデウスにもたれ掛かる様にして立っていたベルゼブブが普通にしっかりと立てる様になった。
「いいのかメフィスト? 俺の回復に体力を使って……」
「構わん。 お前に死なれる方が困るのでな」
(キャラ変わってない!?)
驚きを見せているベルゼブブにアイモデウスはひそひそと耳元で話した。
「「絆魔力」使うとあぁなるんだ」
「何でしってんの?」
「霊化させられる前に「野うさぎ」とリンクしてたからな……」
ベルゼブブは予想の斜め上のアイモデウスの言葉に思わず吹き出した。
「うさぎて……」
「ねぇ遊真」
レノーラが遊真の横に立って言った。
「前に言った「五本の指」に入る実力者の事を覚えてる?」
「レノーラに負けた時だろ? 覚えてるよ」
「揃ったね」
翔一は後ろで人数を数えた。
(メフィスト、ベルゼブブ、遊真、レノーラ、ゼウス様。
……僕は蚊帳の外か……)
翔一は少しがっかりしながらも気を引き締めた。 巻き込まれて死ぬなんて事を無くす為である。 この時アイモデウスも同じ事を考えていた。
ゼウスはペンダントに触れた。 それに呼応する様にペンダントが輝き始め、ゼウスの指輪も輝き始めた。
「指輪?」
「うん。 こっちも発動しとかないと」
そして再び遊真とゼウスは敵と向かい合った。
次の瞬間ゼウスが前に飛び出した。 向こうからもベルゼブブがゼウスに向かって行く。 レノーラと遊真は横にそれ、メフィストと向かい合った。
「貫け!」
ベルゼブブの上空に強大な槍が出来上がった。
「燃え尽きろ。 太陽の爆炎」
ゼウスの手から超巨大な炎の玉が現れ、ベルゼブブの攻撃をはね飛ばし、ベルゼブブは回避した。
(くっそでかいな……)
ここでベルゼブブはある違和感に気づいた。
(あいつはさっき「膨大な魔力」を持ってると言った。 それは「祖の魔力」に間違いない……! だがあいつは今「燃え尽きろ」と言った。 じゃあつまり……!)
「姉ちゃん……サタンの時本気じゃなかったんかい……」
遊真は唖然とし、翔一も開いた口が閉じていなかった。
「貴方も使えるんですね。 私と同じ「言霊」を」
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