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魔力大戦 ~magical world~  作者: アッキー
「絆魔力」と「神と呼ばれし獣達」
55/96

ありがとう

読んでいただけるとありがたいです。

「「絶技」……女神族が使用する「奥義」の中でも体に莫大な負担がかかるが尋常ではない力を手に入れる事が出来る「奥義」か」

 メフィストはそう呟いた。

「あぁ、その通りだ」

 そう答えた遊真のペンダントは眩しい程の強い輝きを放っていた。

「しかしその程度で俺たちを止めれるつもりか?」

 メフィストはそう言って遊真の目の前に瞬間移動した。

「切り裂け。 風刃(ウィンドカッター)!」

 メフィストが手を水平に振ると爆風と共に風の刃が放たれた。

 しかし遊真は風の刃をしゃがんで回避し、メフィストの顎にアッパーを食らわせた。 遊真は次の瞬間には後ろへ回り込み、メフィストを蹴り飛ばした。 メフィストは木に激突し、そのまま数十メートル程吹っ飛ばされた。

「メフィスト!?」

「大丈夫だ」

 メフィストは何事もなかった様に立ち上がった。

(やっぱり「言霊(ことだま)」が有る限り向こうは回復し放題だからキリが無いな……まぁそれはこっちも同じなんだけど)

 今 遊真の使用している「絶技」。 名前は姉・ゼウスが使用する「奥義」の「能力全開放(アビリティフルバースト)」と同じ物であったが系統は似ていても効果は違う。

 ゼウスの場合「祖の魔力」である「膨大な魔力」を解き放つだけであり、疲労はあるが体にはそれほど負担はかからない。 しかし遊真の場合は自分の体に百パーセントの魔力。 つまり自分自身の体が耐えられない程の魔力を「無理矢理」引き出している状態であった。

「俺たち魔神族や女神族。 人類や全ての生物に当てはまるが俺たちは本気を出そうとしても精々八十パーセントがいいとこだ。 だが命の危険が迫った時に百パーセントの力を出す事が出来る。 「火事場の馬鹿力」ってやつだな」

 メフィストはベルゼブブ達の元へ戻りながらそう言った。

「じゃあ何故出せないか……それは体に負担がかかるから。 だから普段は、普通はその力は使えない。

 ……その力を引き出しているな?」

「ご名答だ」

 遊真は少し笑みをうかべながら答えた。

「ベルゼブブ。 こいつは二人で殺るぞ。 俺もまだ全力は出せんからな……」

 ベルゼブブは頷くとメフィストの横に立ち、アイモデウスとレヴィアタンは後ろに下がった。 マリーは木にもたれ掛かる様にして浮いている。

「貫け!」

 ベルゼブブがそう言うと遊真の足下から様々な槍が飛び出してきた。 前からはメフィストが拳を振り上げて向かってきている。

全方位衝撃波(アラウンドインパクト)

 遊真の周りに衝撃波が発生し、ベルゼブブの槍を全て相殺した。

「砕けろ。 怒神鉄槌(ブレイクハンマー)

 メフィストの拳が遊真に突き出されるが遊真はメフィストの拳を避けながらメフィストの腹部にカウンターの拳を叩き込んだ。 メフィストは後ろに下がり、ベルゼブブが巨大な風の刃を放ちながら遊真に襲いかかった。

岩壁(ウォール)!」

 遊真は目の前に岩の壁を作り出し、ベルゼブブの攻撃を防いだ。

「吹き飛べ。 衝撃波(インパクト)!」

 メフィストが瞬間移動で遊真の目の前に現れ、遊真を衝撃波で吹き飛ばした。

「げほっ……!」

 遊真は踏ん張り、地面に踏みとどまった。

「貫け。 天地創造の槍(グングニル)!」

 目の前に巨大な槍が現れ、ベルゼブブが上空から隕石を降らしてきた。

万物融解(メルト)!」

 遊真は溶岩を作り出し、ベルゼブブとメフィストの攻撃を溶かした。

「遠距離じゃ無理か……!」

 ベルゼブブが遊真の後ろへ回り込み、メフィストが再び目の前に瞬間移動で現れた。 ベルゼブブとメフィストは遊真を挟み撃ちにし、一瞬笑みをうかべながら拳を突き出した。

 しかし遊真に拳がとどく前にメフィストとベルゼブブは殴り飛ばされた。 ベルゼブブとメフィストはダメージを回復し立ち上がった。

(やはり大きな違いはスピードか……。 よく見るとあいつは俺たちを殴ったり、蹴ったりするたびに手や足が「壊れている」)

(それを「想像」で回復してるのか……こんな戦い方だと長くは持たねぇ)

「ベルゼブブ。 俺は今から「絆魔力(リンク)」を回復させる。 長いこと使ってなかったから使えるか分からんからな。 その間こいつを食い止めとけ」

「そんなことしなくてもメフィストが居てくれれば俺と二人であいつを倒せるだろ?」

「いちいちこうやって殴り合うより俺がさっさと終わらす方がいいだろう?」

「……やれやれ相変わらず 怠惰 な奴だ」

 ベルゼブブは遊真に向き直り、再び構えた。



「メイ……」

 ウリエルに抱きしめられながらメイは苦しそうに息を切らしていた。

「少しでも……傷を……」

 翔一はメイの腹部に手を当て、「不死鳥(フェニックス)」の力を使い、メイの腹部を治療していく。 しかし翔一もふらふらな為 傷が回復するスピードは遅い。 翔一はミカエルの腹部にも手を当てて、回復を始めた。

「翔一無理すんなよ? 俺は大丈夫だから」

「大丈夫。 それにミカエルを傷つけたのは僕なんだし……」

「いや、あれはメフィストであってお前じゃないじゃないか」

 翔一は少し微笑むと

「そう言ってくれるならありがたいよ。 でもまぁせめて回復はしないとね……」

 と言った。

 しかし翔一が傷を回復させているのにも関わらずメイの顔色は悪くなる一方だった。

「やはり毒が……。 デューク、お前の都市に解毒剤があるのか?」

 ロケスの問いにデュークは頷いた

「過去にクラーケンの毒にやられた者の血から薬を作ってな。 それがまだ残ってる」

「出血量も問題ね……」

 レノーラはウリエルの横に座って言った。

「見えてきたぞ! 水の都市(アクアタウン)だ!」

 ロケスが立ち上がり言った。 確かに前方には微かに影が見える。

「メイ……! もうちょっとだからね……」

 ウリエルはメイを再び抱きしめた。

「お……姉……ちゃん……」

 そう微かにメイの声が聞こえた。

「メイ?」

 ウリエルはメイの顔を見た。 先程までうなされながら目を閉じていたがうっすらと目が開いている。

「だ……め……」

「?  何が駄目なの?」

「街に……近づいちゃ……だめ……」

 そうメイが言った瞬間に上空から水の槍が飛んできた。 突然の攻撃にゴーレムは体勢を崩し、みんなはゴーレムの背中から落ちてしまった。

「一体何が……」

 ウリエルが顔を上げると上空に約二十人程の人魚(マーメイド)が水を使って浮いていた。

「いきなり何をする!?」

 デュークは人魚(マーメイド)達に向かって叫んだ。

「私たちはマリー姫の命を受け、人魚(マーメイド)の邪魔をするものを消す」

 そう言って再び人魚(マーメイド)達は攻撃を始めた。

「まさかマリー姫が単独で裏切ったのではなく人魚(マーメイド)達が全員で裏切っていたとは……!」

「どうする!? 数が多すぎるぞ!」

「俺が援護する! 逃げるんだ!」

 そう言ってミカエルが絶対防御(パーフェクトシールド)の青い盾を作り出した。 ミカエルが攻撃を防いでいる内にウリエル達はゴーレムの背中に乗り、ゴーレムは移動を開始した。

「お姉ちゃん……。 私はもう……助からないよ……」

 メイはウリエルにもたれ掛かる様にしながらそう呟いた。

「何言ってるのメイ! 大丈夫だよ! 暗闇の都市(シャドウタウン)まで行けば解毒剤があるから!」

「でも……」

 そうメイが話そうとした瞬間に何がメイの腹部を貫いた。

「「「!?」」」

 一同は何が起こったのか理解出来なかった。 ウリエルは攻撃が飛んできた方向を見た。 その方向にはまたしても人魚(マーメイド)が三十人程浮いていた。 しかし真ん中にいる人物はウリエル達がよく知っている人物だった。 その人物は濃い青色の髪をもち、背中から烏賊の触手を生やしていた。

「マリー……!」

「まだ生きてたのね。 貴女が抱きしめてる奴」

 マリーは笑いながらそう言った。

「遊真がメフィストとベルゼブブとやりあってる間に逃げてきたよ。 アイモデウスとレヴィアタンも私を見てなかったからね」

「何故戻ってきた!?」

 ロケスがそう叫ぶと、マリーはため息をついてから答えた。

「あの戦いが終わったらメフィストは私たちも殺すと思ったからさ。 魔神族って奴等はそういう連中だ。 でもクラーケンの力を使って大陸を沈めちゃえばいくらベルゼブブでも勝てるかなって思った。 だけど……!」

 マリーはメイを指差した。

「そいつがクラーケンを殺してくれたおかげで計画は台無しだ!

 ……腹いせに死んで貰わないと気がすまない……!」

 マリーがそう言うとメイが咳き込み始め、口元から血が流れている。

「毒を更に入れた。 もう死ぬよそいつは」

「なっ……!メイ!」

 ウリエルはメイの顔を見た。 既に呼吸をするのもしんどそうにしており、顔色も悪い。

「お姉……ちゃん……」

 メイはゆっくりとウリエルの肩に手を置き、顔をウリエルの耳に口を近づける様にした。

「メイ……!」

「ごめんね……。 私……もう死んじゃうみたい……」

「嫌だ……!メイ……」

「お姉ちゃんと過ごした時間……凄い楽しかったよ……。 空間で一緒に特訓とかして……二人で強くなれてるって感じも嬉しかった……」

「嫌だ……死んじゃ嫌だよメイ……」

 ウリエルの目から涙がこぼれ落ち、ほかのみんなは信じられない事を見ているかの様な表情である。

「でも……本当は……。 もうちょっと……一緒にいたかったよ……」

「私だって……! もっともっと一緒にいたいよ! だから……!」

 メイの目からも涙がこぼれ始め、レノーラと翔一、デュークの目からも涙が流れ落ちる。 ロケスとミカエルは拳を握りしめ下を向いている。

「ありがとう……お姉ちゃん……本当に……」

 メイは少しウリエルから少し離れ始めた。

「孤独だった私に……「妹だ」って言ってくれて……」

 メイはウリエルの顔の目の前で涙を流しながら

 満面の笑みを見せた。

「本当にありがとう」

 メイはゆっくりとウリエルに近づき、そっとキスをした。 そしてもう一度笑うとウリエルの足の上にゆっくりと倒れた。

「メイ……?」

 ウリエルはメイを再び抱き寄せた。 しかしメイはもう動かなかった。 動くことはなかった。

 みんなの目から涙がこぼれ落ちた。

思ったより最後の方書くの辛かった……

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