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魔力大戦 ~magical world~  作者: アッキー
「絆魔力」と「神と呼ばれし獣達」
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五本の指

読んでいただけるとありがたいです。

「どこにいるんだろうね……」

 ウリエルは矢印が指す方向に向かって歩いていた。

「でもウリエルは二つあるからどちらかを優先しないと」

 横でメイがそう言った。 メイはウリエルの横でウリエルが(ウオーター)の魔力で生み出した水に乗るようにして移動していた。

「でもメイが浮けるとは思わなかったよ」

「えへへ。 かなり特訓したもん♪」

 メイは笑顔でそう言ったが不意に表情が暗くなった。

「私一応王族だからさ……。 これくらい出来るようになれって言われて……」

「でもその特訓のおかげでそれ出来るんでしょ? 結果的には良かったんじゃない?」

 ウリエルは笑顔でそう言った。

「うん。 そうだね♪」

 メイの顔にも笑顔が戻り、ウリエルも一安心したかの様に ふぅ と ゆっくり息をはいた。

(やれやれ……たまに暗くなって涙目になるんだから……。 何か小さい時にあったのかな……?)

 ウリエルはそんな事を考えながら歩き続けた。

(そういえばメイっていくら何でも小さすぎないかな……)

 ウリエルは振り返りメイを見た。 メイは不思議そうに首をかしげるがウリエルはメイの体を見た。

(私も背は高くないけど……)

 ウリエルはメイに近づくと

「メイ。 ちょっと身長比べて見ようよ♪」

「身長?」

「うん。 ほら地面に尾ひれの先を合わせて」

 メイはウリエルの肩に掴まり、尾ひれを地面につけ、背筋を伸ばした。 水はメイのお腹を纏っている。

 メイの頭の先はウリエルの鼻より下だった。

(ほっぺたが私の肩位だもんね……。 普通にしゃがんだりしなくてもおでこにキス出来る位か……)

「メイって……何歳?」

「ふえぇ!?」

「いや、そんな驚かなくても……」

「ウリエルって……十五歳くらい……?」

 ウリエルは首をかしげ、

「そうだよ。 今年で十六だけど……」

 と答えた。

「…………じゃあ私の方が年下だよ」

「まぁそれは薄々気づいてたけど……」

「えっ……どの辺で?」

 ウリエルは少し考えた後

「今比べた身長差もそうだけどたまに幼いところがあるというか……何か妹みたい」

 と答えた。 メイは頬を赤らめ、ウリエルの胸に顔を埋めた。

「ちょっと……くすぐったい……!」

 ウリエルがそう言って少しメイを引き離した。

「それで……何歳なの? 別に年下だからって気を使うことはないよ? 今まで通り接してくれていいからさ」

 メイは恥ずかしそうにしながら再びウリエルにくっいて小さな声で答えた。

「……十二歳」




「……久しぶりだな」

 そうベルゼブブは言った。 目の前には一人の男と一人の女が立っている。

「そうだな。 確かに久しぶりだ」

「別に会いたかった訳でも無いけど……」

 そう言って女は木に飛び乗り、枝に腰をかけた。

「そういうなよレヴィアタン」

「そうだぞレヴィ。 ベルゼが可哀想だろ」

 レヴィアタン。 そう呼ばれた女は髪をいじりながら答えた。

「別に本当のことだもの。 それに貴方はどうなの? アイモデウス」

 アイモデウス。 そう呼ばれた男はため息をつくと

「俺は特にベルゼは嫌いじゃない。 寧ろ「祖の魔力」を持っているのだから頼りにしている。 だからここに来たんだ」

 と答えた。

「流石「七人の魔神族(ヘルデーモン)」の最年長は言うことは立派だな」

「俺は本音だぞ。 ベルゼ」

 ベルゼブブは笑いながらレヴィアタンと同じように木に飛び乗りると枝に腰をかけた。

「今日二人に集まってもらったのは向こうの大陸の

七人の魔神族(ヘルデーモン)」の三人が死んだことを伝える事。 そして一週間後の……いや、もう後六日後と言った方が正しいのかも知れんがな。 とりあえずその日の計画についての話だ」

 ベルゼブブがそう言うとアイモデウスとレヴィアタンは呆然としていた。

「べリアルとルシファー。 そしてサタンが何者かに殺られたというのか?」

 アイモデウスの問いにベルゼブブは頷いた。

「あぁ。 サタンはこの大陸に来ている子供(ガキ)に殺られた様だ」

「あー、それ私知ってるわ。 向こうの大陸にいる時に凄いでかい炎が見えたから見に行ったら炎が見えた場所に一人の女が立ってたよ。 そいつが殺ったんじゃないの?」

「おそらく分裂したんだろう。 片方はその女が倒したんじゃないか?」

「さぁな。 とりあえず言っときたいのはその子供(ガキ)が「祖の魔力」を持ってるってことだ」

 アイモデウスとレヴィアタンは驚きの声を上げた。

「嘘でしょ!?」

「種類は何だ?」

 ベルゼブブはハンモックに飛び移り、横になった。

「まぁ落ち着け。 少なくとも俺の「祖」の魔力よりは現段階では使いこなせていない。 ちなみに種類は「想像」だ。 使用時にはペンダントが光を放つ」

 アイモデウスはハンモックの近くの切り株に腰をかけ、レヴィアタンはベルゼブブの近くの木に移動した。

「まぁベルゼの敵ではないならいい。 俺たちは勝てんだろうが」

「「祖の魔力」と殺り合うのは勘弁だわ」

「まぁ待て。 まだ戦うと決めた訳じゃない。 もう一つの話に移ろう。 まず計画っていうのはこの大陸にいる種族を俺たち以外絶滅させることだ」

「また大きく出たな」

「いつもの事じゃない」

 ベルゼブブはハンモックの上に座ると話を続けた。

「計画ではこの大陸を水没させる。 ある者の力を借りてな。 だがこの大陸の王達はそんなことはさせまいと俺たちの元へ来るはずだ。 その時に戦闘になる」

「その時に力を貸せと……」

「随分と簡単な話ね。 例え私たちが痛手を負おうがベルゼブブに治して貰えばいいじゃない」

「俺は「想像」の子供(ガキ)を殺る。 そんなに余裕をかましている暇はないかも知れん」

 そう言ってベルゼブブは再び横になった。

「あとレヴィアタン。 明日お前のあれを貸してほしい」

「……丁重に扱ってよ」

「分かってる」

 アイモデウスはゆっくりと立ち上がるとベルゼブブ達と同じ様に木に飛び乗った。

「ベルゼ。 その日まで俺たちはどうしておけばいい?」

「一緒に行動してくれるだけでいい。 偶然ここに来た輩を殺したりするときに居てくれると助かる」

「そうか」

 そう言ってアイモデウスは座った。

(あいつが復活すればこんなに手こずることはなかったのかね……)

 ベルゼブブは夜空を見上げながらそんな事を思った。




 一人の男の子が座り込んでいた。 目の前には一人の女性が立っている。

「嘘……だろ……」

 男の方は手を地面につけて息を切らしている。 胸元にはペンダントをつけている。 光は放っていない。

「確かに強いね。 これで「祖の魔力」が使えるなら世界で「五本の指」に入る実力者になるんじゃない?」

 そう女性は言った。 息は全く切らしておらず、平然と立っている。

「レノーラ……こんなに強かったのか……?」

 レノーラは笑いながら男の子の手を引っ張った。

「でも遊真は「想像」の魔力を使っていないでしょう?」

「まぁ……そうだけど……」

 遊真はうつむいた。

「さ、向こうにベットが用意してあるから休んだら出発しましょ。 向こうの世界に戻ってもそんなに時間はたってないはずだから」

「分かった。 一人で歩けるよ」

「あ、そう? じゃあ私は少しだけ散歩してきてもいいかしら?」

「うん」

 遊真がそう言うとレノーラは手を振って空間から出ていった。

(まさかレノーラに負けるなんて……)

 遊真は肩を落とした。 慰めてくれた相手が自分を負かすとは気分がいいものではない。

(一体何者なんだ……レノーラは……)

 遊真はそう考えながらベットに向かった。

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