side勇者 vol5
ひっさしぶりの勇者回です。
「サトル様、演習の成績優秀者が決まりましたが…本当に戦うんですか?」
「どういうことだ?まさか僕が負けるとでも思っているのか?」
「いや、そうじゃないんだけど…なんというか、対戦相手結構やばいよーって言う話で…」
「ほう、是非一度会ってみたいな」
これだけ念を押してくるということは、演習中も常識離れした戦闘をしていたのだろう。そんなやつを勇者の僕が倒せば!勇者への信頼とブランドイメージはより確立されたものとなる!フフフ、計画が完璧すぎて心酔してしまうよ…
「さあ、僕と戦闘する権利をあげようじゃないか!前へ出てこい」
「はぁい」
出てきたのは…とてもじゃないが、強そうには見えない要望の女。別に特別ガタイが良いとか、強い圧を感じるとかでもない。これは…少しあっけない試合になりそうだな。
「お前が今回の演習の最優秀者か?」
「まあ、一応そうなるねぇ…」
「ハンデをあげよう。初手はお前に譲ってやるから、遠慮なく攻撃してこい」
「ホントに?まあいいけど…」
これぐらいハンデがなければ、試合として面白くないだろう。
「じゃあいくよー…フッ!」
「なっ!!!」
**********
一体、何が起こったんだ…
掛け声とともに、とんでもない魔力量の魔法が放たれた。しかも、僕が今まで見たことのない種類の魔法が…
「どうしたの?見たところ満身創痍みたいだけど…」
「…問題ない。さあ、こちらも仕掛けさせてもらうぞ!」
魔法使いということは、近接戦闘はそこまで得意ではないだろう。僕の実力をもってすれば、この状況からでも勝利は確実…
「ちょっと、いきなり近づいてこないでよー」
「おいおい嘘だろ!?」
自慢じゃないが、僕の近接戦闘はそこそこの速度に達している。その速度で繰り出される攻撃を、魔法使いの筈のこの女がきちんと受けられるなんて…
「お前、魔法使いじゃなかったのか?」
「私がいつ魔法使いなんていったの?」
「それはそうだが…」
今、僕は本気の力で剣を押し込んでいる。なのに、この女には会話する余裕があつというのか…?
「流石にさ、勇者と呼ぶには力不足だと思わない?こりゃあ、勇者への警戒はしなくていいかな」
「何を言ってるのかわからないが、勝ったと思うなよ?」
そう、僕にはまだ奥の手がある。…これまでも使ってきた、あるサインを出す。そうすると…
「これで、どうだ!」
そう、セピアとの戦闘にも使った支援魔法を用いた戦闘。これに関しては関わってる人数が多いだけに、そうそう打ち破られるものじゃない。そして直接指示を出しているわけじゃないから、そうそうバレることはない!
「おお、一気に速度が上がったねー」
しかし、この女はこの速度についてきている。これは本格的に負けるかと思っていたが…
「っ!」
なぜだか知らないが、女の反応速度が一瞬落ちた。このチャンスを逃す僕じゃない!
「どうした、まだやるか?」
「いや、やめておくよ。流石勇者だ…」
「なら、僕の勝ちだ!」
サトルは、結構危ない状況から勝てたということもあって相当喜んでいた。しかし、取り巻きの二人は気づいていた。
女の敗北宣言が、大根役者もニッコリの棒読みだったことを…
**********
「どうだった?噂の勇者とやらは」
「めちゃくちゃ弱かったよ。途中バレないように仲間の力を使ってまで勝とうとしてきたけど」
「じゃあ、最近言われているすごく強い人間とやらはその勇者ではないということか…」
「うーん、演習にそれらしき人はいなかったから警戒しなくていいんじゃない?」
「そうか、なら安心して攻め込めるな」
お疲れ様です。
今日誕生日なのでブクマと評価してください…




