選考対象に選ばれましたとさ★ vol7
ちょっと短めです。
どうやら、詠唱していることを隠すために、口元を動かさずにしゃべるという技術を会得しているようだ。なんだその無駄技術はと思ったが、彼女は恐らく違う国の人間だ。国が違うなら、そういう文化というか技術が浸透していてもおかしくはない。
「さて、どうしようかなぁ…」
正直言って、こんな呑気に考えをめぐらすような余裕はあまりない。なんせ向こうはほぼ無尽蔵のスタミナに身を任せ、最高品質の武器で容赦なく殴ってくる。このままだと押し負けるな…
「なんとか魔法を放つ隙間を見つければ…」
基本的に魔法がギリギリ放てない感覚で攻撃をしてくる。それも陰湿極まりないのだが、相手も人間だ。いずれ間隔が広がってくるだろう。そのタイミングを狙って…魔法を放つ!
そうして、さらに二分ほど攻防を続けると…
「きた!『火の雨』!」
いくら高速移動していようとも、雨状の魔法なら問題ない!
「うっ…」
よし、被弾によって動きが止まる。このチャンスを逃す手はない。
「『不死鳥の(アロー)』」
「ちょ、まっ…」
待つわけがない、これを逃すとまた数分間攻撃を裁かなきゃいけないんだ。
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「え、えと…勇者様の、敗北です」
「おい、嘘だろ?何かしらの不正を…」
「不正をしてたのはお前じゃないのか?仲間に魔法使わせてただろ」
「気のせいじゃないかな?」
「いいや、人間のスタミナじゃない。まあ、それはいいんだ。今後はもう過度な絡み方は止めてもらう」
いやはや、非常にすっきりしましたよ。こういう機会に挫折を知るのも人間として悪くないんじゃないのか?まあ、僕に勇者の人としての成長を助けてやる義理はないが。
「じゃあ、そろそろ行こうか」
「そうしましょうか、もう時間も遅いですし」
「うん、宿を探そうか」
そんなわけで、グールが誇る勇者様は、たまたまそこにいた冒険者に屠られてしまったのでした…
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「にしても、あの勇者別に強くないじゃない?」
「というと?」
「いや、魔法に対する対処もできてなかったしあの機動力やスタミナだって装備や仲間の支援ありきだし…」
「まあ、それで結果的に強いんならいいと思うけど…」
「絶対この国にも、あの勇者のシステムに不満をもってる人たち居ると思うんだけどなぁ…」
「確かに、あの優遇具合は不満がたまりそうですね。ただ、国としては何かと必要な人物ですし…」
「ああやって見世物にしたり、ファンクラブの会員費を搾取したり…」
「あ、もう濁さず言っちゃうんだ」
ただ、本当の問題は…選考会なんだよなぁ。
お疲れ様です。
贅沢は言わないのでブクマと評価してください()




