選考対象に選ばれましたとさ★ vol4
テストに関しては言及しません。
「なんかいい感じに時間が出来ちゃったね」
「そうですね。セピア様、どうしますか?」
「取り敢えずお昼にしない?流石に何か口にしないと…」
「そ、そうだね…」
本来は今日遅れていく予定だったので。朝食もまだなのだ。現在時刻13時、そろそろ昼食にしないと本格的にヤバそうだな。
「じゃあ、手ごろな飲食店でも探すか」
「そうですね、この国の名産とかあるんでしょうか」
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そんなこんなで、僕らは近場のレストランに来ている。全員空腹なので、今更店を選んでられない。ただ、その判断が仇となったようだ…
「セピア様、これ…」
「これはちょっと…」
「流石に許容できるレベルを超えてるわね」
そう、尋常じゃないくらい人が多い。時間的にはピークを少し外れているような気がするが、そんなこともお構いなしに満席である。
「どうしましょうか…」
「うーん、これから店を探し回るのもなぁ…」
「そうね。流石にもう歩きたくないわ」
何とかしてこの店で昼食を済ませる必要があるわけだが…
「すみません、ただいま満席でして。少しお時間いただきますがよろしいですか?」
「ええ、待たせていただきます」
ここで気を付けてほしいポイントは、ここで言う『少しお時間』は決して少しではないということだ。誰だって『めっちゃ待ちますよ』とか言われたら待つ気失せるでしょ?だから『少し』と表現して最初の一歩を踏み出させるという算段だ。つまり、僕らはまんまとこの店の営業戦略に引っ掛かっているわけだ。
「少し、ね」
「ユーリでもわかる?あれが建前だって」
「魔族側では聞かない言い方だけれど、絶対に長い間待たされるということはわかるわ」
どうやら、この手の売り文句は全種族共通らしい。
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30分後…
そう、30分だ。人によっては少しに入ったり入らなかったりするあたりがいやらしい。これじゃあ詐欺として訴えられないわけだ。そして追撃をかますかの如く…
「すみません、相席でもよろしいですか?」
「えっと、どうする?」
「これ以上待つわけにはいきませんし、そうしますか」
「そうだね、相席で」
「わかった。ではそれで」
相席か。何かいかつい感じのお兄さんとかじゃないといいけどな…なんて思いながら店員さんの案内に身を任せ、席を目指していると…
「こちらです。メニュー等は手前のバスケットに入っていますので」
「わかりました」
「それではごゆっくり」
ゆっくりなんてできるか!そう叫んでもいいだろうか。そう、ゆっくりできない原因様が今現在僕の目の前に存在しているのだ。
「サトル様、なぜ相席なんて許可したのー?私たちの愛の巣がー!」
「まあいいじゃないか、これも勇者の務めだ」
「流石です!流石はグール国唯一の勇者に選ばれたお方です」
何よこのチャラそうな金髪イケメンは。そしてその痛い取り巻き二名は。
「セピア様、勇者って本当なんですかね?」
「真偽は不明だけど、こんな大声で勇者だなんて言いふらして何も言われてないからな。本当なんじゃないか?」
「セピア君、勇者って何?そんなユニークスキルとかあったっけ?」
「勇者っていうのは、この国グールが勝手に選定してる冒険者のことだよ。一国の王がその国最強と称するだけあって、ある程度の実力や装備は保証されるんじゃないかな?」
そう、この国には勇者制度というものが存在する。勇者に選ばれると国から援助金を受け取れたり、仲間を好き勝ってスカウトできたりするわけだ。冒険者であれば一度は夢見るらしいが、その実情は出身家の力や賄賂などが見え隠れするようで、毎回選ばれるのは国王が贔屓している冒険者なんだとか…
「まあ、なんちゃってだろうね」
「おい、聞こえてるぞ?まあ、低俗な人間ならそうやって悪いように言いたがるのもわからなくはないけどね。自分がいかにみじめなことをしているか、自覚をした方がいいんじゃないか?」
「そうよ!サトル様は正真正銘勇者なのよ!」
「恥を知りなさい」
「「「痛った」」」
綺麗に重なったね。満場一致というわけだ。
お疲れ様です。
僕の性格が悪いからなんですかね、鼻につくというか、ざまぁされそうなキャラだとタイピングがメッチャ捗るんですが。




