全面戦争 vol9
4月なのになぜこんなにも寒いんですかね。
その後、魔法で魔力回復しつつ押し寄せる魔物、及び魔族に対処していく。幸いなことに、魔法消去は幹部しか使えないみたいなので、こちらの魔法師団も機能しているみたいだ。
「セピア様、何か変わった様子はありませんか?」
「えっと…新たな戦力が投入されていない?」
「やはりそうですか」
そう、ここ数十分ほど敵の戦力の増加がみられない。これは恐らく…
「指揮官が手を止めているんだろうな」
「どうやら、ユーリはまだ善戦しているみたいですね」
「いや…少し反応が弱い」
奴隷の持ち主は、自分の奴隷に命令を下せる関係上奴隷のおおよその魔力量がわかる。あくまで僕の感覚だが…先程よりユーリの反応が弱い。お互いに削れていればいいものの、一方的にやられていた場合どうしようか…
「セピア様、本当に危なくなったら向かってくださいね」
「わかった。ただそれまでは…ユーリを信じてみよう」
「そうですね。一応魔王幹部ですし」
「一応と言うか幹部だよ?」
ずっと僕らと一緒にいるせいで威厳的なものが消滅してる気もしなくもないが、ユーリだって立派な魔王幹部。そう簡単に負けることはないと信じている。
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あれから数十分後…
残念ながら、私は苦戦を強いられていた。何せ、常に両親を盾に使われている状況で、お互いの手の内も割れている。
「そろそろ諦めてくれない?私としても、長期戦は避けたいだけど…」
「まさか、もう勝った気?舐めないで頂戴」
「まあいいけどさ」
リゼにはまだ余裕が感じられる。それに対して、私は手を抜くことなんてできない。それを察知して、リゼもあんな言葉を投げかけてくるわけだ。
「ねえ、このまま戦うとすると、確実にあなたが負けるわよ。何せ、お互いの削れ方的にあなたが不利だし」
リゼがそういうのなら、そうなのだろう。確かに、現状はお互い同じぐらいのペースで削れているように感じられるが、もう少し戦闘が長引けばいずれ私の集中力が切れてくる。そうなれば…形成が大きく傾くだろう。もう…手段は選んでいられない。
「『火の雨』!」
「うそっ…」
突然の魔法発動。だが、驚くべきはそこじゃない。
「あなた、本当に最終手段ね…」
「勿論。セピア君のためにも、負けるわけにはいかないのよ」
理論上、人間用の魔導書を魔族が使うことは可能。ただ、それは倫理的に避ける傾向にある。なぜか。人間の魔法技術は魔族に対して劣ってるので、それを使用するというのは魔族のプライドに関わる。実際、魔族が通う学校等でも『人間の使う魔法はとても単純で、劣っている。決して使うことが無いように』と教えられているぐらい。それほどまでに、魔族が人間の魔法を使うことは重大であり、禁忌とされているのだ。
「まさか、私も魔法消去が使えることを忘れたの?」
これだけの数あるにもかかわらず、リゼは簡単に消して見せた。もちろん、これは織り込み済み…
「いくらリゼでも、知らない魔法の一つや二つくらいあるはず…!」
「そりゃそうかもしれないけど…」
あまりにも無茶、無謀すぎる。せめてもう少し成功する確率が高い方法があるだろう。私だってそう思う。ただ、今の私には他の方法なんて思いつかないし、魔族としてのプライドなんてなんの役にも立たない。相手が知らない土俵に立つ、これが戦闘の基本だ。
お疲れ様です。
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