1.いつもの日常
「おはよーレオ、起きて起きて! もうっ早く起きてってば‼」
「う、うーん……あと5分」
私はメイ。両親同士が仲が良くて、レオンとは赤ちゃんの時からの幼馴染みなの。
今年から聖テレーズ学園に入学したんだけど、レオったら毎朝私が起こしに行かないと起きないんだもの。嫌になっちゃうわ。
「もう、早く起きてってば!……きゃあっ」
バッシーンッ!!!!
「いでーっ‼」
あ、いっけない。
急に寝ぼけたレオに抱きしめられて思わず思いっきりひっぱたいちゃった。
「……いきなりなにすんだよ、メイ。信じらんねー!!」
「ちょっ! ちょっと、レオが悪いんじゃない‼ もうっ早く起きて支度してよっ」
「あらあら、メイちゃん今日もありがとうね。レオン、遅刻するわよ。メイちゃんも困ってるじゃない。早くなさい‼」
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「ちっくしょー。今日も朝飯抜きかよ。脇腹いてー……メイ、ちょっと待てよっ」
「レオがなかなか起きないから行けないんでしょう? もっと走って! はやくはやくっ‼」
私たちの朝はだいたいいつもこんな感じ。
レオンが起きないから、毎日学園までケンカしながら走って通学するのが日常茶飯事なの。
本当は二人でもっとのんびり歩いて通学したいのにな……。
「はー、はー。なんとかセーフだな」
「はぁ、はぁ……も、もう、明日こそちゃんと起きてよね」
「二人ともおはよう!」
「「「ひゅーひゅー」」」
「お前ら今日も仲良く一緒にご出勤か?」
「メイちゃんたち、本当に夫婦みたいよね」
「「そっそんなんじゃねーっ‼」ないわよっ‼」
「はいはい。返事もしっかりハモってるって」
「もう、お約束よねー。ふふふ」
もう、みんなったら……でも、私とレオって……本当にそんな風に見えてるのかな……?
レオは、私のこと本当はどんな風に見てるのかな……?
「はい、おはよーございますっ! ルッカ先生のおなーりー‼ あんたらとっとと席につくっ‼」
「「「「「麗しのルッカ先生。おはよーございまーすっ」」」」」
「よろしい。じゃ、今日も一日元気にいきましょー。私を煩わせるような問題事だけは起こさないでね?」
〜4時限目〜
今日の午前の最後の授業はディアーナ先生の体育の時間。
レオンったら朝から何も食べてないからなんだかふらふらしてる。大丈夫かな?
もう、ディアーナ先生はやる気のない生徒には厳しいんだから、ちゃんとしてよ。
「はーい。みんな、今日はルッカ先生にも来てもらったの。魔法を使いながらの体術の実践をやるわ。これまでに魔術の授業で覚えた魔法を使ってトーナメント戦をやってもらうわ」
「みんなー。少しの怪我くらいなら何とかなるけど、殺し合いはダメよー? でも全力でやりなさいね」
「……なあ、メイ。ルッカ先生って言ってる事めちゃくちゃだよな?」
「ちょっと、聞こえるわよ。静かにしてっ。レオン、また怒られるわよ?」
「そこの二人、もう授業は始まってるの。無駄口は禁止よ!」
「くすくす」
「また、あの『夫婦』かよー」
「静かにっ! 全員、私と模擬戦がやりたいのかしら?」
「「「「「…………」」」」」
模擬戦は、男子と女子とで分かれて始まった。レオ、お腹空いてたみたいだし大丈夫かな?
…………
「女子チームはもう終わったみたいね。勝者は、メイね。ほとんど得意な体術だけで良くやったわ」
「えへへ。ありがとうございます」
「「「メイちゃんすごーい」」」
「女子チームはメイちゃんが優勝か……はあ。メイちゃんってほんと可愛いよなー」
「それな。まじでレオン死ね」
「なっなんでだよっ! メイは幼馴染なだけでっ‼」
「……それ、まじで言ってんの?」
「……う、いや。メイは確かに可愛いよ。だけど俺なんかと一緒にいてくれるのってきっと幼馴染みだからなんだろうし……」
「……だよなっ。だよなっ! って事は俺たちにも希望があるって事だよな⁉」
「えっ?」
「よし、じゃあこうしようぜ。男子は全員でレオンを潰そうぜ! で、勝った奴がメイちゃんに告る権利が貰えるって事で」
「は、はあっ⁉ おい、ちょっとヨハン、お前なに言ってんだよ‼」
「「「「「いいじゃんいいじゃん。そうしようぜっ」」」」」
「お……おいっ……うおっあぶね‼ ……分かったよ。そういう事なら全員ぶっとばしてやるぜ‼」
「……あれ、なんか男子チームおかしくない?」
「男子全員がレオン君を攻撃してるの……?」
「えっ⁉ なんで……レオン? レオンっ危ないっ‼ みんなっやめてー‼」
「「あんたたちっ‼ 何をやってー」」
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン……
爆音とともに、校庭に大きな土煙が舞い、視界が閉ざされた。
レオン? レオン……もしかして……だめよ……そんな……
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「男子生徒全員、昼休みはなしよ! 放課後もね……片付けが終わるまで帰さないわ」
「「「「「……申し訳ありませんでした」」」」」
「戦犯はヨハンとレオン……またあんたたちなの⁉ いい加減にしてよー。私が学長に怒られるじゃないっ」
「「すいませんでした……」」
暴発した魔力をルッカ先生が相殺してくれて視界が元に戻ると、男子生徒はみな黒焦げになっていたの。
……レオがやっちゃったみたい。
私とレオは小さい時から英才教育で一緒に魔法を習っていたから、レオが魔法が得意なのは知ってたけど、全力で魔力を使うのは禁止されてたし……私も駄目だってあれほど言ってたのに……。
「ほんと、男子ってばかよねー。メイちゃんごはん行こう?」
「あ……うん」
あとで、こっそりパン持っていってあげようっと。




