表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(本編完結)また第二次世界大戦かよ  作者: 登録情報はありません
94/131

豪州攻略(3/7):ダーウィン上陸

233.7mm海岸砲がダーウィン港要塞で睨みを効かせていましたが睨んでいるだけに終わりました。これは給弾を担当するアボリジニがいなくなったからです。日本軍戦車が次々と上陸、豪州戦車と対決することになります。

豪州自慢の港湾要塞は一発も撃ってこない。

ダーウィン港の突端にある岬の要塞は沈黙していた。


アボリジニ原住民を豪州では多数軍属(警察官待遇)としていた。

彼らは砲弾の搬入/運搬に従事させられていた。


要塞のアボリジニは全員逃げ出していた。

戦場を命令無視して逃亡すれば極刑に処せられる。


だが彼らは軍属(軍人以外で軍隊に所属する者)なのだ。

戦後アボリジニは民間強要を盾に起訴する事になる。


地下弾薬室、炸薬室、弾薬昇降機にも人影はない。

さらにアボリジニは海岸線で日本語を叫んでいた。


「コッチ、コッチ」「コイ、コイ」

真っ暗な海面を密かに移動するモノがある。


やがてアボリジニの導きによって海上機動兵団が密かに上陸する。

イーストポイント岬の海岸砲は占拠されてしまったようだ。


日本はアボリジニの民族意識を煽り内乱を蜂起させていた。

白豪主義を(くつがえ)して文化と言語を取り戻すのだ。


要塞砲は完成時試射3発以外とうとう火を噴くことはなかった。

46.7口径の9.2インチ砲はなんと日本軍の鹵獲品となってしまった。


ドレイク「1908-1920年まで稼働した旧式砲なんぞどうでもいい」

それよりドレイクは戦車揚陸艦の数が気になっていた。


ファニーベイに1隻、いや2隻か?

合計8隻の戦車揚陸艦が確認できる。


ブレイクはポートモレスビーの沿岸監視員(コーストウォッチャー)からの目録を見た。


ニューギニアの原住民には豪州に味方する者がいる。

彼らは日本側の荷役を手伝う振りをして密告を続けていた。


アボリジニ警官とは違い、彼らには愛国心がなかった。

報酬はその()(しの)ぎのタバコやアルコール類で充分だった。


報告によると戦車揚陸艦は全部で10隻のハズだった。

今、目の前には8隻の揚陸艦が展開して戦車を降ろしている。


未確認の2隻は第二次攻撃に回ったのかもしれない。

とにかくダーウィン周辺には14×8=112輛の戦車という事になる。


この時の為に日本は軍を挙げて資材を集め技術を結集して来た。

もはやここは南半球の端にある豪州大陸である。


この先は南氷洋と南極大陸まで何も無いのだ。

ポートモレスビーに貨物船が来るまで21日間掛かる。


日本からは斯様(かよう)に遠く、また絆も繋がりも希薄である。

ここまで来るのは容易なことでは無かったのだ。


その日本の戦車が遂に豪州大陸の土を踏みしめた。

現112輛がそれぞれの配置に着こうとしている。


豪州戦車300輛VS日本戦車112輌!

試製チト2号車は105mm砲を搭載する予定だった。


だが製作が間に合わず、75mm砲を搭載している。

つまり装甲は105mm砲を前提としていて分厚いのだ。


112輛の戦車は鋒矢(ほうし)の形に隊形を組んだ。

やがて後方の戦車が突撃し、前方の戦車が道を開けた。


その突出してきた日本軍戦車4輛は縦列に並んでいる。

北から南に向けて一列に並んでいた。


それを東西(左右)に野伏せていたM3中戦車10輛が襲いかかる。

南正面のデイビット・ブレイクの主隊が釣りである。


ブレイク「喰らえ!」

左右に廻り込んだ豪軍戦車の主砲が火を噴いた。


バッキイインッ!

ドッカアアーンッ!


大爆発の黒煙に日本軍戦車の1輛が包まれる。

ブレイク「やったか!」


だが日本軍戦車はなんともない、前進を続けている。

ブレイク「日本の戦車はバケモノか?」


砲身は75mm砲だ、それは間違いなかった。

同じ75mm砲戦車なら装甲厚も同じはずだ。


前面はともかく側面が抜けないのはおかしい。

なぜ抜けない!なぜ貫通しない!


しかし日本は独国からティーガーの技術を輸入しているかも知れない。

もしそうならこのM3中戦車では歯が立たないのも無理はない。


ブレイク「試製戦車を試す時が来たようだな」

それは実践試験の名目で配備されていたT26E1重戦車である。


独タイガー戦車の88mm砲に対抗する90mm砲を有する。

日本軍重戦車の異常な進化を懸念した米軍もまた前倒しに進化していた。


今欧州で活躍しているM4戦車では日本のホチ車には勝てない。

<ホチ車:榴弾を発射する砲戦車で試製チト二号車の前身>


T26E1試製戦車は3輛で砲弾は各12発x3輛分だけだった。

当時の米陸軍地上軍管理本部は極端な兵器統一思想に囚われていた。


供給先の米国は大量生産・大量投入の統一思想に傾いている。

次々と随時新型や試作を戦地に投入する発想が無い。


パットン将軍「M4中戦車は充分な機能を有しており新型は必要ない」

かの有名な将軍の名言が管理本部の主張を補強していた。


ブレイク「そのM4中戦車を豪州に貸与してくれなかったがな」

ブレイクは欧州の米軍vs独軍の陸戦に思いを馳せた。


聞くところによるとM4の敵、独軍戦車はとんでもない脅威だという。

タイガーⅠ型という戦車が次々とM4を炎上させているらしい。


タイガー1輛にM4が4輛一組になって戦いを挑んでいるという。

これでは戦車不足になり、豪州に貸与出来ないのも無理はない。


「シンガポール陥落の際の報告によれば日本戦車も相当堅牢らしい」

そう言ってブレイクはT26E1重戦車を頼もしそうに眺めた。


このT26E1重戦車は異例中の異例の処置なのだ。

そのため「試し打ち」程度の試製戦車3輛と砲弾各36発しかない。


ブレイク「これで貫通できなきゃ撤退しかない」

「90mm砲の威力を思い知れ!」


バッキイインッ!

ドッカアアーンッ!


大爆発に日本軍戦車の1輛が包まれる。

ブレイク「やったか!」


やってない、爆炎を抜けて平然と前進してくる。

今度は日本戦車の75mm砲が火を噴いた。


ドッカアア~ンッ、バスンッ!

豪M3中戦車の一台が貫通銃創をこしらえた。


ブレイク「うお、なんだあ、有効射程距離外だろ?」

彼我の距離はまだ1750mで貫通は49mm、M3の前面装甲は51mmだ。


まだきわどいとは言え、射程距離外のハズである。

ブレイク「一体どんな砲弾を使っとるんだ?」


徹甲弾である事は間違いない。

貫通するだけで爆発しないからだ。


だが発射の瞬間に装弾筒が弾体から分離している。

運動エネルギー徹甲弾である事は間違いない。


ドスンッ、バスンッ!

次々にM3中戦車は打ち抜かれていく。


米軍の75mm砲弾はすべて弾き返され損害がない。

ブレイク「後退攻撃だ、後退しろ」


だが戦車隊はどんどん撤退して行ってしまった。

ブレイク「オイ、止まれ。ストーップ!」


側面に廻り込み履帯を狙えば戦車は動けなくする事はできる。

だが恐れを成した戦車隊はパニックになっていた。


戦車兵A「だめだっ、もうだめだ!」

戦車兵B「88mm砲が通じない!」

戦車兵C「日本のタイガーだ!」


ブレイク「4輛一組になって1輛を攻撃しろ!」

「例えタイガーだとし」


ドッカアアアーンッ!

ブレイクの指揮戦車は炎に包まれた。


独軍はM4中戦車を「ストーブ」と揶揄していた。

簡単に撃破され、炎上するからだ。


豪州M3中戦車は試製チト2号車の敵ではない。

次々と打ち抜かれて、豪州の荒野にその(しかばね)(さら)した。


使われた弾頭は運動エネルギー徹甲弾APFSDSであった。

音速を超えて敵戦車に激闘して塑性流動を起こして突入する。


これを防ぐ手立ては今のところない。

だが抜けた弾芯の正面にいなければ内部でもどうという事は無い。


内部に飛び散る音速の破片から身を防げばよいのだ。

その為に減速材(ファイバー)がタンク内に持ち込まれた。


さらに日本軍は第二陣として新たに戦力を投下する。

航空機400機、戦車揚陸艦20隻を準備していた。


ポートモレスビーからラバウルへ爆撃を行ってきた米軍。

ラバウルからポートモレスビーへ今度は日本機がやってきた。


ポートモレスビーはやはり豪州のウィークポイントだったのだ。

7つの飛行場には続々と日本機が降り立っていた。


制空権をとって、市街戦では揚陸した中戦車を使うためだ。

上部装甲が薄い戦車にとって敵機は天敵ともいえる。


敵の航空戦力を希薄にすれば戦車の出番である。

湾岸都市を手に入れ、味方の補給路を確保する。


さらに征圧後は輸送船団25䑸(そう)が物資を陸揚げする。

海防艦は1船団に付き4隻で、総数は4×25=100隻以上。


海防艦は対潜迫撃砲で武装し対潜ヘリを艦載している。

潜水艦隻数は秘匿だが、相当数が参加している。


これでも豪州大陸全土を占領するには足りない。

兵站が伸び切ってやがては破綻してしまうだろう。


日本は豪州大陸全土を占領するつもりはない。

それには「ある計画」があったのだ。


ジョン・カーティンが1942年当時の豪州首相だ。

1935年たった1票の差で彼に敗れた政敵がいた。


その名はフランク・フォード。

クイーンズランド州出身の政治家だ。


当時陸軍大臣でもある彼に日本軍征部が目を付けた。

1942年8月某日。


その日フォードはタウンズビルに向かっていた。

陸軍大臣である彼は豪州防衛についてマッカーサーに相談に来たのだ。


だがマッカーサーは沿岸基地を離れ、内陸のブリスベンにいた。

タウンズビルはすでに日本軍の攻撃を受けつつあった。


ブリスベンにマッカーサーはなぜ向かったのか?

そこには米軍の南西太平洋方面軍司令部がある。


あわててフォードは踵を返すとブリスベンに急行した。

すでに事態は切迫しており、一刻も早く手を打たねばならなかった。

爆発圧接は戦前に発見され、クラッド鋼に利用されながら1958年まで誰もAPFSDSへの応用に気が付きませんでした(正史)。そこでIF歴史では日本が魔改造して徹甲弾へ改造したことにしました。これはサルファ剤が1908年に発見されながら1935年まで応用に気が付かなかった正史と似ています。西欧は発見は直感とインスピレーションで素晴らしいのですが改造が下手なのです。次回は閑話:APFSDSです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 日本はどこまで火薬と製鋼技術を引き上げたんだろう? タングステンで毎秒970m、鋼なら毎秒1100m以下になると効果を失うらしいに。 火薬と鋼をしっかり改良してなきゃモノに出来ない…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ