超弩級戦艦大和
大和は第一戦隊に1隻だけで隠密行動をとって第7戦隊(ミ島上陸部隊)後方についていました。航空兵力喪失の暁にはミ島艦砲射撃もあり得たのです。
フレッチャー司令官「やややや大和だああああ」
米諜報部が撮った正体不明の大型艦「ヤマト」の写真。
かつてフレッチャーは笑ったモノだった。
「こんなにデカいんじゃ、ワシントンは絶対安全だな!」
「46cm主砲なら巨体は6万余トン、幅は40mを越える」
「パナマ運河(幅33.53m)を通れないじゃないか!
間違いない!地平線に現れたその威容は間違いようがない。
海軍が建造した大和型戦艦の1番艦「超弩級戦艦大和」である。
500km後方の本隊を先行してミッドウェー海戦にやっと間に合った。
戦況によっては(米航空機健在なら)、引き返す事もあり得た。
大艦巨砲主義はすでに夢であり、戦艦/重巡の用途は限られていた。
もうこういった使い方しか残された道は無かったのだ。
周りには第7戦隊重巡2隻、第2戦隊駆逐艦1隻も姿を現した。
ミ島上陸中止に伴い、大和と共に隠密行動を取っていたのだ。
重巡は4隻随行の筈がチョットした事故で1隻沈没1隻脱落していた。
駆逐艦も2隻随行の筈が1隻が脱落した重巡を擁護して離脱した。
どうも日本軍は陸海軍ともに陶犬瓦鶏な傾向が強い。
技術は進歩しても、ヒトだけはなかなかに難しいのだ。
戦艦、重巡は航空戦力には極端に弱い。
大量に襲いかかってくる航空機には為す術がない。
そこで航空戦力がゼロになるのを待っていた。
いよいよ大艦巨砲主義の巨人の出番が回ってきた。
ポヘッ、遙か彼方で閃光が光った。
大和の一斉射(実際は相互干渉を避ける為0.5秒遅延)の閃光だ!
40kmも離れているので発車の轟音が余り聞こえない。
東京の晴海に神奈川の横須賀から轟音が聞こえるかという話だ。
ヒュウウウーンッ!
ザッパ~ンッ、ザッパ~ンッ、ドカン!、ザッパ~ンッ!
ドカン!が命中弾だ。
大和のコンピューターが直ちに諸元を再計算する。
深井俊之助砲術長「砲射撃指揮電算機再計算!」
真っ暗な戦闘指揮所(CIC)にはオペレーターが並ぶ。
500台の並列TR計算機が一瞬で諸元を算出する。
射撃指揮所は艦橋最上部から艦内奥深くに移動した。
もはや有視界の射撃管制は過去のモノとなった。
今は電子装置による戦術表示上の仮想空間での戦いだ。
深井「目標を照準に入れて引き金を引く、か」
表示画面には敵味方のアイコンと数値が並んでいた。
「レーダー射撃にはどうも慣れんな」
そう言いながら彼は主砲の拳銃型発射装置の引き金を引いた。
ドグワワァ~ンッ、主砲射撃はとんでもない衝撃だ。
実験では露天甲板のモルモットはバラバラになってしまった。
今は敵機はゼロ、露天対空火器にヒトはいない。
深井「そのうちこういうのも全自動なんだろうな」
次々と正確な艦砲射撃が敵艦に着弾する。
米国任務部隊は重巡・駆逐艦ともに大損害を被った。
敵は46cm砲弾だ、もはや曳航してる場合ではない。
フレッチャー司令官が移乗した重巡洋艦アストリアも危険だ。
米潜水艦ノーチラスが艦隊に随行していたがやれることはない。
日本のカ号観測機がこの潜水艦をKMXで追い回していた。
フレッチャーは駆逐艦ベンハムに移乗して、脱出を試みたが失敗。
さらに駆逐艦ハムマンに移乗するも逃げ切れず、往生してしまう。
ハムマンは生存者救出で甲板は負傷者で一杯だった。
ヨークタウン生存者720名他、駆逐艦ハムマン生存者188名。
これらの乗員とともに、なんとフレッチャーは日本軍の捕虜となった。
フレッチャー「キングのヤツもこれで御満悦だろうて」
ニミッツ司令官の上官キング提督とは犬猿の仲だったフレッチャー。
汚点のない経歴にやっと×印がついたよという皮肉だった。
エンタープライズ艦長キンケイド「この私まで捕虜に……」
ホーネット艦長ミッチャー「鹵獲艦の上に捕虜に……」
スプールアンスは駆逐艦フェルプス(USS:Phelps(DD-360))で脱出。
米軍任務部隊の指揮官たちは四散してしまったのだ。
こうしてミッドウェー海戦は米軍の敗北に終わった。
ミッドウェー島から陸軍機がやって来た時、日本機動艦隊はいなかった。
ミッドウェー海戦参加の潜水艦ノーチラスは深手を負い、追跡を断念。
空母ヨークタウン、ホーネット、エンタープライズ。
この3隻は日本軍に鹵獲された。
戦艦大和の乗組員は全員が涙に暮れていた
初陣で敵任務艦隊を叩きのめした事もあった。
大和乗組員A「あれ、なんだか涙が止まらない……」
大和乗組員B「嬉しいような辛いような……」
大和乗組員C「吹っ切れたような……」
だがそうではない何か、常識を越えた感情が溢れ出したからだ。
この世界とは違う異世界の大和の運命がそうさせたのかも知れない。
米正式空母3隻鹵獲は全世界で大ニュースとなった。
これはとんでもない事だった、
太平洋艦隊で残ったのは結局空母サラトガ1隻だけだった。
残存空母レンジャー、ワスプは大西洋戦線で必要である。
しかもサラトガの艦載機はミッドウェーで喪失していた。
空母ヨークタウンに加勢の為、積載されていて一緒に鹵獲された。
貨物船改造の護衛空母ではロング・アイランド(AVG-1)がある。
ガダルカナルに航空機を輸送した経緯がある。
搭載機は30機しかないが無いよりはいい。
カタパルトを装着、甲板を伸張して使用出来る。
仮にワスプが太平洋に回航されれば、2隻で100機は搭載可能だ。
こうして米太平洋艦隊は1隻の正規空母と1隻の護衛空母になった。
ここでレンジャーは大西洋で唯一の米海軍正規空母となってしまった。
この1隻で大西洋と地中海をなんとかせねばならない。
1943年07月カサブランカ級航空母艦が就航する。
この驚異の「週刊空母」が出来るまで1年の辛抱だ。
日本軍は鹵獲空母3隻を日本に持ち帰って、徹底的に調べた。
レーダーのマグネトロンやアンテナ、カタパルト。
すべて分解され、デュプリケート(複製)された。
日本は発明は下手だが改造は大好物だ。
そしてそれは時に「魔改造」を生み出すのだ。
それはデッキ・エッジ・エレベーターでも同様である。
空母ワスプ(CV-7)から米軍空母に実装されている。
この舷側エレベータは発着艦を妨げない舷側にある。
折り畳み状態の航空機2機を昇降可能だ。
大改装を行い、1隻につき3基の舷側エレベーターを付けるようにした。
1度の昇降で2機づつ、計6機を上げ下げ可能となった。
これら鹵獲空母3隻は日本側戦力として活用される事となった。
日本海軍の主力空母は6隻+3隻で9隻になったのである。
鹵獲した艦艇からは暗号表と解読装置も引き上げられた。
日本の参謀本部第2部(情報)第6課アメリカ班が全部持って行った。
さっそく地点符丁を解読照合する。
やがて米国の戦略がおぼろげに見えてきた。
米国は日本の戦略拠点を攻撃しない。
代わりに輸送路を攻撃して補給を絶つ。
補給を絶たれた戦略拠点は孤立して飢餓が襲う。
かくして戦略拠点は容易く確保できるという作戦だ。
捕虜となったフレッチャー提督。
彼は絶対に自白しなかったが、それはそれでいい。
問題は彼が捕縛寸前に海に投げ捨てた革鞄だった。
伊168が拾い上げたその鞄の中身は軍事機密の宝庫だった。
空母に残された符丁表は焼けて灰になっていた。
だがこちらの鞄の符丁表は正真正銘の実品である。
そこからとんでもない情報が曝露されたのだ。
南方要塞ニューヘブリデズ (New Hebrides)の存在である。
空母ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットは鹵獲され、日本軍に編入されます。これは後日姿を現します。次回は大艦巨砲主義の夢です




