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(本編完結)また第二次世界大戦かよ  作者: 登録情報はありません
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ガダルカナル激戦(4/4)

一木支隊は正史では北海道の泊地から地図も無く悪疫瘴癘の地に投げ込まれ、軍旗に寄り集まってミ島で成し得なかった一番槍に先鞭を付けるぞと意気込んだ結果全滅したのでした。地図さえあれば一木支隊は善戦したと考え、今回は詳細な地図を頼りに進軍するIF戦記にしました。

1942年08月20日。


He飛行場に空母ロング・アイランドから31機の航空機が到着した。

ロング・アイランドは護衛空母(貨物船改造船)だ。


米第1海兵隊ケイツ大佐「おお、頼もしい限りだ」

戦闘機19機と急降下爆撃機12機という内容だった。


折しも20日は一木支隊が飛行場を攻撃する予定日だ。

19日に攻撃していれば勝算はあったかもしれない。


たった1日の差で一木支隊の奇襲は失敗したのだ。

この31機によってガ島の制空権は米軍のものとなった。


だがそれを一木支隊は知る由もなかった。

一木「航空機が来る前に占拠できればチャンスはある」


He飛行場を強襲して大損害を与える事で、米航空兵力増強を遅延させる。

その間に日本海軍の艦砲射撃で、He滑走路を破壊もできるだろう。


日本軍は奇襲が必ず成功すると考えていた。

米軍は敵日本軍を死地へ誘導したと考えていた。


そう考えて、ただ粛々と行軍あるのみだった。

米軍もそう考えて、ひたすら日本軍の死地への到着を待った。


08月20日夕刻、いつになっても一木支隊はイル河東岸に現れない。

原住民斥候からも何の連絡も無い。


熱帯雨林には米軍集音装置が仕掛けられていた。

そこにはカチャカチャいうやザッザッという足音が集音されていた。


ケイツ大佐「間近にいる事は間違いない!」

「いよいよ戦闘だ、各自射撃準備せよ」


08月20日22時30分。


ズドーンッズドーンッ!

突然の日本軍迫撃砲攻撃が始まった。


米兵「日本お得意の白刃突撃だ、来るぞ!」

この援護射撃とともに白刃突撃が始まるのが日本軍だ。


イル河に一歩でも踏み込めば、そこが日本軍の死地だった。

しかし方向がなんだかおかしい。


飛行場背後のアウステン山(347m)に爆音が反響しているのだ。

あちこちから音が響いて目標が定まらない。


照明弾を上げても、イル河東岸には誰一人いなかった。

米兵「くそっ浜側のラグーンから攻撃か!」


そこにはココナッツ林があり、隠密作戦には絶好だ。

ケイツ大佐「戦車だ!戦車で殲滅しろ!」


37mm砲には対人用散弾(キャニスター弾)が装填されていた。

ケイツ大佐「撃て!撃って撃って撃ちまくれ!」


バツーンバツーンッ!バツーンッ!

たちまちココナッツ林は吹き飛んで、更地になってしまった。


ケイツ大佐「ざまあみやがれ、木っ端微塵よ」

その時滑走路を駆けてくる伝令を認めた。


伝令「大変だ!イル河東岸にもココナッツ林にもいない!」

ケイツ大佐「落ち着け、なにがどうした?」


伝令「日本軍はルンガ河西岸より侵入!」

「司令部と戦闘指揮所は制圧されました」


ケイツ大佐「な、なんだとうっ!」

伝令「通信機を真っ先に破壊され、連絡は不能に」


ケイツ大佐「くそっ、戦車を浜から戻せ!」

「目にもの見せてくれるわ」


滑走路にボウッと火の手が上がった。

すでに航空機は破壊され、炎上していた。


ケイツ大佐「ああ、虎の子の航空戦力が……」

浜から戻ってきた戦車には大穴が空いていた。


それは日本軍の対戦車用成形炸薬弾「タ弾」の着弾痕だ。

戦車長は直撃で戦死、操縦手が戦車を操縦して戻ってきた。


「パンツァーファウスト……」

ドイツ軍が使う対戦車榴弾発射器だ。


日本軍は重機は持たずに携帯火器を携えてきた事は分かっていた。

だが成形炸薬弾だけは別だ。


操縦手も頭部に重傷を負っていた。

他の2人も大やけどである。


戦車6輛とも無傷のものは1輛もなかった。

重傷の兵士はもう使いものにならない。


頭部の傷は脳が見える程に深かった。

もう戦車は戦力にはならなかった。


ケイツ大佐「11000人もいる米兵はどうしたんだ」

指揮官は全員捕虜として捕らえられている。


兵器も燃料も弾薬も重機も抑えられている。

米兵11000人は兵員宿舎と食堂に立てこもっていた。


夜間戦闘態勢だったので、ライフルだけは手持ちで持ち出せた。

携行弾数は25発、手榴弾もあり、戦う事は出来る。


もし飛行場を占拠されたらジャングルに潜み、ゲリラ戦を展開する。

それが上層部からの至上命令だったのだ。


ここで一斉に11000人が900人に襲いかかったらどうだろうか?

鹵獲された重機関銃と37mm砲をこちらに向けている日本兵にだ。


だがそれは自分達米軍が日本兵の白刃突撃をいなした方法だ。

その時日本兵は全滅したのではなかったか?


考えている内に時間は過ぎていった。

そして2時間後。


膠着状態のHe飛行場に日本の航空機が次々と着陸した。

駐機が全滅し、制空権が日本の手に戻ったため、やって来たのだ。


貨物機、戦闘機、急降下爆撃機と実に多彩だった。

貨物機からは続々と兵士が降りてくる。


抵抗を続けているイル河陣地には爆弾をお見舞いした。

ケイツ大佐以下防御陣地は吹き飛んでしまった。


米軍海兵隊は絶対に降伏はしない。

これがポリシーだった。


全滅しても敵軍に消耗を強いるのである。

だがこの状態では1%の望みもなかった。


まず米軍設営部隊が降伏した。

次に豪州支援軍と続いた。


最後に米海兵隊第1海兵師団が降伏した。

そこに例の日本軍4発ジェット貨物機が現れた。


フィリピン攻略で使われたアレである。

ペイロードは人員140名にアップしていた。


ガ島からラバウルまで1045km。

時速800kmで1時間20分ほどだ。


士官捕虜は次々と後送されていった。

ヴァンデグリフト中将「あきれた空軍力だ」


翌日、陸軍輸送船「ぼすとん丸」と輸送船「大福丸」他が到着した。

ガ島が日本の制空権下となるのを待ち、遅れて到着したのだ。


これで増援部隊、糧食、重火器が補充された。

帰りの便で米軍兵卒が後送されていった。


こうして第1海兵師団は太平洋から消えた。

第1海兵遠征軍の地上戦部隊がいなくなったのだ。


これはとんでもない損害を米海軍にもたらした。

東太平洋管轄の海兵隊が消えてしまったのだ。


残るは第3海兵遠征軍のみである。

彼らは西太平洋管轄であり、未だに健在であった。

一木支隊はなぜHe飛行場占拠に成功したのか?

それには少々時間を巻き戻さなければならない。


1942年08月20日21時ごろ。

待ち伏せに気付いた一木大佐はイル河渡河をやめた。


代わりに南側の熱帯雨林を迂回する作戦に出た。

一木「地図によると側道があるな」


テナルーからムアラハに至る本道から側道に入る。

一木「ここからルンガ河に出られるぞ」


副官富樫大尉「アウステン山(347m)越えが安全では?」

一木「本気か?夜間に山越えとか危険過ぎる」


ンギルバンガ湖(標高16m)を経て、ルンガ河に出る。

河に沿って北上すれば、He飛行場西端である。


この側道は原住民の村落間の生活路だった。

それゆえ集音器の設置もないが村落を通る。


原住民にはかねてよりの「秘密兵器」を使った。

砂金を村々で原住民に進呈したのである。


もともとは原住民を斥候に雇う為の軍資金だった。

だがそれが叶わなくなり、ここで手放す事にした。


元々ソロモン諸島では砂金が採れていた。

西欧人がそれゆえ「ソロモン」諸島と名付けていた。


原住民は砂金欲しさに我も我もと集まってきた。

樹木の上で寝ずの番だった斥候もすっ飛んできた。


そして周辺には原住民の斥候はいなくなった。


英国軍クレメンス少佐は原住民を手なずけていた。

「ソロモン諸島は英国領であり、君たちは領民だ」


「侵略者の日本人に協力してはならない」

それに対して一木大佐は手を打ったのだ。


一木「本当の敵は支配者の英国人」

「我々は解放者だ、その証拠に砂金を進ぜよう」


英米軍が現地人に支払っていたのは軍票で紙切れだった。

もらった砂金を巡って、村では奪い合いが始まっていた。


原住民A「お前の方が一粒多い!」

原住民B「お前の方が一粒大きい」

原住民C「なにお!」「なにか!」


まあこうなる事は百も承知だ。

そのスキに一木支隊はまんまと側道を抜けていった。


やがてルンガ河に出た。

この河を北上すればHe飛行場西端である。


司令所と戦闘指揮所もそこにあった。

それはかつて日本軍が設営した拠点でもある。


間取りを変えていなければ、真っ先に通信施設を破壊できるだろう。

だがかつて設営を担当した日本守備隊はどこにいったのか?


ガ島設営隊、守備隊はルンガ河西岸の密林に逃げ込んでいた。

ルンガ河橋梁は爆破され、彼らは行方知れずだった。


He飛行場西端は手薄で37mm砲も戦車もいない。

全てイル河周辺に言ってしまい重火器はいない。


3段の鉄条網と機関銃砲座があるだけだ。


一木大佐「よーし、遠隔操縦器材い号を出せ」

1.8×0.7×0.5m、重さ130kgのミニ戦車だ。


1932年上海事変で爆弾三勇士の肉弾突撃が生じた。

この事例により遠隔操縦自爆ミニ戦車開発が始まる。


1939年開発に成功し満州東部戦線に投入されている。

それを一木はガ島で使うため3台調達して来た。


陸軍の変わり者はもうたくさんいた。

前線の壮絶さは参謀本部には伝わらない。


東京三宅坂上(参謀本部のこと)は大使館付武官経験者のインテリだ。

小手先で小利口で小器用な秀才参謀は現地を知らない。


そこに要望を出し、お役所仕事の捺印を待ってはいられない。

ガ島現地実地試験という事で「ガメ」てきたのだ。


電動の有線誘導で99式破壊筒(バンガロール爆弾)を搭載する。

い号は電動車両のため、動作音はごく僅かだ。


これで鉄条網を爆破し、迫撃砲で砲座を潰して侵入した。

ドグオーンッ!


ケイツ大佐が聞いたのはこの音だったのだ。

He飛行場西端の司令部でもこの音を聞いていた。


ヴァンデグリフト中将「始まったな」

「日本軍への葬送曲の調べだ」


メリット・エドソン大佐「日本軍も可哀想といえば可哀想なものよ」

彼はマグロ漁船改造船でガ島に乗り付けた強者だ。


米国にもやはりヘンなヤツがいた。


そこに一人の人影が立ちはだかった。

エドソン大佐がそれを見咎めた「粗忽者!」


指揮官専用のログハウスに一般兵が入ってきた。

なんとそれは日本兵将校だった。


一木大佐「葬送曲?それは今や貴様らの運命だけどな!」

司令部の机の前には彼が立ちはだかった。


一木「おおっと、動くな」

「動くと命がないぞ」


第1強襲大隊大隊長エドソン大佐がさっと行動に移った。

動きも素早く、巨躯にものをいわせて襲いかかってきた。


日本軍も巨躯にものをいわせるなら負けてはいない。

教練では角力(すもう)をやるので、力自慢が名乗りを上げた。


日本人兵士「ばっちこ~い」

エドソン大佐「私が巨躯ゆえ身が重いとでも思うたか!」


巨躯と巨躯が、がっぷりと四つに組んだ。

日本人兵士「どすこ~い」


外人と日本人が組んず解れつの大立ち回りだ。

やがて日本兵が相撲の三所攻め(みどころぜめ)を決めた。


吹っ飛ぶ第1強襲大隊大隊長エドソン大佐。

床板にしたたかに打ち据えられて、のびてしまった。


一木大佐「さて、他に力試しをする方はお有りかな?」

返事は無かった。


「なければ温和しく捕虜になってもらおうか」

同様に戦闘指揮所も占拠され、通信機の真空管は引っこ抜かれた。


ガ島設営部隊2600人と守備兵240人も熱帯雨林から現れた。

ルンガ河西のジャングルに隠れていたのだ。


日本軍は合わせて合計3740人となった。


貨物機による増員360人を加えると総勢4100人である。

こうしてガ島He飛行場は日本軍のものとなったのだ。


さらにニューギニア戦線から第17軍が送り込まれてきた。

あやういところで日本軍はガダルカナル島をついに占拠した。


参謀本部もやっと事の重大性に気づき目を覚ました。

古い文献によるとかつて日本軍は「戦争計画」なるものを研究。


ガダルカナル島の重要性に「戦争計画」は言及していた。

参謀本部はやっと本来の機能にたちもどった。


ガダルカナルを含むソロモン諸島こそ碁でいう天元だった。

ここを征する者、太平洋を征す、である。


豪州-米国の流通経路はこうして断絶の止むなきに至った。

ガ島哨戒空域/海域に流通経路があるからだ。


もはや豪州は日干しになるしかない……ワケではない。

自給率223%の豪州は自給自足でやっていける。


米軍の補給に対する考え方もおかしかった。

100隻送った貨物船が100隻撃沈されるなら200隻送れば良い。


撃沈分上乗せして送れば撃沈されないのと同じだという考えだ。

損失?消耗?何ソレという感じである。


米国と戦うというのはこういう事なのだ。

豪州への補給をやめさせる方法はひとつしかない。


豪州の参戦が米国の国益に寄与しないようにすればいいだけだ。

日本の南方作戦の兵力を豪軍が削いでくれればこそ増援していた。


その価値を無くせば豪州はただの自活島と言う事になるのだ。

ついにガダルカナル島を日本軍は手に入れました。次回は帯域精製法(1/2)です

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