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(本編完結)また第二次世界大戦かよ  作者: 登録情報はありません
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マレー沖海戦(2/2)

マレー沖海戦は皆さんのご存じの通り、プリンスオブウエールズもレパルスも沈みます。正史には出遅れた空母インドミタブルも同じ運命を辿ります。違うのは3隻とも鹵獲艦としてサルベージされる事です。

白井「新型の磁気信管か!」

英国が磁気信管を開発中という独国の情報を耳にした事がある。


たちまちエンジンが火を噴き、動翼が吹き飛び、主翼は穴だらけになった。

白井「せめて一太刀!」


九六式陸攻8機はレパルスに向けて水平爆撃にはいろうとした。

急に砲撃はやんだ。


白井「戦闘機が来るぞ!」

瀕死の九六式陸攻に英戦闘機が襲いかかる。


戦闘機対被弾爆撃機ではお話にならなかった。

九六式陸攻第一中隊8機は全機炎上墜落した。


全滅した白井中隊の後釜は元山航空隊だ。

石井薫大尉「敵機関砲のあれは磁気信管か?」


石井「魚雷発射!」


この攻撃でプリンス・オブ・ウエールズは2発の魚雷を喰らっていた。

特に2発目の魚雷は左舷後部推進軸を破壊してしまった。


損傷した推進軸は停止するまで艦底をかなり傷つけていた。

ここからの浸水が機関室に及んで発電機が停止した。


電力を失えば、近代戦艦はただの浮き船である。

レーダーも電算機も停止、自動装填も何もかも停止した。

 

ここで遅ればせながら一式陸攻の鹿屋航空隊が到着した。

第一・第二中隊は空母インドミタブルに向かう。


第三中隊は二波に分かれてプリンス・オブ・ウエールズ、レパルスに向かった。

レパルスのテナント艦長は矢も盾もたまらず、増援をシンガポールに打電した。


直ちにシンガポール航空基地から戦闘機が飛び立った。

だが増援はどう早く見積もっても、1時間以上は掛かった。


1時間もこの猛爆に耐えられるはずがない。

その頃には勝敗は決しているだろう。


空母に爆撃機が向かうのを見た英戦闘機はあわてて迎撃に向かってきた。

日本の一式陸攻は防弾防濡を施し、強化エンジンを備えた新型機だ。


戦闘機が機銃を撃ち、弾は一式陸攻に吸い込まれる。

インテグラルタンクに穴が明き、機体中央に弾痕が穿たれた。


だが火も噴かなければ、搭乗員に死傷者が出た様子もない。

霧のように噴き出した燃料もやがて止まってしまった。


援護のゼロ戦が敵機を追っ払っている。

その間に粛々と一式陸攻は雷撃態勢に入った。


ドボーンッ、ドボーンッ。

次々と魚雷が投下され、空母インドミタブルに向かう。


狂ったように回避行動を取る空母インドミタブルは風前の灯火だ。


左舷中央、左舷後部に命中。

右舷艦首、右舷中央、右舷後部に命中。


空母インドミタブルはあっという間に沈没してしまった。

残された直掩機は搭載艦を失い大混乱であった。


死を賭して上空に残り、日本機と戦う者もいた。

シンガポールに向かい遁走する者もいた。


だがどちらもゼロ戦の追撃を受け、その殆どが海の藻屑となった。

もはや英東洋艦隊を守るべき航空戦力は皆無である。


プリンス・オブ・ウエールズ、レパルスとも雷撃爆撃の嵐に見舞われた。


レパルスは既に傾斜しており、沈没は免れない。

プリンス・オブ・ウエールズには救援の駆逐艦が横付けされていた。


傾斜した舷側から必死の救助が始まっている。

日本は武士道精神からか、機銃掃射は行わなかった。


もうすぐシンガポールからの戦闘機隊が現場に到着する。

ますます傾斜を増すプリンス・オブ・ウエールズとレパルス。


もはや沈没は確実と見て、日本軍の航空隊は引き上げていった。

英兵「これが武士の情けというヤツか」


やがて駆逐艦から電力を供給され、両艦とも擬似的に電力を回復。

排水ポンプが全力で浸水を吐き出して艦の傾斜は止まった。


あまりに損傷が激しく、自力航行は不可能だった。

プリンス・オブ・ウエールズ、レパルスとも沈没は免れていた。


プリンス・オブ・ウエールズ、レパルスの艦長は曳航を希望した。

駆逐艦に曳航され、シンガポールのセレター軍港に戻った2隻。


1942年02月シンガポールは押し寄せる日本軍の前に陥落。

ドライドックで修理を終わった両艦は艤装のため、港に停泊していた。


日本軍に奪取されるのを恐れた海軍は両艦を自沈させた。

英国では4万トンある戦艦はサルベージ不可能である。


日本人A「半潜水艇なら7万トンまでサルベージできますが」

日本人B「中華系の混血民(プラナカン)が見てるぞ、物言いに気を付けろ」

日本人C「海上起重機船を使い通常通りサルベージだ」


シンガポールの港はスパイの目で一杯だった。

絶海の孤島でもなければ、戦略的価値はないのだ。


日本「じゃあ海上起重機船でクルッと引き揚げるか」

インドシナのサイゴンから海上起重機船2隻がやってきた。


起重機船ヤマト、ムサシは吊能力1万7千tの超弩級クレーン船だ。

この2隻をタンデムで使っても4万4千tの巨体を引き揚げられない。


まず潜水夫が潜り、破孔を部材で塞ぎ、圧搾空気の充填を行った。

これで艦体は浮力を得て、浮上し始めた。


海底で横転していた戦艦を海面下6mまで引き揚げた。

海面下で艦を正位置に回転させ、それから引き揚げた。


湾内に自沈したプリンス・オブ・ウエールズ、レパルスとも鹵獲された。

この時引き揚げられた噴進砲と噴進弾は日本に送られた。


空母インドミタブルは水深68mの浅い海の底に沈んでいる。

こちらも日本のサルベージ技術で引き揚げられ、鹵獲艦となった。


鹵獲艦から光学式自律誘導装置の技術が日本にもたらされる。

電子機器の魔改造は日本の得意分野であった。


戦艦2隻を自沈させた英東洋艦隊本隊はシンガポールを脱出。

インド洋を経て、英領セイロン島トリンコマリーに避難していた。


戦艦5隻と空母2隻他巡洋艦・駆逐艦多数である。

彼らは艦隊をA/B艦隊に分け、起死回生/乾坤一擲の勝負に出る。


A部隊:戦艦ウォースパイト、空母フォーミダブル、巡洋艦・駆逐艦多数。


B部隊:戦艦レゾリューション、ラミリーズ、ロイヤルサヴリン、リヴェンジ

空母ハーミーズ、巡洋艦・駆逐艦多数。


日本側はいよいよセイロン島攻略作戦が始まる。

攻撃準備は勿論だが、調略も準備万端だ。


日本は兵站の限界を感じていた。

セイロンは日本から余りにも遠すぎる。


(いくさ)に勝っても補給が続かなければ負けたも同じだ。

永野修身(ながのおさみ)軍令部総長はかつて昭和天皇に奏上した。


昭和天皇は日露戦争のような大勝はあるまいと軽い気持ちで聞いた。

それに応えた永野の返答はとんでもないものだったのだ。


永野「勝ち得るや否やもおぼつかなし(勝てるかどうかわかりません)」

その様子を伺っていた天皇側近の木戸幸一内大臣は愕然としていた。


木戸「あまりにも捨て鉢な態度だ」「単純に過ぎるのではないか」

永野は連合艦隊司令長官、海軍大臣、軍令部総長を歴任した唯一の軍人だ。


もう少し言い方があるだろうということだった。


宮中や内閣、陸海軍上層部は永野の意見を無視した。

だが一人だけ東條英機内閣総理大臣が意見を聞く耳を持っていた。


永野は海軍のメンツを重んじるガチガチの軍人であった。

東條は今は嘘も真実(まこと)も使い分ける政治家という生き物である。


この二人が会って意見交換したのだから周囲はいぶかった。

東條「超大国米国との戦争の前はメンツなんぞくそくらえだ」


永野「なるほど、さすがは総理、話が分かる」

東條「それはキミの主張次第だがね」


永野はハーバード留学、在米大使館武官を務めた米国通として知られる。

東條もまたスイス/ドイツ駐在武官を経験した欧州通として知られる。


世界を知る二人はどちらも世界情勢に一家言もつ豪の者だ。

彼らは料亭という密室で密かに会って、密談を重ねた。


東條は永野の詳しい主張内容を聞き、書式で提出させた。

日本軍には「見敵必戦」という突撃主義があり、戦ってきた。


日露戦争ではそれをロシア軍に見抜かれて苦戦していた。

奉天会戦では敵の後退戦術にまんまと騙されたのだ。


今回のセイロンもまさにそうであった。

これは英国の縦深防御戦術なのだ。


永野「そこで海軍には英印軍を二つに裂く調略があります」

東條「うむ、彼を知り己を知れば百戦殆からず、だな」


英印軍と言っても将校は英国人、歩兵はインド人の寄せ集めだ。

英国植民地のインドは「出て行け(Quit India)」運動真っ盛りだ。


亡命革命家チャンドラ・ホースは昭南にいる。

東條「(いまや)、(~であります)はワシの口癖だが」


「インド独立連盟との共闘の機は熟して果実は取らんばかり」

「いまやセイロン進撃の時は来たのであります、というところか」


東條はいやな含み笑いをしてみせた。

永野はそれを調略作戦承認の意と受け取った。

東条英機も永野修身もここでは理解力もあり見識の広い英傑です。ただしハルノートにのせられて開戦やむなしとしたのも事実です。やはりヒトは万能ではなく、時代の趨勢には勝てないのでした。次回はセイロン征服作戦(1/4)です。

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