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(本編完結)また第二次世界大戦かよ  作者: 登録情報はありません
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スウェーデンゼロ戦

スウェーデンゼロ戦は実際に話はありましたが実現はしませんでしたので、IF歴史ではあったことにしました。

1939年09月01日。


第二次世界大戦勃発。

北欧には戦雲が垂れ込めていた。


ソ連は圧倒的戦力で芬(フィンランド)に襲いかかった。

それで真っ青になったのは隣国の瑞典(スウェーデン)である。


芬(フィンランド)は小国、とても持ちこたえないだろう。

マンネルハイム線など木っ端微塵に消し飛んでしまう。


そうすれば次は瑞典(スウェーデン)なのだ。

瑞典(スウェーデン)空軍は複葉戦闘機を有していた。


グロスター・グラディエーターなどだ。

だが時代は複葉戦闘機を時代遅れのシロモノにしていた。


そこで米国から航空機を輸送するよう手筈を整えた。

米国は快く承諾し、輸出を開始した。


P-35Aセバスキーを120機輸入し始めた。

P-66ヴァンガードも144機注文していた。


1940年6月18日。


米国は中立国への武器の輸出を禁止した(レンドリース法)。

P-35Aは60機を瑞典(スウェーデン)に引き渡したところで輸出停止。


P-66は全機カナダに再レンドリース機として供与されてしまった。

そこで欧州各国に戦闘機の融通/提供を申し入れた。


欧州は戦渦に巻き込まれており、他国の援助に回すゆとりはない。

そこで白羽の矢が立ったのが極東の日本機だった。


Mitsubishi A6M(ゼロ戦)とAichi D3A(九九式艦上爆撃機)の2機種だ。

だが日本は地球の裏側、一体どのようにして輸送するのか。


日独伊三国同盟調印は09月27日だ、考えている暇が無い。

グズグズしていると英植民地を通れなくなってしまう。


東南アジアからインド洋、スエズ運河は英国管理下にあるのだ。


特設航空機運搬船が船団を組んで日本を出港した。

佐世保ーマラッカーセイロンーアデンー瑞典(スウェーデン)カールスクルーナ。


行くのに1ヶ月掛かるため、日本にはもう帰れない。

いわゆる「片道切符」というヤツである。


一方太平洋航路を通じて、同時期に別便が出発している。

こちらもグズグズしてると、パナマ運河を通れなくなってしまう。


パナマ運河はパナマ共和国にあるが管轄は米国管理下だ。

横須賀ー米パナマ運河ーノーフォークー瑞典(スウェーデン)カールスクルーナ。


こちらは戦時標準船での輸送となる。

やはり「片道切符」となってしまった。


1941年09月27日。


日独伊三国同盟調印。


もうスエズもパナマも通れない。

大西洋もインド洋も通れなくなった。


こうして米軍機60機と日本機200機は瑞典(スウェーデン)に残された。

日本の整備員と教官が260機を使えるように仕上げていく。


日本国章を瑞典(スウェーデン)国章(トゥレー・クローノー)に塗り直す。

日本整備兵「こうなるとFFVS J22と見分けがつかんな」


先に米国から輸入されたP-35Aセバスキーは日本も輸入した経緯がある。

基地防衛用として輸入され、日本の整備員にも馴染みの機体だった。


瑞典(スウェーデン)に陸揚げされたのはゼロ戦100機、九九式艦爆100機だ。

過酷な寒冷地仕様に急遽仕上げた特別仕様機だ。


日本では北海道ニセコ山頂着氷観測所で実機で着氷実験を行った。

その結果、エチレングリコール液が有効だと分かったのだ。


エチレングリコール液は自動車の不凍液に使われる液剤だ。

コックピット風防は防除氷液(エチレングレコール)循環式で氷結を防止。


離陸前には除氷車(デアイサー)防除氷液(エチレングレコール)をぶっ掛ける。

航空機は着氷すると最悪失速して墜落するからだ。


日本の無線機は感度が悪く、瑞典エリクソン社の無線機に換装した。

その他もろもろ細かい部品を取り替える事となった。


これに激怒したのがソビエトである。

モロトフ外相「日ソ中立条約を反故にするとは何事か!」


日本に電話してきたのはモロトフ外相その人であった。

日本側は松岡洋右(まつおかようすけ)外相が対応に当たった。


饒舌家で朝起きて就寝するまで喋り続けていたという異能者だ。

露スターリン、独ヒトラー、英チャーチルにも一目置かれている。


松岡はとぼけた調子で軽く電話に出た。


松岡「なんのことですかな」

モロトフ「瑞典(スウェーデン)へゼロ戦を送っただろう」


松岡「200機送りました」

モロトフ「ソ連が芬(フィンランド)を陥落させたのは知ってるな」


松岡「ソレが原因で1939年12月14日に国際連盟を追放されましたよ」

モロトフ「次はどこと戦うと思う、瑞典(スウェーデン)だぞ」


実はソ連にそんな余力は実は無かったのだった。

芬(フィンランド)戦では大損害を出して辛勝した。


スターリンの大粛清は軍隊の兵力も統率力も奪っていた。

そして独国ヒトラーはこの弱体化に気付いていた。


これは独国のバルバロッサ作戦(ソ連侵攻)の遠因でもある。


松岡「いやいや独国ヒトラーの動きにご注意なさい」

モロトフ「ヒトラーとは独ソ不可侵条約を結んでおる」


だが松岡はソ連西部特別軍管区の不備について滔々とまくし立てた。

松岡「弾薬が足りない、部隊も定員割れでは覚束ない」


「パヴロフ司令もブローヒン情報官も大変ですなあ」

「チモシェンコ国防人民委員を叱咤激励したほうがいい」


固有名詞が出るに及んでモロトフの声音が変わった。

モロトフ「弾薬、人員、組織は軍機密ではなかったか?」


松岡「それは大変だ、ご注意なさい」

「独国はもっと狡猾だと思いますよ」


モロトフ「バルト海~黒海戦線は3000kmもあるのだ」

「一斉に戦闘が始まるワケがないだろう」


松岡「独国の航空勢力があれば簡単じゃないですかねえ」

「どうぞ、連絡してみて下さい、待ちますから」


電話の向こうで通信士官に怒鳴る声が聞こえた。

おそらく西部特別軍管区に連絡を取ろうとしているのだ。


5分後。


モロトフ「あらゆる方法で連絡を取ろうとしたがダメだった」

松岡「通信手段の断絶は戦争の初手ですぞ」


モロトフは黙っていた。

すでに戦争は始まっていた。


余りにもあっけなく独ソ不可侵条約は崩壊した。

モロトフはそれが信じられなかった。


松岡も察して黙っていた。

相手が理解し、頭が付いていくまで待つしかない。


モロトフ「すまない、何か通信方法があったら教えてくれ」

松岡「ナポレオンの時代の腕木通信が残っているでしょう」


ナポレオンのロシア遠征で使われた旧式の通信施設だ。

望遠鏡を使い、文字コードを読み取って情報を伝達する。


電信電話無線が途絶しても、視覚による残された唯一の通信だ。

やがてモールス信号の普及で、あっという間に廃れてしまった。


今は施設だけが残っているが使える事は使える。

電話の向こうでモロトフ外相が怒鳴っているのが聞こえた。


「なに?スウェーデン人で分かるヤツがいるのか?」

「掻き集めろ!どんな手段を使ってもだ」


やがて電話口にモロトフ外相が戻ってきた。

モロトフ「いや、ありがとう、Mr松岡!」


「スターリン同志の言う通り、信用に値する気丈夫だ!」


一方的にモロトフー松岡の日露電話会談は切られた。

こうしてスウェーデンゼロ戦の件は棚上げとなった。


優先順位は変わり、独国との戦争にソ連は傾倒する。

つまり東部戦線はおざなりになるという寸法である。


松岡「おざなりの内に戦力を配置するのも外交だよ」

彼はちゃっかり満州ーソ連国境線に戦車/自走砲を増強した。


ソ連は今、西部戦線で全力で独国と戦っている。

東部戦線はがら空き、鬼の居ぬ間になんとやらである。


結局、典露戦争は起きなかった。

瑞典(スウェーデン)は大戦中、中立を守り通した。


戦争への関与を避ける為に独軍を乗せた列車の通過を許した。

これは夏至の危機と呼ばれ、唯一の中立違反である。


この行為は米国から中立義務違反と警告を受けた。

地理的に枢軸国に囲まれている国家のやむを得ない行為だった。


ゼロ戦たちは領土内では戦闘を行っていない。

そのかわりフィンランド義勇軍の航空隊に参与している。


ソ連軍はゼロ戦のシルエットを見ると逃げてしまった。

パイロットの多くが中国戦線で酷い目に合った経験があった。


ソ連義勇飛行隊は1940年秋頃からゼロ戦に苦しめられていた。

重慶上空ではソ連製戦闘機とゼロ戦の死闘が繰り広げられていたからだ。


ソ連軍パイロットA「冗談じゃない」

ソ連軍パイロットB「あの恐怖は忘れない」

ソ連軍パイロットC「くわばらくわばら」


この攻防戦は冬戦争~継続戦争~終戦まで続いた。

松岡洋右は魔王スターリンと日ソ中立条約で出会い、条約会議や会談でもしゃべり祝賀会でもしゃべり続け、スターリンの信用を得た饒舌家でした。怪物ヒトラーの前でも臆する事なくしゃべり続け、ヒトラーから賞賛されています(正史)。北海道ニセコ山頂着氷観測所は本当にありました(正史)。瑞典エリクソン社の無線機が出てきますが、これはIF歴史です。次回はレーダー(1/2)です

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