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(本編完結)また第二次世界大戦かよ  作者: 登録情報はありません
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ノモンハンの男(4/6)

今まで関東軍もまとめて日本軍と呼称してきましたが新京の司令部の部分だけ「関東軍」呼称を使います。日本軍司令部というとどこだかわからなくなってしまうからです。今回は辻参謀はトムスク爆撃よりシベリア鉄道分岐点のタイガ駅空爆を優先し、ソ連の流通破壊を優先しますが正史では逆です。

だがソ連軍司令官フェクレンコは日本人をバカにしていた。

フェクレンコ「1日で橋が架かって戦車が渡ってる?バカいうな」


戦車/装甲車が渡河出来るのは「軍橋」だ。

そんなものが1日で出来るはずがなかった。


ドッカアア~ンッ、ズシンズシン!

電話口から砲撃の音が聞こえる。


斥候「じゃあこの爆発音はなんですか?」

「このままではこのトーチカもいつ、うわあっ」


その後フェクレンコがいくら呼び出しても無線は繋がらなかった。

無線のある前線司令部は日本軍の150mm榴弾にやられたのだ。


九六式十五糎榴弾砲を有する野戦重砲兵第1連隊のしわざである。

10門を投入し、1門につき1日で600発を敵陣地にぶち込んだ。


砲兵A「高台陣地の152mm榴弾砲をやっつけろ」

砲兵B「照準訓練を習熟する前に実戦とは」

砲兵C「実戦が訓練だ、今やるんだよ!」


1日6000発の150mm榴弾で敵陣地は沈黙した。

余りの消耗戦に中国戦線の砲弾備蓄が枯渇しだした。


「おいおい、やりすぎだろ」

「勇猛果敢はいいが加減しろよ」

「オレたちにも残しといてくれ」


こんな事が出来るのも奉天鉄工所ほか協力工場のおかげだ。

機関車やボイラーは中国人工場へシフトするよう促した。


邦人経営工場は今やほとんどが軍事工場である。

砲弾や銃弾が有り余るほど作られており、枯渇はすぐ補充された。


ソ連陣地はもはや影も形も無かった。


あまりにも激しい攻撃にソ連軍も全滅か?

しかし後から後から戦車も兵士も湧き出してくる。


日本軍A「ソ連では兵士は畑から取れるというらしい」

日本軍B「農民を強制徴用して銃を持たせるんだと!」

日本軍C「ソ連はあの手この手の方策を駆使するのだ」


06月19日ここは新京の関東軍司令部第一課。

今後のノモンハンの攻勢/守勢について、協議がもたれた。


どうも倒しても倒しても、翌日それ以上の増派がある。

辻「何某かの補給がされているのに相違ない」


その夜、白州のもとにモスクワ駐在武官が泣きついてきた。

師団本部で相手にされず、白州に面会を求めてきたのだ。


白州は事の重大性をすぐに悟って、辻参謀に連絡を取った。

辻はタムスク航空基地襲撃草案を練っている最中だった。


辻「何、シベリア鉄道で大量の戦車?詳しく話せ」

モスクワ日本国大使館駐在武官土居明夫大佐は話し始めた。


「私は関東軍の攻勢を思いとどまらせようと思ったのです」

「そしてモスクワを発って陸路ハルビンまで来ました」


「途中ノヴォシビルスクで大量の戦車と兵站らしき物資を見たのです」


辻「ううむ、しまった、シベリア鉄道は無限の供給路だ」

白州「これをどうにかせんといけません」


辻は作戦参謀として鉄路爆破作戦を画策し始めた。

だがトムスクからの越境爆撃も日本軍を悩ましていた。


06月22日アムクロとノモンハンの空域で4日間、激しい空戦があった。

22日だけでもソ連戦闘機およそ150機が越境、56機撃墜した。

日本側損失は4機だった。


これらの戦闘機はトムスクの航空基地から飛来してきたと思われた。

司令部の意向はトムスク爆撃に傾きだした。


辻はトムスク爆撃を優先してこの忠言を握りつぶしたかった。

だが鉄路を爆破すれば、燃料輸送の貨物車(タンク車)は不通となる。


戦闘機か燃料かと問われれば、燃料不達しか無かったのだ。

辻「敵の兵站を挫くのが先決で我意は後回しだ」


翌日、司令部の作戦室に参謀たちが集まっていた。

寺田作戦課長、三好、服部、村沢、辻、島貴の面々だ。


島貴は出張を取りやめにして会議に臨んでいた。

重要な作戦が起案されると知り、すっ飛んできたのだ。


寺田「敵航空部隊基地のトムスク攻撃は越境であり、やりすぎだ」

「しばらく静観したほうがいいのではないか」


辻「ソ連軍にやられ放題とは我々(関東軍)の誇りは何処へいった?」

「と言いたいところだが今は自重が正しいだろう、だが攻撃はやる」


「トムスクが目標ではない、やるのはシベリア鉄道だ」

「駐機をやっても航空機はすぐ飛んできて補充される」


辻「しかし航空機は油がなければ飛べん」

「航空燃料はシベリア鉄道で輸送されている」


辻はシベリアの白地図を机の上に広げた。

昨日白州が描いた詳細な鉄道路線図が載っている。


シベリア鉄道本線とトムスク支線の分岐点に赤丸がしてある。


「ならばシベリア鉄道の路線を空爆し補給を絶つべき」

「場所はトムスク支線と本線の分岐点、Тайга(タイガ)駅だ」


服部「鉄路を破壊すれば、物流が破壊される!」

島貴「もう増派も補給もできなくなる!」


辻「三好は航空担当だったな?」

「どうだ、やれるか?」


三好「爆撃目標の詳細は?」

辻「分岐器(ポイント)全体を頼む、構造が複雑で復旧に時間が掛かる」


三好「九六式陸上攻撃機なら航続距離も長く可能です」

辻「すぐ手配してくれ」


「村上君、キミはどうだ?」

村上「皆さんとおんなじです」


辻「ではトムスク爆撃は撤回してタイガ駅爆撃に変更する」

寺田「……(ワシが課長なんだけど)」


まさしく直情径行(ちょくじょうけいこう)とはこういう事を言うのだろう。

ただちに植田軍司令と磯谷参謀長に作戦企画を進言した。


植田は慎重論、磯谷は沈黙で答えた。

あまりにも向こう見ずな作戦ではないか?


植田「こういう作戦は中央部に懇請して了解を取るべきだ」

磯谷「司令!意見具申は中央部で通った試しはありません」


植田はギョッとして磯谷の顔を見た。

なんと目がキラキラと輝いている。


磯谷はすっかり辻の示す企画に心を奪われていた。

中央は要綱を再考せよだの研究せよだので承認したためしがない。


ここまで練り上げた作戦なら、という暗黙の了解だ。

(やってしまったな)、植田軍司令は心に思った。


植田「よかろう、だが陽動作戦も忘れずにな」

「敵は苦力を用いてスパイ活動をおこなっている」


「トムスク爆撃を装って喧伝せよ」

「食堂で酒保で便所で言いふらすんだ」


食堂では皿洗いや給仕が、酒保では手伝いが、便所では掃除番が苦力だ。

彼らは仕事が終わるとすうっと何処かに消えていった。

越境攻撃は勝手に行う事は出来ないのですが、辻参謀はやってしまいます。次回はノモンハンの男(5/6)です

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