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(本編完結)また第二次世界大戦かよ  作者: 登録情報はありません
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原子爆弾

この章の名称通り、日本は原子爆弾を使用しました。その破壊力はともかく、精神的打撃は相当なモノでした。米国民は畏怖と無力感に苛まれるのでした。

しかしそれは始まらなかった。

ギルバート諸島とマーシャル諸島に向かった米軍は消えてしまった。


ハワイにいたマッカーサーとニミッツは顔を見合わせた。

<まさか”あの爆弾”がすでに?そんなはずが!>


最前線からの無線は混乱の極みにあり、意味を成さなかった。

だがたった2つだけ意味のある言葉を2人は拾う事が出来た。


マッカーサー「消えてしまったとはなんだ?」

ニミッツ「なに?新型爆弾だと?」


マッカーサーもニミッツも恐ろしい現実に直面した。

ついに日本軍は原子爆弾を使ったのだ。


搭載機はアブロランカスター、豪州鹵獲機だ。

前後部の各動力機銃座/爆弾倉の扉を撤去した特別機だ。


ポートモレスビーの反跳爆弾搭載用に改造したヤツだ。

ニューギニアのラエで日本貨物船を襲ったのもこれだった。


連絡を受けた新ホワイトハウス執務室も大混乱だった。

あまりにも原子爆弾の製造が早過ぎる。


ルーズベルト「まだ6ヶ月しか経ってないじゃないか!」

グローブス「おかしい、人間では考えられない速度です」


日本は電子計算機が最適値を計算していた。


当時の米国の最新鋭の電子計算機はENIACだ、

約1万8千本の真空管を用い、ビルのワンフロアを占拠した。


これに対して日本の電子計算機は2万個の半導体を要した。

その基板を並列処理のために500台用意している。


つまり1000万個の半導体による電子計算機と同等の能力を有する。

まさに怪物、その能力は米国の比ではなかった。


桁違いの計算能力は原爆の爆轟現象理論のためだったのだ。

繰り返し計算の為のプログラムが組まれ計画に寄与していた。


だがルーズベルトもグローブスもその事実を知らない。

原爆に使う爆縮レンズはZND理論という複雑な計算を使っている。


その最適値を得る為には複雑で大量の計算が必要であった。

そのグラフは非線形であり、予想値は意味を成さない。


実際の計算値を得て、収束させ、最適値を得るしかない。

米国ではその期間を約10ヶ月と見積もっていた。


日本はさらに加速させて実機を6ヶ月で完成させていた。

ルーズベルト「一体どうしてこんな事になってしまったんだ」


ただただ狼狽えるばかりで考えがまとまらない。

リーヒ「オッペンハイマーに連絡を!すぐにです」


ルーズベルトはすぐロスアラモスに連絡した。

ロスアラモス所長オッペンハイマーは既に出掛けていた。


ホワイトハウスに電話より早く駆け込んできたのは彼だった。

独国移民の子だった彼は誰よりも祖国の恐ろしさを知っていた。


オッペンハイマー「日独は情報も共有しています」

「独は研究をやめましたが、所有をしないとは言っていない」


「我々は今やっと電磁濃縮機のコイルを巻き始めたばかりです」

「製造開始にはどう考えても1年、いや10ヶ月は掛かります」


海軍顧問となったアインシュタインもホワイトハウスに駆けつけた。

アインシュタイン「遅かれ早かれ、誰かがやると思っていた」


ルーズベルト米大統領は涙目だった。

「我々は間に合わなかった」


リーヒ陸海軍最高司令官(大統領)付参謀長も駆けつけた。

リーヒ「事はさらに重大です」


日本には潜水空母伊440潜というモノがある。

航続距離37500海里(69450km)という怪物潜水艦だ。


日本技術陣は減速歯車の窒化浸炭処理に成功。

中回転大出力のSLT形減速装置を潜水艦に搭載している。


低騒音、高寿命、低燃費を実現させている。


さらに呉海軍工廠の名和武が大容量蓄電池開発に成功。

100Wの6セル電池を1ユニットとし8ユニットを搭載。


これで4800W(6000馬力相当)で1500馬力×4のモーターを動かす。

この伊440潜が3隻就航している事は米軍も察知していた。


<実際は18隻、米諜報部の認識は誤り>


山本五十六暗殺に失敗したルーズベルトは暗澹たる思いだった。

山本は南米最南端を経由して米国東海岸爆撃を実行した。


リーヒ「どうしますか」

ルーズベルト「どうしますかだと!」


リーヒ「我々の技術では潜水空母など実現不可能です」

「潜水空母艦載機が原爆を積んでいたらどうしますか?」


<実際の原爆はB-29でギリギリ搭載可能、米諜報部の認識は誤り>


ルーズベルトは頭の中が真っ白になってしまった。

陸海軍最高司令官である大統領がこれではいけない。


米大統領顧問がその時執務室に駆け込んできた。

顧問「東京ローズが原子爆弾使用をすっぱ抜きました!」


その場にいた全員が真っ青になった。

東京ローズは日本のプロパガンダ放送だ。


その電波は弱いが全米に届いていた。

ラジオ放送は全米の新聞社が傍受している。


ルーズベルト「報道管制を引け!」

「号外が出るぞ!すぐやめさせろ!」


しかし、間に合わない。


今頃は号外が大都市の巷に舞っている事だろう。

厭戦(えんせん)気分がこれで全米に広がってしまう。


ルーズベルト「コンクリート充填模擬弾頭はこのためだったのか」

ギルバート諸島マキン環礁で行われていた投下実験だ。


何のための投下訓練なのかは分かっていなかった。

当時は北米重要都市空爆が始まった時期と一致していた。


その対応に大わらわで、報告書は机の上に置かれていた。

報告は上がっていたが、誰の興味も引かなかったのだ。


爆発の犠牲になったのは護衛空母リスカム・ベイだった。

カサブランカ級航空母艦で「週刊空母」の1隻だ。


2番艦で英国に貸与の筈が英国は親独国になり計画は頓挫。

新たに米軍籍として日本空爆の3日前に進水していた。


このため日本軍の空爆を逃れた唯一の「週刊空母」だった。

この空母がやられた精神的打撃は余りにも大きかった。


やがて全米の映画館に衝撃のニュース映像のリールが届き始めた。

原子爆弾の着弾と爆発のキノコ雲の映像である。


勿論米政府はその全てを回収し、焼却処分にした。

だが映画館はデュプリケーターを使ってこっそりコピーしていた。


それをまた上映して、映画館は大入り満員である。

恐いモノ見たさと黄禍論的慢心がその好奇心を煽った。


だが原子爆弾はその好奇心の限界を越えていた。

映画館から出てきた米国民は軒並み真っ青になっていた。


空母の艦橋には摂氏4000度の熱線で犠牲者の影が焼き付けられていた。

米国民は犠牲者の遷延性死(せんえんせいし)についても耐えられなかった。


それを観た米国民は恐怖におののき、双極性障害(躁鬱状態)に陥った。

走り回って叫び出す者、座り込んで泣き出す者・・・・・・。


全米が泣いた。


もう戦えない、これは虐殺だ、という厭戦気分が米国に広がり始めた。

そして多くの米国民が欧州戦線を心配しだしたのだ。


米国民A「独国がどう出るかが心配だ」

米国民B「ヤツラはV2を持っているからな……」

米国民C「全米が標的になるぞ」


そしてその日が遂にやって来たのだ。

日本の根室には陸軍兵器研究所が建設されていた。


根室は北海道と温根沼(おんねとう)で隔てられており機密を守りやすい。

極秘基地はさらにその先の納沙布(のさっぷ)岬に作られていた。


風洞実験所、材料開発所、弾道研究所、慣性誘導研究所……。

燃焼実験エリアには巨大な燃焼設備と人工池まであった。


なにかのエンジンの燃焼試験が行われている事は間違いない。

しょっちゅう爆発事故が起こり、その都度改造が行われていた。


敷地内には打ち上げ装置や発射台、背の高い組立工場が見える。

その構成は独国のペーネミュンデ陸軍兵器実験場にそっくりである。


開発兵器は大陸間弾道弾(ICBM)だった。

糸川英夫技師が担当するロケット開発である。


問題はエンジンの強大な出力による振動だった。

ロケットモーター、配管、燃料ポンプがぶっ壊れた。


実験が繰り返され繰り返され、研究開発費が湯水のように費やされた。

作っては壊し作っては壊す日々が繰り返された。


ようやく試作機が完成して、初飛行の日がやってきた。

陸軍大将今村均、糸川英夫技師も試射に参加している。


発射実験はアリューシャン列島方面で弾着はアッツ島である。

正確には東南42km離れた無人島のアガツ島を目指していた。


ドドオオォーンッ!バリバリバリバリッ!


完成した試作機は轟音を立てて発射台を離れていった。

20分後、アガツ島に着弾した知らせが届いた。


開発者糸川英夫技師は涙に暮れていた。

V2A4ロケットの魔改造ではあるが純国産ロケットなのだ。


こうして試射が繰り返され、問題点が解決されていった。

脆性材料タングステンの超耐熱高靱性化が急務だった。


W-Tic(タングステン-炭化チタン)合金の開発である。


タングステンは極めて割れやすい性質を持つ。

熱間延性加工で結晶を伸ばして割れにくくする。


しかしタングステンは低温で再結晶化してまた脆くなる(再結晶脆化)。

これに炭化チタンを何パーセント混ぜるかが難しかった。


強制固溶や、粉末焼結では熱間等方圧加圧法も開発された。

粒界滑り処理により高靱性化も実現した。


実験室での成果を実現するためには巨大な機械設備が必要だ。

汎用ではなくそれ専用の機械設備が製造/設置された。


精密機器であり、工場から発射台まで油断は許されない。

じゃあいっそのこと発射台も工場から移動しようという事になった。


余りにも荒唐無稽だが一番品質管理がしやすかった。

こうして量産されたロケットはついに発射の日を迎えた。

その日、大陸間弾道弾は北米都市を目指して発射準備に入った。

慣性誘導装置には予め都市の緯度/経度が細かく入力されている。


補助ロケットは固体燃料、主エンジンは液体燃料のハイブリッドだ。

補助ロケットは途中で切り離され、主エンジンで目標に向かう。


招待された今村均大将は感慨深げにその威容を眺めた。

「遂にここまで来た、後は成果を待つのみだ」


「発射10秒前」

「3・2・1・点火・1・2・3・4・リフトオフ!」


根室の陸軍研究所から次々と大陸間弾道弾が発射された。

ロケットは北海道の蒼穹に吸い込まれるように上昇していった。

いよいよ大陸間弾道弾は米国を目指します。次回は高高度核爆発/終戦です

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― 新着の感想 ―
[一言] IF歴史の日本は、技術と工業力が凄いなぁ 確かに、海にいる艦隊への原爆投下なら、地上や島嶼への投下より遥かに後の影響は少ないですね。 東京ローズを使った自ら情報発信と、映画館での原爆爆発の映…
[気になる点] EMP攻撃仕掛けるのか。 そら、防護手段無いもんな。真空管が裂けて。 あれ? 被害は大したことなさそう。
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