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(本編完結)また第二次世界大戦かよ  作者: 登録情報はありません
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山本長官危機一髪

正史の山本五十六は戦死しました。米国側は第二の山本五十六の出現を危惧しましたが、その候補だった山口多聞はミッドウェー海戦で戦死していました。つまり山本さえ殺せば、もう日本には今より優秀な指揮官はいないのです。IF歴史では2人とも生き残った場合が描かれます。

中国の兵法書「六韜(りくとう)」にもある。

交渉のために隣国から使者が来たらどうするか?


①有能なら何一つ与えず追い返せ。

②無能なら歓待し大いに与えて返せ。


そうすれば無能が国を治め、有能は失脚する。

さすれば、その国は滅ぶ。


米国が中国の六韜(りくとう)を呼んで参考にしたかは不明だ。

だが無能なら生かしておけば米軍に有利になる。


山本五十六は非常に有能であり、一挙手一投足が監視されていた。

米軍は彼を隙あらば亡き者にしようと企んでいたのだ。


そうすれば知恵者がいなくなった日本は愚か者しかいなくなる。

さすれば、戦術に長けるとしても戦略で滅ぶのである。


山本は豪州進撃作戦の際、バラレ島前線基地を見舞った。

この前線視察行動は暗号で関係方面に打電された。


海軍が使っていたのは「D暗号」。

数ヶ月ごとに乱数表が変わり、解読不可能なはずだった。


米軍情報局はすでに日本軍の暗号をほとんど解読していた。

山本の視察の経路、予定時刻が克明に暗号に含まれていた。


かえって丁寧な行動スケジュールが解読班を戸惑わせた。

懇切丁寧な場合、罠の可能性が高い。


解読員A「敵司令長官の分刻みの予定表だぞ」

解読員B「コレ、オトリとかワナじゃないのか?」

解読員C「ヤマモトはそういう几帳面だと聞くぞ」


ニミッツ太平洋司令長官はヤマモト暗殺の後任を危惧していた。

「この後もっと有能な士官がさらに現れる可能性はないか?」


太平洋艦隊情報参謀のレイトンは今までの暗号解読で自信を持っていた。

「ヤマモトは日本海軍の頂点に立つ提督でナンバー2は山口多聞だ」


「ヤマモトを葬れば山口多聞が最優秀となる、がヤマモト程ではない」

剛毅果断(ごうきかだん)ではあるがヤマモトほど大胆不敵(だいたんふてき)ではないからだ」


ニミッツ太平洋司令長官は納得しその報は直ちに伝えられた。

ルーズベルト大統領はその報に接し「ううむ」と唸った。


ルーズベルトの戦争観はヤマモト暗殺に踏み込めずにいた。

戦争は最後の外交手段だが、暗殺は殺人ではないか?


これは「暗殺」と言われても致し方ない。

ルーズベルト米大統領は躊躇していた。


ルーズベルトの頭の中で天使(正義)と悪魔(悪)が戦っていた。

戦争ではどんな方法でも勝てば正義、負ければ悪だ。


天使「ヤマモトは正々堂々戦って倒すべきです」

悪魔「今ここでヤマモトさえいなくなってしまえば!」


フランク・ノックス海軍長官「好機です」

「彼を生かして日本の地を踏ませてはなりません」


ルーズベルト「我々はそこまで追い込まれているのか」

心中で善の心と悪の心がまだ葛藤していた。


善とは勝利者で正義は関係ない。

悪とは敗北者で忠義は関係ない。


ノックス「信義を貫いた結果、敗北したら?」

「兎にも角にも勝つことです、大統領!」


ルーズベルト(悪魔)は微笑んだ。

要するに勝てばいいのだ。


ルーズベルト「ヤマモトにはここで消えてもらう」

ルーズベルト米大統領は決断を下した。


この決定はすぐさまハルゼー南太平洋方面軍司令官に伝えられた。

山本長官が帰国の途に就くのを狙う事になった。


1943年04月18日06時05分。

一式陸攻をジェット化した天河がラバウルを離陸。


景雲改Ⅱジェット戦闘機9機が随行した。

陸軍六式戦闘機火龍は見送り役だ。


火龍のみブーゲンビル島上空までついて来て引き返している。

だが米軍情報部はジェット機編隊を知らなかった。


暗号が見破られていると薄々感付いていた日本軍。

一式陸攻で帰国と、暗号では嘯いていた。


これをP-38Fライトニングが16機で追撃する。

最高速度650km/h、航続距離3100km。


ルイジアード諸島サン・テニャン(現ミシマ)島。

ここにある最後の米軍秘密基地から離陸した。


ソロモン海の制海権はもはや日本のものだ。

この島もやがて陥落し消えてしまうだろう。


バーバー中尉「この基地を使うのも最後になるだろう」

ランファイア大尉「ヤマモトを必ず仕留めてみせる!」


山本長官座乗機天河は750km/h。

景雲改Ⅱジェット戦闘機は850km/h。


米軍はG4M1の453.7km/hで計算していた。

会合は07時33分の筈だが、いるわけがなかった。


ブーゲンビル島上空で待ち伏せするP-38F。

だがいつまで待っても一式陸攻はやって来ない。


バーバー中尉「時間に厳しいと聞いていましたが」

ランファイア大尉「ミシマ基地に問い合わせろ」


サン・テニャン島のミシマ基地にはレーダサイトがある。

島の東部Ewenaにレーダーサイトを建設していた。


バーバー中尉「レーダーには友軍機しか映っていないそうです」

ランファイア大尉「クソッ予定を急に変更したか?」


バーバー中尉「それが……」

ランファイア大尉「それが、なんだ?」


バーバー中尉「1時間前に超高速物体が通過したとの事です」

ランファイア大尉「な、なんだとう!」


速度差が300km/hもあって1時間前に通過していた。

今頃は300km彼方を悠々帰途についている事だろう。


P-38Fライトニングが16機は旋回を続けていた。

バーバー中尉「一体どうなってんだ、コレ」

山本五十六は自分が戦死したら山口多聞を指名していた。

山口多聞「そのようなことは起こりませんでしたな」


ここは広島県呉市にある会席料理の店「戸田本店」。

帰国したら、必ず寄る馴染みの店であり、密談にも使われた。


山本と山口は密かにここで会っていた。

山本五十六「まったくだ」


連合艦隊長官山本五十六は生き残った。

この事が戦争の方向を決定的に偏向させる。


山本「ところで件の話はどうなった?」

山口「あと二、三ヶ月で実行可能かと」


山本は南アメリカの白地図を広げた。

山本「エストレチョ・デ・マガジャネスだ」


エストレチョ・デ・マガジャネス(マゼラン海峡)。

南アメリカ大陸南端の国際海峡である。


軍民用を問わず、あらゆる艦船が通過出来る権利を持つ。

これを通り抜けて大西洋攻撃作戦に出るのだ。


山本は北アメリカの白地図を広げた。

山本「そしてワシントンD.Cだ」


山本はあろうことかワシントン空爆計画をぶち上げたのだ。

山口「そのための伊号第四四〇潜水艦」


件の話とは潜水艦空母「伊号第四四〇潜水艦」のこと。

搭載機6機の兵装無し防滴形潜高(水中高速潜水艦)だ。


これに対空潜水艦「伊号第六〇〇潜水艦」が随行する。

無反動砲の潜水艦格納モジュール12基を持つ艦だ。


潜水艦格納モジュールは英国が既に実用化の域に達している。

英HMSアエネアス(P427)潜水艦がその嚆矢だった。


砲射撃指揮装置GFCSでコントロールされており無人射撃である。

潜望鏡深度(ペリスコープ・ディプス)から対空射撃も可能である。


山本「ちょっとした海の怪物だな」

山口「実に投機(バクチ)的作戦です」


伊四四〇型は18隻、伊六〇〇型は24隻が艦隊を編成する。

これに補給用潜水艦が2隻つく。


山本は南アメリカの白地図を広げた。

山本「そしてフォークランド諸島を中継基地とする」


フォークランドは枢軸国への好意的な中立の立場を取っていた。

統一将校団という軍事政権が諸島の社会秩序を掌握している。


日本は第二の真珠湾と言われるニューヘブリデスを占領した。

米国は豪州補給路を捨て、ハワイの真珠湾を厳重警戒している。


パールハーバー・ヒッカム統合基地には太平洋艦隊司令部がある。

ブリスベーンの南西太平洋方面軍司令部はもはや壊滅していた。


米軍は太平洋艦隊司令部だけは絶対に固守する決意だった。

ハワイを失ったら米国西海岸まで拠点はもうない。


ミッドウェー海戦の後、日本軍はハワイを攻撃しなかった。

反攻作戦を行えば、米軍最後の牙城は頑強に抵抗するだろう。


そこであえてハワイ/ミッドウェーを放置する事にしたのだ。

好きなだけ籠城していればいい。


ハワイ周辺に米海軍の艦船が集まり始めた。

全ての海軍戦力が集結しつつあった。


北太平洋は哨戒の艦船や航空機が一杯だった。

ハワイを中心とした半径4000kmまでが厳重警戒域だ。


特にベーリング海のアッツ/キスカ島周辺も注視していた。

南太平洋はその反動で船舶1隻航空機1機もいなくなった。


米軍は日本軍が必ずハワイを攻めると盲信していた。

まさか素通りしてマゼラン海峡を目指すとは誰も考え付かなかった。


そこを日本軍の補給艦隊が東進していた。

戦時標準船がニューヘブリデスを出発。


一路フォークランド諸島の中継基地を目指した。

1万トンクラスの貨物船がマゼラン海峡を通過。


海上に見える編成としては連合軍輸送船団にほぼ同じだ。

貨物船団を中心に側面を護衛艦/軽巡洋艦が固める。


後衛を護衛空母がエアカバーし、護衛艦が空母を守る。

貨物船60隻、軽巡4隻、護衛空母2隻、護衛艦12隻、計80隻。


マゼラン海峡にはチリのプンタ・アレーナス海軍基地がある。

チリは連合国への好意的な中立の立場を取っていた


基地には閑職の米駐在武官がのんびり暮らしていた。

そこに日本輸送船団80隻が通りかかったのだ。


米駐在武官は飲みかけのコーヒーを吹いてしまった。

「なんでこんな所に日本軍が!」


米駐在武官は真っ青になって米国に暗号文を打電。

この報告はただちにアメリカ統合参謀本部の知るところとなった。

正史では米軍が飛び石作戦としてラバウルなどを避けてフィリピンに侵攻しました。IF歴史ではその逆で日本がハワイを避けて米国に進攻です。なんと山本五十六の作戦はワシントン爆撃でした。これは正史でも伊四〇〇型潜水艦により実地される筈でしたが山本長官の戦死によりうやむやになってしまったのでした。次回はカイザー造船所爆撃です

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― 新着の感想 ―
[一言] ハワイに敵軍を集中させといて、南太平洋諸島を掌握してマゼラン海峡通過とは面白い。 たしかに、マゼラン海峡狙いなら、ハワイは放置で良いですよね。 バヌアツ失陥が非常に痛い米国。 大輸送船団が…
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