第253話 カレーと平和
【お知らせ】
いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾
こちらの作品の第2巻の発売日が2025/1/16に決定しました!
今回は一気に新キャラが4人も登場しますのでお楽しみに∩^ω^∩
ありがたいことに3巻までは決まっているのですが、そちらが完結巻にならないよう、何卒応援よろしくお願いしますm(_ _)m
「むむ、このカレーという料理はとても複雑な香辛料が使われているな。色は少し微妙だが、少々の辛みと独特のうまみがあとを引く味となっている!」
ラーメンに続いてカレーをおいしそうに頬張るスヴィーさん。
みんなが初めてカレーを食べた時と同じ反応をしているのになんだか和んでしまうな。先ほどあれだけ難しい話をしていた賢者というスヴィーさんだが、目を輝かせながらラーメンとカレーを食べている姿は微笑ましい。
まあ見た目は女の子だが、彼女はダークエルフで300歳を超えているらしいけれど。
「元の世界では香辛料がかなり普及していたからね。いろんなスパイスを混ぜ合わせてこのカレーができたらしいね」
クミン、ターメリック、コリアンダー、シナモン、サフランなどなど、カレーには様々なスパイスが入っている。俺が知っているのは有名なこれくらいだが、本格的なカレースパイスはこんなものではないだろう。
この世界でカレーをいちから作るのは相当難しいだろうな。
「この白米が味の濃くて少し辛いこのカレーがよく合うぞ」
「こっちの箸休めの漬物もおいしいよ」
リリアとランジェさんもカレーのおいしさをよくわかっていることだ。
カレーは結構頻繁に食べることもあって付け合わせの福神漬けやラッキョウの代わりの漬物を漬けてみたので、それも一緒に出してある。前の店舗のお隣さんだったブライモンさんとマドレットさんから作り方を聞いて作った。
多少味は異なるけれど、カレーの箸休めにちょうどいい。
「ふむ、ラーメンもカレーも本当に美味であった。テツヤ殿の世界にはこれほどの料理が簡単にできるのであるな!」
「ええ。国の歴史が長いのと、俺が暮らしていた国は平和だったので、娯楽や食事なんかが発展していったんですよ」
「……なるほど。戦争が多いと魔法や争いの技術が発展するものであるが、そちらの方が平和的で良いものであるな」
「本当にその通りですね。改めて平和なのが一番ですよ」
争いが増えると文明レベルや科学技術などが向上するというのは聞くが、それよりも平和な世界で娯楽や料理が発展していくことは幸せなんだと思う。この国も戦争はしていないみたいで本当に良かった。
王女様が美容グッズを求めるくらい平和なのが丁度いいんだよ、うん。
「それではテツヤ殿、すまぬが明日もよろしく頼む」
「はい、スヴィーさん」
晩ご飯を終えて、スヴィーさんは自分の宿へと帰っていった。他国からの要人ということもあって、この街で一番いい宿に泊っているらしい。とはいえ、このアレフレアの街に王都のような超高級宿はないのだが。
「どうやら、本当にテツヤの話を聞きたいだけのようだったな」
「そうだね。あそこまで分かりやすいと、こっちも警戒する気がなくなるよ」
リリアの言う通り、やはりスヴィーさんは師匠であるアースさんと同じ俺の故郷の話を聞きたいだけのようだった。
もちろん見た目が普通の女の子であるスヴィーさんの実際の年齢は俺よりも遥かに上なので、そういった演技をしている可能性もゼロではないけれど、本当に楽しそうに元の世界の話を聞いてくれたし、元の世界のラーメンやカレーなどをおいしそうに食べてくれていた。
少なくとも警戒レベルはだいぶ落としてもいいだろう。
「本当に楽しそうにテツヤの話を聞いていた」
「ええ。私もテツヤさんの故郷の話が聞けて楽しかったですわ」
「フェリーさんとベルナさんも護衛をありがとうございました。明日辺りにライザックさんとパトリスさんにも問題ないことを伝えておかないとな」
少なくとも2人の護衛はもう大丈夫だろう。まあ、正式な国と冒険者ギルドを通して俺を訪れていた時点で問題はないと思っていたが。
「でもテツヤ、明日辺りからぼちぼち新規店舗の準備を始めないとまずいんじゃない?」
「そうなんだよね。今日はのんびりと話をしていたから、だいぶ疲れも取れてきたし、明日はグレゴさんといろいろと相談することもあるんだよなあ」
今日はスヴィーさんと話している間もグレゴさんや職人さんたちはこの店の外装を整えてくれていて、もうそれも終わるらしい。
明日は現在作ってもらっているテントなんかのキャンプギアの状況などを確認したい。明後日からはフィアちゃん、ドルファ、アンジュの3人も店に来て新規店舗開店の準備を始める予定だ。
スヴィーさんと元の話をするのは俺も楽しいのだが、新店舗開店の為にいろいろとやらなければならないことも多いんだよな……




