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【書籍3巻6/13発売】アウトドアショップin異世界店 冒険者の始まりの街でオープン!【WEB版】  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第240話 生クリーム


「今日の晩ご飯もおいしかった」


「ええ。やっぱりテツヤさんが作ってくれた料理はとてもおいしいですわ」


「そういってもらえて何よりだよ。でも今日はむしろこっちが本番かな」


 今日の晩ご飯もみんなに満足してもらえたようだ。


 しかし、今日はむしろここからが本番ということで、みんなには少しだけお腹を空けてもらっている。


「さっき僕が作った()()()()()ってやつを使ったお菓子って言っていたね。冷やしたホワイトブルの乳を混ぜるとだんだんクリーム状になっていって面白かったよ」


「俺の方はホワイトブルの乳を筒に入れて振っていたら、白い塊になって面白かったな」


 そう、ホワイトブルを使用した実験は見事に成功して、ランジェさんが泡だて器で混ぜたものは生クリームとなり、ドルファが振った水筒の中にはバターができていた。


 どうやらこのホワイトブルの乳は遠心分離器を使用しなくても十分に乳脂肪分が高くて生クリームとバターができるようだ。ランジェさんもドルファもホワイトブルの乳が変化していくのを見て驚いていた。なんだか俺も科学の実験をしている時のことを思い出したよ。


 今日は2人が作ってくれたバターと生クリームを使用してデザートを作ってみた。


「これが俺の故郷のスイーツのクレープだよ」


 薄い黄色の生地の中に包まれたたっぷりの白い生クリームとカットされた果物。まごうことなき元の世界のクレープである。


「砂糖も使っていたようだし、ようかんやチョコレートバーのように甘いものなのか」


「テツヤさんの故郷のお菓子ですか。とても楽しみですね」


 リリアもアンジュもクレープを不思議そうに見ている。確かにアレフレアの街どころか王都にさえも生クリームを使用したお菓子はなかったし、甘くて白い生クリーム自体が不思議なのかもしれない。


「うわあ~なにこれ!? 甘くてとってもおいしいです!」


「まあ! モチモチとした生地の中から、とても甘くてふんわりとしたものが溢れてきますわ! この食感もこの甘さも初めてです!」


「生地と甘いクリームと果物の甘さすべてが合わさって最高!!」


 まあ女性陣の反応は当然そうなると予想していた。ようかんやチョコレートバーが好きなら、クレープが嫌いな道理はないよな。


 クレープの作り方は非常にシンプルだ。フライパンの上にバターを溶かし、小麦粉、卵、ホワイトブルの乳を加えて混ぜた生地を焼いていく。そしてランジェさんが作ってくれた生クリームをたっぷりと生地の上に載せて、そこにカットした果物を載せて生地で包んだら完成だ。


 もちろんクリーム絞り袋なんかはないから、生クリームを綺麗に絞ることはできないけれど、それでも見た目は十分にちゃんとしたクレープである。


「うん、これは甘くて最高の味だよ!」


「ああ。優しくて甘くて、いくらでも食べられそうだ」


 どうやらランジェさんとドルファの男性陣にも好評なようだ。もちろん俺もこのクレープの味はようかんやチョコレートバーに負けないくらい好きな味だぞ。


 このホワイトブルの乳もそうだが、砂糖は少し高価であまり気軽には使えなかったからな。今回王都へ来る途中にベルマルコンから砂糖を得ることができるようになったおかげだ。


 以前バーベキューの時にアイスクリームを作ったけれど、このホワイトブルの乳の方が乳脂肪が多くておいしいかもしれない。街に戻ったらもう一度作ってみるか。


「ブルオオ!」


「ワオン!」


「おっ、スレプもシルフも気に入ってくれたか」


 フェリーさんの召喚獣であるスレプとシルフもクレープの味を気に入ってくれたようだ。どうやら召喚獣は乳製品とかも大丈夫みたいだな。


 生クリームが口の周りに付いているのを見るとなんだか微笑ましい。あとで拭いてあげるとしよう。


「テツヤ、お代わり!」


「テツヤさん、私もお願いしますわ!」


「テツヤお兄ちゃん、フィアもお代わりしたいです!」


「わ、私も頼む!」


「テツヤさん、私もお願いします!」


 まさかの女性陣全員がお代わりを希望している。どうやら異世界でもクレープは女性の心を鷲掴みしてしまうようだ。


 普段はあまりお代わりをしないアンジュまでお代わりをするのは珍しい。みんなすでに晩ご飯を食べたはずなのだが……


「うん、一応ひとりひとつずつお代わりは作ったけれど、今日はこれで我慢してね。このクレープは結構太りやすいから、食べ過ぎたらダメなんだよね」


 そう、クレープの唯一の欠点はカロリーが非常に高いことだ。乳脂肪分が高いホワイトブルの乳にたっぷりの砂糖を加えた生クリームがこれでもかというくらい入っているからな。特にここ数日はほとんどを馬車の中で過ごしていた俺たちにとってはなかなかのカロリー摂取になることだろう。


「くっ……それは我慢したいところだが、こんなに甘くておいしいものを我慢するのは非常に厳しいぞ……」


「だ、大丈夫ですわ! アレフレアの街に戻ってからたくさん運動します!」


 リリアとベルナさんがものすごく葛藤をしている。他の女性陣も似たような感じだが、2つ目をお代わりしない者はいなかった。


 やはり甘いスイーツには抗いがたい何かがあるらしい。


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