10話 自覚。
「ルーク、おはようっ!」
「お、お、おはよう、フレイヤ……」
……なんだかめっちゃ恥ずかしい。いや、恥ずかしくならない方がおかしい。
フレイヤの魔法で、フレイヤと……そのぉ……エッチな夢を見たことをこれから本人に言わないといけないことを想像すると……恥ずかしくてたまらない。
フレイヤにも、自覚はないがそういう目で見ていたと考えても……恥ずい。
「ねっ、ねっ、どうだった?ちゃんと私の夢、見た?」
「えっ、あ、ああ……。ちゃんと見たぞ」
「で、でっ!どんな夢だったの?」
……フレイヤは目を輝かせて聞いてくる。心なしか、若干鼻息も荒い。
……対して、俺の顔は今どんな状態になっているのだろうか。……あんまり、フレイヤに暗い顔は見せたくはないが……。
「う、うーん……。どんな夢だったかなあ……」
「えっ、もしかして忘れちゃったの……?」
「う、うん。なんか曖昧なんだよな……」
「そ、そんなぁ……」
……曖昧なもんか。絶対に忘れるはずがない。
でも、夜ご飯のことも、お風呂のこともほったらかしにしてベットでお互いの体を求め、求められるお熱い夢を見たなんて絶対に言えない……!
「……おはよ〜。ルーク、フレイヤ」
「…………二人ともおはよう」
「げっ……」
金髪と銀髪……。
なんか嫌な……いや、なんかしなくても嫌な予感しかしない。
「あっ、サリエラにアリア。おはよう。今日は早いね」
「いや〜、気になるじゃん。ルークがどんな夢を見たかさ〜。だから聞こうと思ってね〜」
「…………私も同じ。……それに、今日のフレイヤならルークと話すために早く学校に来ると思ったの。ルークの早い登校時間に合わせてね。……それで、サリエラと話して私たちも早く行こうって……」
「そ、そうなの……」
「でっ、ルークはどんな夢を見たのかな〜?」
「あっ……それがルーク、夢の内容をあんまり覚えてないんだって……。なんか『曖昧だ』って……」
「……ルーク、あんまウソを言うのは良くないんじゃない〜?」
「…………嘘つきは嫌われる」
「嘘じゃねえよ……」
「…………なら、どうしてそんなに顔赤いの?」
……えっ、顔?……確かにちょーっと熱く感じるが……。
「うんうん。そんなに顔を真っ赤にさせてさ〜。なにもないはちょっとねえ〜」
「……ルーク、本当はなにか覚えてるの……?」
「うっ……」
「まあ〜、ルークがどうしても言いたくないって言うなら私もなにも言わないけどさ〜。……もしちょっとでも覚えてるんなら、どんな感じの夢だったか言ってもいいんじゃな〜い?」
「………………刺激的な夢だよ。」
「……へっ?」
「だーかーらっ!刺激的な……エ、エッチな夢だよっ!」
…………なんか、いろいろ何でもよくなってきたな。
ほっぺたに加えて、目のあたりもなぜか熱く感じる。
「……まあ、そういうことなんだろうとは思ったけどさ〜……」
「…………変態」
「悪いかっ!フレイヤに軽蔑な目で見られたり嫌われたくなくて言えなかったが……。……ごめんな、フレイヤ……」
ああ……もうフレイヤのこと見れないな……。なんか、今にも目から涙が溢れてきそうだ。
「……良かった」
「…………へっ?」
「私のせいで悪夢を見たんじゃないかって心配になったの。……良かった、悪夢じゃなくて。…………大丈夫だよっ、ルーク!……もし、私が同じ魔法をかけられたらルークの見たような雰囲気の夢を見ると思う。だから……ほらっ、顔を上げて!」
「……怒ってないのか?」
顔を上げて見るフレイヤの顔は怒ってなどいなかった。むしろ、優しい顔で俺を見つめている。
「怒ってるわけないじゃん!……それに、このドリーム・マジックはかけた人とかけられた人のお互いの感じてる気持ちが誇張されることがあるって聞いたことがあるから……別に不思議なことじゃないよっ!」
「フ、フレイヤ……」
「おー、よしよしルーク〜!」
ポンポンっ……。
頭を優しく撫でられる感覚がする。……とても心地よい。夢の中と、実際にやってもらうのとでは安心感がまるで違う。
……ずっと、この時間が長く続けばいいのに……。
「……ねえ、コレって予知夢だったりしな〜い?」
「…………バカップル」
予知夢にバカップル……。…………そうかもしれないな。
……もう、なにを言われたっていい。でも、この瞬間だけでも俺は素直でありたい。……フレイヤと同じ気持ちかもしれない……?
……いいや、違う。俺もフレイヤのことが好きなんだ。
そして、願わくばこの瞬間だけでなく、好きな気持ちをずっと忘れずに、離さないでフレイヤと接していきたい──。
そう、頭をポンポンされながら思うのだった。
ドリーム・マジック編、終わり。
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