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第16.5話 願わくば……いつの日か


いつも読んでいただきありがとうございます‼︎

今後も頑張ります‼︎


リチャード目線です‼︎





僕、リチャード・マクフォーレの元へ、その手紙が届いたのはある日の夕暮れのことだった。


自室に帰ったところで、ふわりと天井から僕の元へと手紙が落ちてきたんだ。

驚いたよね。

手紙を届けるために精霊術を使うなんて、普通は考えないんだから。

差し出した人はシエラ・ジキタリス。

〝ジキタリス〟という家名に、僕は大きく目を見開いた。

僕の幼馴染……ラティナが嫁いだ家だったんだから。



ラティナは元々、綿織り物が盛んな領地の子爵家の令嬢で。

商家である僕の家とはよく取引があったから、ラティナとも仲良くしていたんだ。

彼女はとても弱い子だったから、僕が守ってあげなきゃって子供ながらに意気込んでいたんだよ。

多分、初恋ってヤツだったんだろうね。

でも、ラティナはシーレンス様と恋に落ちてジキタリス家に嫁ぐことになった。

…………僕も痛む胸を押さえて、彼女が幸せになるならと送り出した。


でも、ジキタリス家の醜聞は社交界では皆が知っている事実だ。


妻はラティナだけと誓った伯爵の裏切り。

娘と同い年の義娘。

そして……ラティナは社交界にも出なくなった。

結婚式では、あんなに幸せそうに笑っていたのに……どうしてと僕が悲しくなったほどだ。


だから、今更……どうしてジキタリス家から手紙が届いたのか分からない。

僕は少し震える手で手紙を開いた。



『リチャード・マクフォーレ様

初めまして。

私はシエラ・ジキタリスと申します。ラティナ・ジキタリスの娘です。

さて、我が家の事情はご存知だと思いますが……どうか我が家に外商販売にお越し下さいませ。

話はこちらで通しておきますので、よろしくお願い致します』



それを見て僕は言葉を失った。

家の者に招かれたのなら、僕はラティナに会いに行ける。

手紙が届いた翌日。

僕はドレスやアクセサリーなどの商品を持ってジキタリス家に訪れた。

執事も侍女さん達も話が通っていたのか……直ぐに応接室、ではなくて……伯爵夫人の部屋へと案内された。



「ラティ」



昔のように彼女の名前を呼ぶと、やつれた顔の彼女は驚いたようにこちらを見て。

小さく、僕の名前を呼んだ。


「な、んで……」

「君の家の人が出入り商人として招いてくれたんだよ」


それを聞いてラティナの顔に翳が指す。

しかし、僕は本当のことを言わずに微笑んだ。


「僕は商人だ。でも、君の幼馴染でもある」

「…………何、を…」

「取引ついでにお話ししても、誰も咎めないよ」


それから僕達は沢山話し合った。

嫁いでからシーレンス様に愛してもらって、子供を産んだ喜び。

それを聞くだけで僕の胸が張り裂けそうだった。

でも、直ぐに裏切られた悲しみ。

とても許せそうにないと、怒りが湧いた。

それからこうして引き籠もる日々を過ごしていたという話。

悲しみに暮れて過ごすラティナが可哀想だった。


出入り商人だから、何度彼女の元を訪れても怪しまれない。

それどころか少しずつ顔色が良くなっていくラティナを見て、屋敷の人達は感謝してくれたぐらいだった。

普通、自分の家の主人以外の男が奥方に近づくのはいけないことのはずだ。

でも、彼らはラティナの味方だったらしい。

いや……それとも、彼女の娘が手配してくれたのかな?


こうして……僕とラティナは何度か逢瀬を重ねて……。






「ラティ。僕は君がずっとこの屋敷で泣き暮らすのを見ていたくないんだ。どうか、僕と一緒に来て欲しい」

「………えぇ、勿論」


弱っているところに付け込むなんて、最低だと思うけど……彼女は僕に恋をしてくれた。

でも、彼女は自分の娘が心配だから……まだここにいると言う。



だが、その問題も王都ドラゴン襲撃事件で簡単に解決した。



ドラゴンを単独討伐したルイン・エクリュ侯爵が、ラティナの娘の婚約者になったのだ。

これを機に、ラティナはシーレンス様に離縁を申し出ることになった。








こうして今日。

シエラ嬢の後押しの元、僕達はジキタリス伯爵家を後にする。

僕の隣で泣きそうな顔をしているラティナには悪いけど……本当はシエラ嬢も泣きたかったんじゃないかな。

ずっと、親子として接してこられなかった。

なのに、シエラ嬢は母親の幸せのためにラティナを僕に攫わせた。

本当は、もっと母親と一緒にいたかっただろうに……自分の所為でラティナがシーレンス様を思い出すのは申し訳ないからという理由で。



でもね。

シエラ嬢のあの顔は……我慢している子供そのものだったよ。



でも、僕が何よりも優先するのはラティナだから……シエラ嬢、ごめんね。


………きっと、彼女のことはエクリュ侯爵が支えてくれるだろうと思って。





願わくば……いつの日か、親子としてラティナとシエラ嬢が再会できますように。





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