69話 目的を知る戦乙女
「どういうこと? あんた達はお嫁さんを他の星から連れてきてるって事!?」
『……何を言っている?』
「それはこっちのセリフだよ!」
綾乃は声を荒げると天使の溜息のような者が聞こえます。
『ここまで来た褒美に教えてやろう、お前たちがミュータントと呼んでいる細胞は私達の体の一部……それが身体に取り込める知的生命体は我々の子をなす権利がある』
「権利って……」
『我々にはお前たちで言う性別がない、数を増やすには母体が必要だ。だからこそ選別するために送り込んでいる』
ミュータントは彼らの細胞。
それを聞いた美月たちは驚きます。
それもそうでしょう……。
体の一部……そう言われて信じないものは多いはずです。
ですが――。
「じゃぁ、この前魔法を使ってきたのって……」
『魔法という技術は知らないが、先ほどお前がやったように風を操る程度ならたやすい』
「そんな……」
つまり、手術を受け犠牲になってきた人たちは天使に殺されたと言っても良いでしょう。
いや、それだけじゃありません。
最初から天使の作戦だったのです。
魔法使いを作り、子供を作らせる……自分たちの繁栄のためならばと……。
「子供を産ませる……って、そんなの尚更コミュニケーションを取れば!!」
中には天使の事を好きになり、ついてくる人がいる。
それは当然の事です。
しかし、彼は――。
『何を言っている? 子供を作るのになぜコンタクトを取らなければならない、お前たち産む側の承諾などいらない』
それは美月や綾乃にとっていや、人にとって全く理解できない言葉でしょう。
子供とは親が愛し合い成すものです。
なのに片方の意思だけで一方的に産ませる。
そんなのはただの凌辱と言って良いでしょう……。
『そして、お前たちの星は駄目だと思っていた……しかし、お前はその星の中で特異な存在で今までの中でも特に優秀だ』
天使の機体はしなやかに動き美月に指を向けます。
美月はそれを見て思わず身を守るように抱きしめますが……。
コクピットの中で思わずそうしてしまうほどの恐怖がありました。
「い、嫌……」
もし負けるようなことがあれば……。
彼女はあっさりと彼らの言う子供を産む権利を与えられるのでしょう。
それは彼女にとって、いや人にとって屈辱と絶望の他なりません。
「ふざけるな!! 美月はお前たちの道具なんかじゃない!!」
しかし、そんな中、綾乃は怒声を発し……。
巨大なブレイバーを握りなおします。
『出来損ないは黙っていろ』
「あんた達にとっては出来損ないでも……アタシは悪魔乗りだ!! 美月だってそう……そして、アタシは美月を守るためにここに居るんだ!」
綾乃の言葉を聞き美月は顔を赤らめました。
そして、思い出したのです。
彼女が守ってくれると言ったように自分も彼女を守るために戦っているのだと……。
そして、負けてしまえば自分だけではなく、魔法使いの女性たちは被害に遭うでしょう。
どっちにしても負けることは許されないのです……。
それを思い出し――。
「私はあなたたちの道具なんかじゃない!」
美月もまた声を振り絞ります。
すると――。
『歯向かうか……本当に手のかかる種族だ……だが、貴様らを倒しお前を躾ければ大人しくなるだろう』
天使はそう言うと最早話すことはもうないというかのように武器を構えます。
これが最後の戦いとなるのでしょう。
彼の周りの天使達もまた武器を構え……。
「最悪……そりゃそうか……必死だもんね、そっちもさ」
「……負けない、負けたくない、絶対に綾乃ちゃんと一緒に帰るんだから!!」
二人はそれぞれそう口にすると最後の戦いへと挑むのでした。




