表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
186/241

20話 守るべきものを得た戦乙女

 支部へと戻った美月たちは歓声に出迎えられました。

 どこかで戦いを見ていたのでしょうか?

 施設内にはニュースの音声も流れており……。


『新型天使を悪魔乗り達が撃退! 被害は……今までの戦いの中で最小限とのことです』


 今までは確かに街中の戦いが多く、どうしても被害が出てしまった問いのもありました。

 ですが、それを抜きにしても確かに被害は少なくなったでしょう。

 そして――。


「やるじゃねぇか!!」


 伊達はおりてきた美月たちを豪快な笑い声と共に出迎えます。

 彼の顔を見た美月たちはほっとしました。

 何故なら帰ってきたことを実感できるからです。


 苦戦を強いられた新型天使との戦い。

 ですが、美月達の機体も確実に強化されており……。

 そして、それを駆る悪魔乗り達もまた強くなっていました。


「…………」


 美月はジャンヌダルクを見上げます。

 そこにはかつての灰色の悪魔とは少し違う見た目の悪魔が居ました。

 コピスのパーツを受け継いだそれは前よりもほんの少し暖かさが増したような気がします。


「……今度は私たちが守るから」


 誰に向けた言葉なのか、美月にはちゃんと理解できました。

 死んでしまった新谷の代わりに戦う。

 それは誰でもできる事ではありません……。

 同時に彼女たちの代わりもいないという事ですが……。


「……私達が、天使を追い払うから!」


 そうジャンヌへと伝えるとすぐそばに気配を感じ目を向けます。

 そこには微笑む綾乃の姿がありました。

 彼女はどこかほっとしたような表情で……。

 美月も彼女に対し笑みを向けます。


「えへへ……」

「あはは……、そうだね、アタシ達がやるんだ! やれるんだ!!」


 綾乃はそう言うとぎこちない動きで美月の手を取ります。

 そして大事なものを包むようにし……その動きに美月は思わず顔を赤らめました。

 もはや女性同士なんてことはどうでもよかったのです。

 大切な誰かがそこに居る。

 彼女たちにはそれだけで十分なことでした。


「でも、アタシは世界なんかより美月を守るから」

「……うん、私は綾乃ちゃんを守るね?」


 二人はそう言うと互いに顔を赤らめ笑いあいます。

 それを見ていたクラリッサは――。


「どうした? 顔がほころんでるぞ! めずらしい」


 伊達にそう言われ、鼻を鳴らします。


「貴様に何かを言われる筋合いはない……ただ、私の思い通りになって満足してるだけだ」

「なんだ、やけに素直じゃねぇか……」


 意外そうな伊達の声に彼女は黙っていました。

 ただ、その顔はどこかさみし気で……。


「想い合ってても伝え合えなければ後悔が残るだけだ」


 そう口にしたのでした。

 美月はそんな彼女の声は聞こえませんでした。

 ですが、悲しそうな表情だけは見えており……。

 何故そんな表情をするのかが気になりました。


 ですが、彼女が胸にあるロケットへと手を伸ばし、彼女の大切な人が天使に奪われたのだろうと察します。

 そして、美月は次に綾乃へと目を向けます。

 そこにはすでに自分の近くから離れ、整備班と笑い合う少女の姿。

 もし、彼女を失うことになるとしたら……。

 自分はどうなってしまうのだろう? 彼女はそんなことを考えると……。


「…………っ」


 そんなの耐えれない!

 絶対に無理だ!!


 彼女はそう思うと今考えたことが恐ろしく……震えながら自分の体を抱くようにします。


「美月?」


 そんな彼女の様子に気が付いたリーゼは彼女の方へと寄り……。


「大丈夫、ですか?」


 心配するように顔を覗き込みました。

 美月はその問いに頷き。


「う、うん……ちょっと怖い想像をしただけ……だから」


 美月はそう言うと彼女に心配させまいと笑顔を浮かべます。

 すると腕を組み胸を主張するかのような体制になったリンチュンは……。


「嘘、顔色良くない」


 そう言われてしまったのですが、本当に怖い想像をしてしまい気分が悪くなっただけです。

 心配する必要はない。

 美月はそう考え……。


「だ、大丈夫だから」


 そう言うと話を聞いて心配になったのでしょう。

 綾乃まで近づいてくるのです。

 そして、美月は綾乃の顔を見て――。


「大丈夫? 美月……どこか痛いところない!?」


 彼女は当然美月を心配します。

 そんな彼女の優しさにあてられ……やはり思いつくのはもし彼女が居なくなった時の事。

 その時自分は戦う事は出来るのだろうか?

 いや、できません。


「だ、だいじょうぶ……だから……」


 そう言いつつ美月はボロボロと涙を流し始め……。


「ちょ!? 美月!?」


 綾乃はそんな彼女を見て慌て始めるのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ