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59話 朗報? を伝える悪魔乗り

 それから数日間、美月は吉沢の指示で薬を飲みつつ生活をします。

 その間美月はこれまで感じたことの無いような感覚を味わっていました。

 どんなに体を動かしても息切れがしません。

 当然魔法を使えば、体力が少し落ちてしまうのですが処方されている薬のお蔭で気になるほどではありませんでした。

 更にはヘモグロビン値を下げないため、食事の方にも気を使っていた美月は魔法使いでありながら普通の人と何ら変わりのない生活を送れるように迄なったのです。


「それで、身体の方は?」

「不調とかは無いですよ? あれ以降ふらつきも……」

「だね、健康そのものって感じだよ?」


 美月の定期検診に綾乃もついて来て吉沢の質問に答えます。

 すると吉沢はカルテに記入をしていき……。


「なるほど……」

「これなら使っても平気なんじゃ?」


 綾乃が笑みを浮かべてそう言うと信乃は首を横に振ります。


「確かに美月さんには目立った副作用が出てません、ですが薬との相性が良かっただけかもしれません」


 彼女はそう言うともう一つのカルテへと目を通します。


「まだ、サンプルが欲しいですね……リーゼロッテさんに頼もうかと思うのですが……」

「リーゼちゃんに?」


 きっと喜ぶ。

 そう思っていた美月ですが彼女の顔を見て首を傾げます。


「どうしたんですか?」

「彼女はドイツの貴族です。魔法使いの為とはいえ、何かあったら目も当てられません」


 ため息をついた彼女は困ったように笑います。

 なら――と綾乃は身を乗り出し……。


「師匠は?」

「クラリッサさんですが、拒否するでしょうね」

「そんな……」


 では他に魔法使いが居るのか?

 そう思った時、頭に思い浮かんだのはもう一人の少女……リンチュンです。


「リンちゃん?」

「ですね、彼女ぐらいしか適切な人間はいないでしょう、中国にも連絡を取ってはいるのですが……」


 再び彼女は大きなため息をつき、帰って来たらしい返事へと目を通します。


「薬があるなら、彼女に早く使え、テストでも何でも構わない本人の意思は考えなくていい……だそうです」

「そ、それはどうなの?」


 返事を読み上げる吉沢に対し綾乃は引きつった笑みで答えます。

 綾乃だけではありません。

 美月もその返答は酷過ぎると考え……。


「やっぱりリンちゃん本人に聞いた方が良いと思うんですけど」

「ですよね、ですから……お二人にお願いできませんか?」


 と彼女に言われてしまいました。

 何故? と考えた直後その理由が明らかにされます。


「どうもあの風船をちぎりたくなってしまいますので……」

「……へ?」

「あーははは……分かったアタシ達が行くよ」


 美月達はそう言うとリンチュンの部屋へと向かっていきます。

 早速協力を仰ごうと思ったのです。


 それは薬を早く完成させたいという理由だけではありません。

 早く彼女の憂いを取り払いたい。

 そう思っていたからでもあります。

 焦る気持ちを抑え、リンチュンの部屋へと辿り着いた美月達は彼女の名を呼びます。

 扉は空いているのか? 分かりませんでしたが取りあえず返事はありませんでした。

 美月はこの前みたいにカギはかかっていないのでは? と考え扉へと手をかけます。

 すると扉は簡単に開き……。


「リンちゃん、入るよ?」


 と一応ことわりを入れました。

 部屋の中は真っ暗で、唯一差し込む薄暗い光。

 それが照らすベッドにはリンチュンが潜り込んでいるのが分かりました。


「リンちゃん……あのさ……」


 綾乃は彼女へと近づくとゆっくりと口を開きます。


「実は頼みがあって来たんだ……」


 そう言うとピクリと反応をするリンチュン。

 どうやら話は聞いてくれている様です。


「今、魔法使いの為の薬が作られてる。それの完成に手を貸してほしい」

「……………」


 もぞもぞと動く布団を見て美月は言葉を続けます。


「と言ってもほぼ完成みたいなものだと思うよ、私も飲んでみたけど不調とかは無いから、これを飲めばリンちゃんも……」


 心配事が無くなるかも。

 そう口にしようとした時、布団は剥がれ中からは――。


「「ふぇ(うぇ)!?」」


 ほぼ裸と言って良い少女が涙目で現れました。


「本当? 本当に完成してるの!?」

「いや、ちょっと!? あ、ととにかく説明するから服! 服着て!?」


 綾乃は大慌てでそう言いますが美月は思わず固まってしまいました。

 まさか布団の中身が裸とは思わないでしょう。


「服そっち……」


 そして、彼女は訴えるように美月達の後ろのクローゼットを指差すのでした。

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