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55話 報告を済ませる悪魔乗り

「以上が報告です」


 美月達は司令官の部屋で報告を済ませます。 

 と言っても特に被害も無いので簡単なものです……とはいかないのが天使です。


「そうか……」

「この事頻繁に天使の襲撃が起きてます。それも日本に集中している気が……」


 美月はそう付け足すと司は首を縦に振りました。


「ああ、そうだね」

「そうだねって!! お父さん!!」


 何とかできないの?

 そう言いたいのは美月も分かりました。

 ですが、この問題を解決できるのは悪魔乗りだけでしょう。

 戦いに勝ち抜き天使を倒す。

 ただそれだけです。

 ですが、それは同時に危険な行為である事も知っていました。


「このままだと私達が倒れちゃいます」


 そう伝えたのはリーゼロッテです。

 今はアメリカの量産型もあるとは言ってもこの前の戦いで調整が必要となり本当の意味での実践投入はまだ出来ていません。

 つまり、今戦えるのはたったの5機。

 その内の1機はリンチュンの斉天大聖であり、彼女自身が不安定な事から戦わせるのは不安という声も上がっています。

 対し天使は今の所、1~2機で襲撃するのが多いですが、いつまた数をそろえて襲ってくるかは分かりません。


「……疲弊させ、襲うのが目的か」


 司はそう呟きましたが、美月とリーゼはそれを聞き青い顔をしました。

 もし、そうだとしたらどれだけ恐ろしい敵なのか……。

 自分達は天使に勝てるのだろうか? と不安になったのです。


「……ねぇ、天使レーダーで敵の本拠地とかみつけられないの?」


 しかし、綾乃は違いました。

 自身の父に問うと身を乗り出し……。


「見つかれば量産型も含めて逆に攻めてやればいいじゃん!」

「それはそうだ、だが……現在の天使レーダーは君達のお蔭で強化されたとはいえ、そこまでは行っていない」


 帰ってきた彼の言葉に綾乃はがっくりと肩を落とすのでした。


「じゃぁ、どうするの?」

「今は耐えるしかない……君達三人は休暇に入るんだ……次はクラリッサ達が出る」


 その言葉に美月と綾乃は迷いを見せました。


「師匠達って……また二人で出るの?」


 綾乃が司に問うと彼はその言葉に頷く……。


「彼女達は二人でも十分戦える」

「でも……リンちゃんは……」


 美月はリンチュンの事が心配でした。

 彼女はあれからずっと部屋に閉じこもりっぱなし、食事だってまともに取っているかも分からないのです。

 だというのに戦う事は強いられています。

 これでは心配するなと言う方が無理でしょう……。


「……分かっている」


 それは司も十分理解していました。

 だからこそ、美月達に告げるのです。


「君達は歳も近い、どうかあの子を部屋の外へと引っ張り出してくれないか?」

「とは言われましても……」


 リーゼロッテは手を頬にあて困った様な表情を浮かべます。


「私はあまりしゃべった事ないです」


 挨拶を交わしたぐらい。

 そう付け足したリーゼに対し、美月と綾乃は首を縦に振りました。


「そうだね……」

「でも……」


 しかし、二人はそれでも良いのではないか? とも思いました。

 なぜなら……。


「ちゃんと顔を合わせてはいないんだし」

「それならあいさつしようって言えるんじゃ?」


 話すきっかけになる! そう思った二人はそう口にするとリーゼも手を合わせます。


「それもそうですね」


 彼女は可愛らしい笑みを浮かべるのでした。


「では早速行ってみましょう!」


 待ちきれなくなったのか、彼女はそう言い残し部屋の外へと向かってしまい。


「ちょ!? リーゼ!?」

「だ、駄目だよ!? 1人で動いたら!?」


 彼女が筋金入りの迷子癖があると知っている二人は慌てて彼女の後を追いかけます。

 そんな彼女達を見送った司は困ったように笑うと……。


「本当に騒がしくなった……いい意味で……」


 と呟きました。






 リーゼを追いかけた美月達はすぐに彼女に追いつけました。

 それもそのはず彼女もまた魔法使いです。

 走ったりすることはできません。


「リーゼちゃん!」


 美月が声をかけると嬉しそうに振り返ったリーゼですが、綾乃は大きなため息をつきます。


「リンちゃんの所に行くのは良いんだけどさ、その前にまず医務室に行くのが魔法使いの仕事でしょ?」


 そう告げると二人はぴしりと固まりました。

 そして、美月は怯えるような瞳で綾乃を見つめ……。


「ど、どうしたの? 変態癖は取りあえず無くなったんじゃ?」


 この頃は吉沢と話す事も多くなった綾乃は疑問を投げかけますが……。


「してくるよ? いきなり触診だとか言って色々触って来るよ?」

「い、色々!?」


 美月の申告で変な声をあげます。


「私も、その大きなふせん? に入ってる空気を抜いてやるとか胸……さわられました」

「ちょ!? 何してるの!?」


 信じられない! そう最後に言いながら綾乃は2人を見つめ。


「分かったアタシも行く……見張りとして」


 とがっくりと項垂れるのでした。

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