34話 心配される悪魔乗り
美月が明智望を助けたのと同時刻……。
彼らは美月を処刑しようと動き出す。
しかし、それは伊達たちによって阻まれ……その報告を聞いた司により彼らは撤退するのだった。
夜空美月は治療を終えると怯えて身を縮こませていた明智望の近くへと寄ります。
彼女はすがるように美月へと抱きついてきました。
美月は当然困惑してしまいましたが、振り払う事はせず。
「大丈夫、です……もう、大丈夫……皆傷は治しました」
流石に治療を全員分施した事で疲労を感じました。
頭はぼーっとします。
眠くて眠くてしょうがありません。
それでも重くなる瞼を懸命に閉じない様に意識した美月はそう彼女に告げたのです。
「夜空さん!!」
すると、放送を聞き駆けつけてくれたのでしょう。
青い顔をした吉沢信乃が開けられた扉から部屋へと飛び込みます。
「大丈夫ですか!?」
そして、すぐに美月の傍へと来ました。
その後すぐ、彼女を追う様に……。
「美月! 美月……っ!!」
綾乃が飛び込んできます。
彼女もまた美月を心配してくれたみたいです。
魔法を使うな。
そう言われていた美月は居所が悪そうに微笑み……。
「えと、大丈夫、だよ……」
そう伝えた時、限界が来た彼女はがくりと身体を揺らし。
「ちょ!?」
「待ってください!! 揺らさないで」
二人は焦ります。
しかし、すぐに聞こえてきた美月の寝息を聞くと……。
ほっとしたようすでその場に座り込むのでした。
「だ、大丈夫って、心配させないでよ……」
そう綾乃は訴えますが、美月は夢の中。
何処か嬉しそうな表情でした。
「人の気も知らないで……良い夢見てるの?」
ちょっと不満そうに頬を膨らませた彼女は美月の頬を突っつきます。
すると、眉を動かした美月は……。
「んぅ……ぅぅ……」
と声を上げ、それを聞いた綾乃は顔を真っ赤に染めました。
「綾乃さん、揺らしたりはしないでくださいよ」
「分ってるって……」
彼女達は短い会話を終えると辺りへと目を向けます。
「取りあえず犯人たちは縛って、他の人達もこのままじゃだめだよね運べるように人を呼ばないと!」
そして、立ち上がると綾乃は通信の電源を入れました。
「管理室にまだ襲撃者が倒れてる! それと、襲われた人たちは怪我は治ってるけど、まだ目を覚ましてないから手が空いてる人は来て!」
それだけを伝えた彼女は再び美月の方へと目を向けた。
少女はすやすやと寝息を立て、どこか満足気だ。
そんな彼女を見て綾乃は溜息をつくと……。
「本当にこっちの気もしらないで暢気な寝顔なんだから……」
と呆れたように笑う。
「この子に魔法を使うなと言うのは無理なのかもしれませんね」
そう口にした吉沢に綾乃は頷き――。
「それは目の前に傷ついてる人が居たら助けちゃうよ、美月は……」
と答えるのだった。
すると吉沢は微笑みながらため息をつきます。
その様子を器用だなぁと見つめる綾乃でしたが……。
「でしたら……」
彼女の言葉に首を傾げました。
「でしたら、早く薬を作らないと行けませんね」
「うん! 期待してるからね」
綾乃は彼女の言葉に声を弾ませます。
すると、幼い頃を思い出しました。
それは――兄の事と目の前にいる吉沢の事です。
「……ねぇ」
綾乃は思わず吉沢に声をかけました。
ですが、その後の言葉が続きません。
いえ、続けられないのです。
「何ですか?」
「あ……えと……」
当然彼女に何の様かと尋ねられ、綾乃はしどろもどろになってしまいます。
すると彼女は寂しそうなし表情へと変えました。
「昔の事ですか?」
彼女の言葉を聞き、綾乃は目を見開きます。
「気にならないと言えばうそになります……」
「そう、だよね……」
彼女の言葉に落ち込む綾乃。
「だけど……」
「だけども、でもも、ありませんよ……」
彼女はそう言うとやはり悲しそうに微笑みます。
「でも、懐かしいですね……彼が居た時は貴女ももっと笑っていた気がします」
「信乃お姉ちゃんもまともだったよ……少なくとも今よりはね」
彼女達はそんな会話を交わし、暫くの間部屋の中に沈黙が流れます。
「今度は後悔したくないんですよ……」
「……うん、アタシも……もう、守られるだけは嫌なんだ」
二人は短い会話を交わすと互いに目を合わせます。
「美月達は絶対に守らないと……」
「そうですね、私達に出来る事はやりましょう」
そう誓い合うと頷くのでした。
「私はすぐに薬の作成に取り掛かります」
「お願い……アタシは美月を戦闘でサポートするよ」
サポートと言う言葉を聞くと吉沢は笑います。
綾乃は頬を膨らませると……。
「サポートと言うには少し前に出すぎですよ」
「わ、分かってるよ!」
彼女の言葉に綾乃は顔を真っ赤にして不満そうに口にするのでした。




