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バグの遺伝子 ~AIの奴隷だった俺は異世界で辺境伯令嬢に買われ、AIチートを駆使して覇王になる~  作者: 緑豆空
第二章 男爵編

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第三百四十六話 大型飛行艇から出てきた大軍勢

  アーンとワイアンヌは、航空艦隊を挟みこむように、対になってのろしを上げた。


「よし! 二人は巻き込まれないように離脱」


「わかったっぺ!」

「はい」


 ピューン!


 そして飛行艇団が、その警戒ラインを超えたと同時に、リンセコート都市の方から砲弾が飛んできた。それが敵のシールド前面にあたるが、少し空間が揺れた程度だった。


「あれで、破れるのか?」


 フィリウスが聞いてくる。演算通りならば破れるはず。アイドナの確率は百パーセントと言っている。次々に砲弾が飛んできて、空間に揺らぎがみえていた。俺達は固唾をのんで確認し、ベントゥラが言う。


「ありゃ、硬ぇぞ」


「大丈夫だ。もうすぐだ」


 次の射撃の時だった。何かが裂けるような音が鳴り響き、目に見えるように空間に亀裂が入っている。亀裂から次々に砲撃が撃ち込まれて、大型飛行艇が被弾していった。


 ボルトが言った。


「やったな!」


「まだだ。また来る」


 大型飛行艇に爆裂弾が撃ち込まれ、とうとう大型飛行艇は浮力を失う。


 今度は、クルエルが叫んだ。


「行くか!」


「まだだ」


 《電磁パルスの砲撃が来ます》


 今度は、次々に小型艇が落ちていく。電子系統が麻痺して、制御不能になっているのだ。


《いまです》


「よし! ここだ! 浮上! 残存する小型艇を一気に叩く!」


 ドン! ドン! ドン!


 俺達は部隊ごとに分かれ、残って浮かんでいる小型艇に襲い掛かる。爆発し墜落していく小型飛行艇、その小型艇が大型邸の上に落ちていく。すると、落ちた飛行艇に変化が出る。


「湧いて出て来たぞ!」


 クルエルが叫ぶ。


 大型飛行艇や小型飛行艇から、蟻のようにパワードスーツやサイバネティクスヒューマンが出てきた。


「飛行艇を捨てたか」


「だな」


 そこに、ヴァイゼル達が飛んで来る。


「やりましたな!」


「ヴァイゼル、あれを見ろ」


「敵は、船を捨てましたか」


「やつらも、判断が早いようだ」


「そのようですじゃ」


 俺達は、更に驚愕する事になる。大型飛行艇から出て来る敵の数が尋常では無く、いつまでたっても、その行列は尽きなかった。


「なんですかな! あれは!」


 皆が呆然と眺める中で、それは、まるで黒い波のようになりつつあった。


《あれ自体が都市である可能性があります》


 あの巨大な飛行艇ごと?


《はい。シュトローマン伯爵領を覆い尽くすほどの大きさ。あれは、敵の居住区である可能性が高い》


 次々に出て来るのは、パワードスーツに続いて生身のエルフ、さらにキメラ・マキナが大量に吐き出されてきた。そしてどうやら、車両のような物もあるようだ。


 オーバースが言う。


「こいつは……」


「想定外だ。ここまで、いるとはな」


 今度は、ベントゥラが言った。


「何か出て来たぜ!」


 大型飛行艇の上部、そこに突起が出て来てフライングボードに乗ったパワードスーツ軍団が出てきた。するとアイドナがガイドマーカーで、いくつかに標準を合わせた。


《確認を、金のパワードスーツです》


 本当だ。


《一号か、二号か、それとも他のナンバーかもしれません》


 捉えたサファイヤとやらとの、関係が高いという事か。


《間違いありません》


 だが俺の指示が、遅れてしまった。金色のパワードスーツから、レーザーのような物が射出されて、高度を落としていたオブティスマを襲ったのだ。


 スッ! と光が通り抜けた時、オブティスマの腕が落ちた。


「全員! 緊急離脱! 都市前面まで後退!」


「「「「「「了!」」」」」


 何だあれは?


《ビーム兵器の可能性》


 オリハルコンを斬るのか!?


《そのようです》


 俺は急速に飛びながらも、オブティスマの鎧に触れた。


「大丈夫か!」


「落とされたのは、義手の方だ。問題ない」


「そうか。とにかく、後退だ」


「わかった」


 都市の前に浮かび後方を見れば、軍勢がまるで黒い波となり襲い掛かって来ていた。俺達の真下には、青備えとミスリルの鎧を着た味方の軍団がいる。


「着陸!」


 着陸すると、ウィルリッヒとプルシオスが来る。


「どうだい?」


「飛行艇は機能停止したが、物凄い数の軍勢がやって来る。都市の中に戻り、シールドをはって迎え撃つしかあるまい」


「わかった!」


 全員がシールド都市の内部に戻り、敵の襲撃に備える。だが敵のシールドも、これと同じ原理だった。アイドナが、向こうの技術を解析した作ったのだから間違いない。敵にも破る方法があるかもしれない。


 俺が皆に言う。


「敵にはまだ未知の兵器がある。ドワーフ! 出来上がった弾頭はあるか?」


「あるっぺ!」


「とにかく集めろ。魔導砲で撃ってみる」


「わかったっぺ!」


 ドワーフたちが弾頭を運び、俺達はすぐに市壁を上に登った。皆が集まり、西の地平を見る。


「凄い数だ」

「まるで、黒い波だ」

「あれほどとは……」


 そこに、ドワーフたちが弾頭を持ってくる。


「えっほ、えっほ、えっほ!」


「よし! アーン! 魔法陣を掘れ」


「わかったっぺ! 何にするっぺか?」


「爆裂魔法陣だ」


「わかったっぺ!」


 砲弾に、次々に掘られて行く爆裂魔法陣。それを次々に装填して、魔導士達が魔力を注ぎ込んでいく。全てが掘り終わったところで、俺はメルナとアーンに言う。


「大型鎧を装着!」


「うん」

「わかったっぺ!」


 そこで、ヴァイゼルが言った。


「前砲塔、力は充填したのじゃ!」


「撃つ」


 俺が言うと、プルシオスが声を出した。


「シールドを開けよ!」


 既に、射撃の連携は出来ているようだった。


 ウィルリッヒが言う。


「弾は今ある奴だけだ。外すなよ」


 魔導士が聞き返してくる。


「黒い波は大きい。どこを狙えば?」


 俺がそれに答える。


「中央だ! ばらして撃て!」


「「「「「「は!」」」」」」


 ウィルリッヒが叫ぶ。


「第一砲塔! てー!」


 ドン! ゴゴゴゴ! 着弾と同時に爆発を起こし、パワードスーツやキメラ・マキナ達を吹き飛ばす。すると敵軍は、一気に左右に散り始めた。


「散らばる前に撃ち尽くせ!」


「全弾! てー!」


 ドン! ドン! ドン! ドン! ドン!


 散らばる前の敵軍に、次々に着弾していく爆裂弾。だが散らばった後では、大きな被害をもたらす事は出来なかった。


「シールド展開!」


 プルシオスの声と共に、再び都市にシールドがはられる。すると、観測していた魔導士が叫んだ。


「何か来ます!」


 見ればそれは、飛行ドローンだった。


「偵察だ! 飛行ゴーレムだ」た


 それらは高速飛行していたが、次々にシールドにぶつかって爆発していく。後続のドローンが停止し、こちらの様子を伺うようにホバリングしていた。


「墜とすぞ。魔装機動大隊で出る! シールドを外せ!」


「シールド外せ!」


 俺達がそのまま飛び出し、魔導砲や礫を駆使しながら飛行ドローンを破壊していく。


「全機撃破したぜ!」


「戻れ!」


 全員が戻り、すぐにシールドを展開した。


「敵! 進軍をやめました」


「こちらの、砲塔を見たからだ。まだ、こちらに弾があると思っているだろう」


 それを聞き、オーバースが言った。


「いずれバレるだろうな」


「時間稼ぎは出来る」


 今度は、フロストが言う。


「だが、あれだけの、キメラ・マキナがいるとなると……マズいな」


「そうじゃのう。神殿都市では、たった二匹に手こずったのじゃ」


 ベントゥラとガロロ、ボルトが俺に聞いて来る。


「数千……下手をすれば数万だぜ」

「起動鎧も、信じられないほどいたわい」

「馬もいないのに、馬車も動いていたみたいだぞ」


 そこで俺が言う。


「そして、金の鎧がいた。あの、オブティスマの腕を墜とした奴だ」


「金の鎧か……」


「恐らくは捕えたエルフの仲間だ」


「あれか……」


「あれを、取り返しに来た可能性がある」


 そこに、メルナとアーンの、二機の巨大鎧が上がってきてマージが言った。


「よほど、大事なんだろうねえ。あれが」


「どういうことだ……」


「分からないが、あれを起こしたほうがいいさね」


「あのエルフを起こすしかないか」


「だろうねえ」


「ヴァイゼル! フィリウス! ビルスターク! アラン! 俺と来い」


「わかったのじゃ!」

「ああ」

「「了」」


 そして俺達は、急いで結界牢に向かうのだった。

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