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バグの遺伝子 ~AIの奴隷だった俺は異世界で辺境伯令嬢に買われ、AIチートを駆使して覇王になる~  作者: 緑豆空
第二章 男爵編

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第三百四十四話 敵航空大船団への強襲

 敵の大型飛行艇から打ち出された大量破壊兵器を確認したあと、俺はリンセコートの都市に急いだ。


 オーバースが言う。


「あれは何だ?」


「環境を変え、圧倒的な破壊力を持つ兵器としかわからん」


「あんなもの撃たれたら、リンセコートは一発で消える」


「そもそも撃たせない。そして、金盤を確認するまでは敵はあれを撃たない」


「なるほどな」


「全員! あらかじめ決めていた所定の位置に付け!」


「「「「「了」」」」」


 敵の戦力は十分に分かった。アイドナが演算し、俺はそれを信じて、当初の作戦を継続する事を選ぶ。俺とヴァイゼルの魔導士隊だけが急いで、リンセコートの都市へと来た。


「ウィルリッヒ! プルシオス! 敵は間違いなくここに来る!」


「そうか。おびき寄せに成功したんだね」


「敵の戦力は大きかった。おそらく、奴らは俺達を撃退できたと思っている。青備えの航空部隊などは、敵の予測を超えていたとは思うが、俺達の攻撃では破れなかった。その上で、敵は勝てると踏んで来る」


 それを聞いてウィルリッヒが大声で言う。


「みんな! 敵のおびき寄せは成功した! 後は、ここに来るのを迎え撃つだけだ! 魔力を封じ込めた大魔導石の装填は速やかに行うように! 魔導士は、徹底して魔力を温存! 魔法薬をやられぬように、結界を怠るな」


「「「「は!」」」」


 エクバドルの魔導士も、リンデンブルグの魔導士も一体となって作業にあたっている。


「六基とも、最大の魔力で打ち込むぞ!」


「「「「オー!!」」」」


 物凄く長い砲身が、全て西側を向いている。


 そこで、俺が言った。


「俺達の攻撃により、敵は一塊になってやって来るだろう。大型飛行艇から離れれば、各個撃破されてしまうのを分かっただろうからな」


 プルシオスが言う。


「おおよそ、想定通りと言う事か」


「そうだ」


 俺はヴァイゼルに言う。


「では、長距離魔導砲の稼働はまかせた。ヴェルティカ、メルナ、フィラミウスもここで頑張ってくれ」


「はい」

「うん」

「わかりました」


 そして、ヴェルティカが俺に言う。


「コハク。死なないで」


「そのつもりはない」


 するとヴァイゼルが、双眼鏡を除きながら言った。


「きおった!!」


 黒い粒が、大量に西の空に浮かぶ。もう視認できるところまで来ていた。


「では、合図を待て!」


「わかったのじゃ」


 俺は、その場所を離れて西へと飛んだ。


「オーバース、ボルト、フィリウス、レイ」


「「「「おう!」」」」


「予定通りだ。さっきと、同じ攻撃を繰り返して敵を油断させる」


「「「「了!」」」」


「オーバース! ボルト!」


 今度は地上に忍び、奴らが来るのを待った。オーバース隊と風来燕の隊が、両サイドから挟むようにして浮上し煙幕弾を打ち込む。煙が、艦隊の両サイドを挟むように広がる。


「フィリウス! レイ!」


 ボシュ! ボシュ! とキラキラに光る魔法の触媒を打ち上げる。


 これで、先ほどの雷攻撃が来ると思うはずだ。


《動きます》


 小型艇が、大型飛行艇を守るようにして身を寄せ合い始める。同じ攻撃が来ると踏んでいるからだ。


「よし! 全隊、奴らの懐に飛び込め! 大型砲塔では相打ちになる! 攻撃は機銃のみだ」


 俺達は一気に、そのまとまった船団の中に浮かんだ。砲塔を向けては来るが、仲間がいるので相打ちを避けて撃っては来ない。


「派手に暴れてやれ!」


 そして各隊は、大型飛行艇には目もくれずに、周りの小型飛行艇に向かって行った。外装を切り裂き、爆雷を放り投げていく。


 ドン! ドン! ドン!


 あちこちで、小型艇が爆発を起こし、煙を噴き上げ始める。


 そして、俺がフロストに言う。


「よし。フロスト! 競争だ! 何隻墜とせるか」


「腕の見せ所だな」


 煙を吹いている小型艇に飛び込み、俺とフロストが次々に破壊していった。墜落していくのを尻目に、みんなが損害を与えてくれた小型飛行艇へと次々に突っ込んでいく。


 そこで、ボルトが叫んだ。


「より取り見取りだな!」


「だが、数が減れば、敵は砲撃を開始する」


「引き際が肝心か」


「そうだ。出来るだけ、数を減らせ」


「了解」


 小型艇から、フライングボードにのったエルフの機動鎧が出て来る。


 ベントゥラが言う。


「出てきやがった」


「大丈夫だ。機動力はこちらが上だ。あの、フライングボードは速度もない」


 フライングボードに乗った、エルフの機動鎧が機銃を向けて撃って来た。


 カカカン!


「強化されたオリハルコンを貫通する事は出来ないが、体当たりが厄介だ。機動鎧に攻撃をシフトする。蠅どもを墜とせ!」


「「「「おう!」」」」


 仲間達の超高周波ソードは、つぎつぎにエルフの起動鎧を切り裂いていく。


 オーバースが言う。


「大軍勢を、少数で圧倒するか! 痛快だな!」


「ああ。全て想定済みだ。すでに、敵の戦力はデータ化出来ている」


「詳しくは分からんが、コハクのいう通りになった訳だ」


「そうだ」


 あちこちで落ちていくエルフの起動鎧、するとアイドナが言う。


《キメラ・マキナ達がフライングボードに乗っています》


 いよいよ、俺達の戦力に気が付いたようだ。


《離脱してください。被害が出ます》


「みんな! キメラ・マキナが出てきた。 散開! 艦隊から距離を取りつつ、後退する!」


「「「「了!」」」」


 俺達は艦隊から放れ、都市の方に向かった。艦隊は動きを止めて、俺達を追いかけてこない。


 どうなってる?


《戦力の立て直しをしているだけです。必ず来ます》


 そうか。


 俺達が敵を見ていると、アイドナのいう通りに隊列を立て直して進んできた。


 来た。


《想定通りです》


「全員所定の位置へ! 飛行艇は数を減らしたが、戦力にほとんど変わりはない!》


「「「「了!」」」」


《敵はかなり動揺していると推測されます》


 だとどうなる?


《どんな、幼稚な仕掛けでも、恐ろしい攻撃に見えて来るでしょう》


 いままで、散々やられて来たからな。


《敵のAIの演算はもう追いついていません》


 そこまでわかるか。


《はい。予想通りの狂いを見せているでしょう。それが証拠に動きが悪い》


 よし。


 やはり、敵のAIよりも、アイドナの方がかなり数手先を読めているようだった。旧式のAIに後れを取る事はないと言っていたが、その言葉に嘘はない。


「アーン! ワイアンヌ! 仕掛けを!」


「わかったっぺ!」

「はい!」


 ポン! ポン! ポン! 破裂音が響いて、地上から気球が撃ちあがっていく。紐につながっていて、それがどんどん高度を増していき、敵艦隊の前に浮かび上がって行った。すると、それを目の前にして、敵の艦隊がストップした。


 それを見て、クルエルが言う。


「本当だ。コハクのいう通りに、気球ごときで止まったぞ」


「そうだ。すでに敵は、こちらの術中にはまっている」


 敵艦隊からドローンが飛び、気球を確認し始めた。すると火炎を吐き出し、気球を燃やし始める。


 そして、ベントゥラが俺に聞いて来る。


「で、どうなるかだな」


 だが、俺は冷静に答えた。


「既に、ヴァイゼル達が標準を合わせ終わった頃だ。この足止めこそが、重要なんだ」


「なるほどな」


「では! 皆! オトリになるぞ!」


「「「「了!」」」」


 俺達は張り詰めた空気の中、船団の前に浮上した。皆が両手を広げ、これ以上は進むなというように、船団を足止めする。


 これで、本当に最後の仕掛けになるのか?


《なります。ですが、全員回避に集中してください》


「敵は撃って来るぞ。集中しろ」


 緊張状態が続いたが、大型飛行艇や小型飛行艇から砲塔が向けられる。


《エネルギー反応。射出タイミングをカウントします。十、九、八……」


「敵が撃って来る! 五秒前、四、三、二、一!」


 その瞬間、機動魔装部隊は一気に射線から飛び出す。俺達のいた場所を、強力な熱線が通過していき、大気を焼いた。艦隊は俺達を蹴散らしたかのように、先に進み始める。


「アーン。ワイアンヌ。最終ラインを超えたら合図だ」


「わかったっぺ!」

「はい!」


 俺達はただ、それを見ていた。アイドナがカウントをして、俺が二人に言う。


「撃て!」


 パシュ―! パシュ――! パシュ―! アーンとワイアンヌの合図の光が飛び出したのだった。

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