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バグの遺伝子 ~AIの奴隷だった俺は異世界で辺境伯令嬢に買われ、AIチートを駆使して覇王になる~  作者: 緑豆空
第二章 男爵編

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第二百九十話 敵の偵察部隊に遭遇する

 風来燕は、ちょうど魔獣を狩って戻ってきたところだった。大きな魔獣を、三頭も狩ってきたらしい。ギルドの解体場に引き渡し、素材を全て提供したら金がもらえたそうだ。


「金つっても、こんな状況じゃ飯屋もやってねえ」


「市民が普通の暮らしに戻るのは、もう少し先になる」


「そうかい。まあ、そりゃそうだよな」


「狩りから帰ってきたばかりで悪いんだが、ベントゥラに用がある」


「あいよ」


「みんなも来てくれ」


 そして俺は風来燕を連れて、回収物を収めた場所にくる。


「ちょっとこれを見てくれ」


「こいつは。エルフが使ってた……」


 俺はベントゥラに、エルフの銃を使わせる事にした。長いライフルの形状と、未来的なデザイン。


「そうだ。これの認証をベントゥラにして使えるようにする」


「本気かよ。こんなあぶねえもん、俺が使うのか?」


「本気だ」


 アイドナが組み替えたプログラム、そして初期化したシステムを起動させる。パネルが自動で開いて、ベントゥラの指を触れるように言う。


 ピッピッ!


「なんか言ったぞ?」


「ベントゥラの指紋を認識した。次は話しかけろ。解除と言え」


「解除」


 ピピッ!


 シューっと小さな音がして止まる。


「次はロックだ」


「ロック」


 ピピッ!


 それは起動を停止する。


「終わりだ」


「これで終わり?」


「もうベントゥラにしか反応しない。使う時は解除で、止める時はロックだ」


「俺専用ってことか?」


「そう言う事だ。操作は弓とは違うが、狙いを定めて撃てばいい」


「そうかい」


「ボルトとガロロは今まで通りだ」


「了解」

「わかったのじゃ」


「フィラミウスは、魔法で全員の強化に努めてくれ」


「わかったわ」


 そんな話をしていた時だった。王都の外から、ピューンと音がする。


「罠に何かがかかった。行くぞ」


 俺は風来燕を連れて、北門を抜け外に出る。音がした方角の空を見れば、青い煙が立ち上っていた。森に入り、俺達がアラクネ糸の罠を避けながら進んでいく。そして、罠が発動した現場に来た。


「ここだな」


「なんだ? 魔獣が居ねえな」


「音で逃げたか……?」


「かもしれんな」


《いえ。なんらかの足跡があります》


 ガイドマーカーで、赤い足跡が続いていた。罠に引っかかって、慌てて逃げた可能性もある。


「足跡だ」


 するとベントゥラも頷いた。


「何の足跡だ?」


 俺達はそれを追跡するようにして、森の奥へと進んでいく。するとその足跡は途中で切れ、俺の視界がサーモグラフに切り替わる。


《上です》


 見上げれば、木の枝に何かがいる。それはじっとこちらを伺っているようだ。


《ステルス蜘蛛の魔獣。あれは王都で確認した個体と同じです》


 俺は風来燕に、身振り手振りで伝える。四人は上を見るが俺が言う。


「目では見えないだろう」


「体を隠している?」


「俺は、あれを見たことがある。王都に出た蜘蛛か蟹のような魔獣だ」


 風来燕がざわついた。


「通常の魔獣じゃねえって事か……」


 がさがさと周りに、同じ奴らが寄り集まって来た。


「俺達は、おびき出された。罠は、わざとだ」


「なるほどね。俺達には見えねえが、どうしたらいいか」


「いや……ベントゥラ、その銃のスコープで見て見ろ」


「解除」


 そしてベントゥラが、銃のスコープを覗き込む。


「おお、いるいる」


「あいつらは手の刃が武器だが、オリハルコンの鎧は切れない」


「なるほどね。敵の偵察か?」


《偵察でしょう》


「そうだ、王都の様子を見るため、敵が送った偵察だ」


「やはりそうか」


「ベントゥラ。丁度いい、あれを銃で撃て」


「なるほど、じゃあやってみっか」


 ベントゥラが狙い、一体に向けて銃を撃ちこむ。


 ドン!


 パシィィィィ!


 ジッジジ!


 するとステルス機能が無効になったらしく、一体が姿を現した。


「出てきたぞ」


「つぎつぎやれ」


 ドン!ドン!ドン!


 流石はベントゥラ。超人的な弓の能力で、次々と射抜き魔獣の姿が丸見えになった。


「よし。とにかく狩れるだけ狩る」


「「「「おう!」」」」


 ドン!


 体の見える蜘蛛の魔獣は、もはや風来燕の敵では無かった。刃を振りかざして迫って来るが、オリハルコンの鎧は斬り裂けない。一方的に、返り討ちにしていく。


 すると、全てを狩り終える前に、ザザザザ! と森の奥へと消えて行ってしまった。


「いよいよ、敵が動いたようだ」


「どうするコハク? 追うか?」


「いや。罠かもしれん。一度、王都に戻って知らせる必要がある」


「了解だ」


 フィラミウスが、赤い筒を取り出して打ち上げる。


 ピューン!


 これで王都は、警戒態勢にはいるだろう。俺達が急いで、森を抜け王都に戻ると、そこにオーバースと騎士部隊が待機していた。


「敵か!?」


「ああ。どうやら魔獣を使って偵察しに来た」


「とうとう来たか……」


 オーバースは騎士に伝令を出して、警戒レベルを一気に引き上げるように指示を出す。市壁の上には多くの監視兵が登り、ガーンと鐘が慣らされ、市民達が外に出ないように合図がなされた。騎士達が古代遺跡とガラバダの牢獄に向かい、北門と南門に騎士が集まる。


「外にいるレイたちが先に見つけるか、既に罠を掻い潜っている可能性もある」


「わかった。まもなく、精鋭部隊がそろう」


「敵はこちらの能力を値踏みしている」


「敵も警戒してるか?」


「かなりな」


「ふっ。面白いじゃないか。王の弔い合戦ができる」


「そのとおりだな」


「敵はどう出るか」


「二の手、三の手があるだろう」


 精鋭の騎士達もそろい、王都は警戒態勢にはいっていく。陽が落ち松明が焚かれ、魔導士達が光魔法で照らした。


「くるならこい。もう我らの土地を汚させはしない」


「「「「オオオオオオ!」」」」


 騎士達の声が、夜の空にこだまする。


 そこにフィリウス達がやって来る。


「ぶっつけ本番での戦いか」


 ビルスタークが言い、俺が答えた。


「ビルスタークとアランが居れば大丈夫だ」


 アーンとメルナが、その後ろにある格好で居た。


「腕が鳴るっぺ!」

「そうだね!」


「マージ。彼らの連携を指示してくれ」


「冒険者時代の血が騒ぐねえ!」


 騎士達が鼓舞するために、ザンザンと槍で地面を突く。俺はすぐに動けるような位置に付き、その時が来るのを待つのだった。 


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