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バグの遺伝子 ~AIの奴隷だった俺は異世界で辺境伯令嬢に買われ、AIチートを駆使して覇王になる~  作者: 緑豆空
第二章 男爵編

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第二百八十七話 出来うる限りの防衛対策

 現状、一般人は外を歩かないようにし、街の中には兵士や協力者となった冒険者たちがいる。俺達が正門前にやって来ると、青備えのドワーフたちと兵士が俺達を迎えた。そしてそこに、リンセコートにいく風来燕達も待っている。既に鎧の馬も用意されていた。


「ボルト」


「ああ、任せとけ。メルナと一緒に必ず持ってくる」


「頼む」


 そこで俺はフィリウスとビルスタークとアラン、そして風来燕にメルナを任せる。


「それじゃあ行って来るよコハク」


「ああ、フィリウス。魔導士をよろしく頼む」


「もちろんだ」


 そして俺はビルスタークに言った。


「ビルスターク。皆を守ってくれ。戦闘が始まったらボルト達に任せろ」


「わかった」


「頼んだぞ」


 ある程度の王都内のめどがついたので、急いで彼らをリンセコートへと送り出した。


 そして、門を守るドワーフの青備え達が俺に声をかけて来る。


「お館様!」


「ここが要だ。お前達なら俺が来るまで持ちこたえられるだろう」


「やるっぺ!」


 ドワーフたちが、爆裂斧の柄を地面にガン! とやった。そして俺は王都の騎士達に言う。


「その鎧では前に出るな。援護に勤めろ」


「わかりました」


「では、ここから出してくれ」


 結界を解除して、門がガラガラと引き上げられる。俺と、アーンとワイアンヌが外に出た。そしてこの周辺の結界石を見回っている、レイ、ビスト、サムス、ジロンの下へいく。


 最初のところには、サムスとジロンがいた。青備えを連れて見回っていた。


「サムス! ジロン!」


「お館様……」


「どうなってる? サムス」


「それが、こちら側一帯の結界石は全て、割られていました」


「そうか。やはり、あの敵騎士達は、これの破壊が目的だったか」


「残念ながら、そのようですね」


 ワイアンヌが言う。


「結界石は魔獣の進入を防ぐものですから、じきに魔獣もはいってくるかと」


「それの守りも固めないといけないわけか」


「そうなると、王都の兵も外に出さないとダメでしょうか」


「古代遺跡とガラバダの警護には、青備えを置いておかないと、オーバースにいうしかない」


 未知の敵が来るとすれば、どのくらいだと思う? 俺はアイドナに聞いた。


《あの敗残兵達が家につくのは、明日あたりからでしょう。先に察知されれば直ぐにでも》


 そして俺はワイアンヌに聞く。


「何か罠のような物を仕掛けられないか?」


 ワイアンヌが言う。


「これはどうでしょう」


 ワイアンヌが手に白い塊を持っている。


「綿?」


「いえ。アラクネの糸です」


「あの、神殿ダンジョンにいたやつか」


「その通りです。見えないほど細く軽く、それでいて切れない糸。持っていると手が切れます」


「オリハルコンはどうだろう」


「試してみましょう」


 それを受け取り、するりと端を持ってグイっと引っ張るがオリハルコンの鎧に傷はつかない。


「大丈夫だ」


「合図の魔道具を仕掛けます。もちろん空から侵入されれば反応はしませんが、歩いて来れば引っかかるでしょう」


「魔獣対策に張り巡らせる……と言うことか」


「はい」


 それを聞いた俺は、サムスとジロンに言った。


「王都周辺のあちこちに、この罠を仕掛ける。それで、兵士をばらけさせなくても済む」


「なるほど。では直ぐにレイとビストの隊も呼びましょう」


「そうしてくれ」


 ワイアンヌが渡してくれた、青の照明弾を空に打ち上げる。


 ピューン。


 しばらくしてレイとビストの隊がやってきて、俺はワイアンヌの提案を話した。


 レイが答える。


「わかりました。罠を仕掛けて、それ以外のところに兵を常駐させるわけですね」


「そうだ。それで魔獣は直ぐに罠にかかるだろう」


「では早速やりましょう」


 それから俺達は、アラクネの糸とワイアンヌの鳴り筒を設置していった。森の視界の通らない所はかなり広かったが、アラクネの糸は、何処までも引っ張る事が出来た。


「草原の方は、市壁の上に見張りを立てれば済むだろう」


「そうですね」


 だが、俺達が設置している間も魔獣は来なかった。長年王都が、結界石で守られていたせいで魔獣は近づいては来ないようだ。半日ほどやっていると、陽が落ちてきて暗くなってくる。


「ジロン。この事をオーバースに伝えて来てくれるか」


「了解です」


 ジロンが走り去ると、アーンが俺に言う。


「結界石の代わりにはなんねえけど、石に鳴る魔法陣を仕掛けられるっぺ」


「鳴る魔法陣?」


「使う事があるとは思わなかったっぺ」


 目の前の壊された結界石に、アーンが鑿で魔法陣を削っていく。


「どうなる?」


「魔力反応があれば、鳴るっぺ。魔力の強い魔獣や魔法使いが近づけば鳴るっぺ」


 そして掘り終わった。俺がアーンに言う。


「よし、それじゃあ、三人で回って仕掛けて行こう。魔法陣は俺も覚えた」


「えっ! 今掘ったばかりだっぺ! 見て、覚えたっぺか?」


「そうだ」


 と言っても、アイドナのレコーディング機能だが。


「や、やっぱりすごいっぺ。これは、ウチのオリジナルだっぺよ」


「そうだったのか」


 レイたちには、結界石の警護はやめて、街道や侵入経路になるところに集中するように指示を出した。


「「「は!」」」


「くれぐれも気を付けろ。相手は夜目が聞く」


「わかりました!」


 そして青備え達は散っていった。俺達はひとつひとつの結界石に、鳴る魔法陣を仕掛けていく。どうやら結界石は西側が集中的に壊されていて、敵はこちらから来る可能性が高いことを証明していた。


 カンテラを持ち、俺達が進んでいると口笛が鳴る。市壁の上にカンテラの明かりが回っていて、俺達を呼んでいるようだった。


 そこに行って見ると、俺を呼んでいたのはオーバースだった。


「なんだ?」


「コハク。いまから飯を降ろす。まだかかるのだろう?」


「そうだ」


「なら飯を食え」


「わかった」


 市壁の上から、ロープにつながれた夜食が下りてきた。一緒に葡萄酒も降りて来て体を温めろと言う。


「助かる」


「では、こちらも市中の見回りをしてくる」


「そうしてくれ」


 そして俺は二人に向かって言う。


「夜食にしよう。兜をとれ」


「わかったっぺ」

「はい」


 俺達は用意してもらった飯を食った。丸いパンと、肉とチーズ、そして葡萄酒を飲む。


「いやはや。どんな敵がくるっぺか」


「強敵だろうな。だが、こちらも指をくわえて見ていたわけじゃない。青備えも高周波ソードも爆裂斧もある。ある程度の数をもってすれば、かなりの戦果を期待できるはずだ」


「わかったっぺ」


 そして俺にはもう一つの策があった。それは、風来燕とメルナにかかっている。三人で飯を食いながら、アイドナが広げる兵器開発の設計図を見ていたのだった。

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