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【完結】亜人の王 〜過酷な異世界に転移した僕が、平和なもんむすハーレムを勝ち取るまで〜  作者: 藤枝止木
19章 創世期の終わり

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第530話 魔神の島


 メームさんの交渉により、呪炎竜(ファーブニル)は僕らの運搬を了承してくれた。やはり財宝を渡すより、星を四分の一周もする長距離飛行の方が良いらしい。

 魔神討滅に向かう面子は『白の狩人』のレギュラーメンバーとなった。ヴァイオレット様、シャム、キアニィさん、ロスにあさん、ゼルさん、プルーナさん、そして僕の計七名だ。

 残りのみんなも同行を申し出てくれたけど、僕以外はヴェラドとの戦いのダメージがまだ抜けきってい。なので、子供魔竜と一緒にお留守番をお願いさせてもらった。


 ゴォォォォッ……!


 そんなわけで直ぐに王城を発った僕らは、現在空の上を高速で飛んでいる。

 風を切る音と、呪炎竜(ファーブニル)が火魔法で飛行する轟音が耳を打ち、眼下には大海原が広がっている。この世界ではなかなか見られない光景だ。


「すごい、視界一面全部が海だ……! 星の丸みまでわかりますよ!」


「ふふ、そうだな。確かにここまでの高度を体験するのは方舟以来だ」


 テンション高く景色を眺める僕に、ヴァイオレット様を始め、みんなが微笑ましそうな視線を向けてくる。ちょっと恥ずかしい……

 高高度を高速飛行している中、何故こんなにのんびり過ごせているのかというと、プルーナさんのおかげだ。

 彼女が作ってくれた客室コンテナの中は結構広く、座り心地のいい椅子や机、水晶製の窓まで付いている。居住性も眺めも抜群だ。

 僕らはその客室コンテナに乗り込み、それを呪炎竜(ファーブニル)が持って飛んでいると言う状況である。


 そんな快適な空の旅を続けること数時間、空の色は徐々にオレンジ色に染まり始めていた。


「そろそろ目的地が視認できるはずであります。陽が落ちる前に、それらしいものを見つけられればいいでありますが…… あっ……!」


 シャムの視線の先を辿ると、大海原にポツンと島が浮いているのが見えた。

 全く狂いのない真円の形をしていて、それだけでただの島でない事が伺えた。


「おぉ! 本当に島があったにゃ! しっかし、随分綺麗な形してるにゃあ」


「ゼルさんの言うとおり、まるで人工的に作られたみたいな形ですね…… あれで間違い無いでしょう。

 呪炎竜(ファーブニル)! 前方に見える島に僕らを下ろして!」


 前面の窓を叩きながら声をかけると、奴は首を回らせてこちらを覗き込み、コクリと頷いた。

 すると徐々に高度が下がっていき、視界の中で島が大きくなっていく。


 ゾワッ……


 そして突如、凄まじい魔法の気配と共に島から光の帯が発射され、僕らの眼前に迫った。


火よ(イグニス)!』


 反射的に全力で行使した火魔法が、その光の帯の軌道をわずかに逸らす。


 --ジュゥンッ!!


 結果、光の帯は僕らの真横スレスレを通り、大気だけを焼き焦がした。

 あ、危なかった…… 火魔法じゃなくて光魔法だったら、一瞬で全滅してた……!


「ギャ、ギャァァァァァッ!?」


 熱かったのか、それとも単純にびっくりしたのか、呪炎竜(ファーブニル)が絶叫してコンテナが激しく揺れる。


呪炎竜(ファーブニル)! ここで十分だ! 客室を離して--」


 ガクンッ!


 僕の台詞が終わる前に、コンテナは中空へ乱暴に放り出された。

 窓からは、一目散に逃げ去る呪炎竜(ファーブニル)の後ろ姿が見えた。


「「……」」


 全員で顔を見合わせる。いや、いいんだけどね? 子供魔竜も待ってることだし…… それよりも。


「みんな何かに掴まって! 僕は島からの追撃に備えます! プルーナさんは客室を!」


「わかりました! ちょっと揺れます! 『地よ(テラ)!』」


 プルーナさんの地魔法が発動し、コンテナが徐々に減速しながら落下していく。

 そして警戒した追撃を受ける事も無く、ゆっくりと海に着水した。


「ふぅ…… なんとか凌ぎましたね……」


 全員がほっと息と吐く。しかしそんな中、ロスニアさんが青ざめた顔で僕を見た。


「タ、タツヒトさん…… 今の光の帯、あれは、樹環国で目にした……」


「--ええ。その、すごく似ていました。光の大樹を焼き滅ぼした、天から光に……」


 以前みんなで訪れた樹環国。そこではとある事情で、光の大樹と呼ばれる古代魔導具の起動が行われようとしていた。

 その時、起動を諌める神託がロスニアさんに降ったのだけれど、樹環国の上層部は起動を強行。結果、天から降り注いだ裁きの光により大樹は焼失し、近くにあった街が半壊するという事件があった。

 そして、あの島から発された光はその時の光に酷似していた。それは、つまり……


「そんな…… そんな、何故……!?」


「お、落ち着きなさぁいロスニア。まだ…… まだ決まった訳じゃありませんわぁ……」


「キアニィさん、でも…… でも!」


「--確かめましょう。上陸してみればわかる事です。プルーナさん」


「は、はい。客室を島に接舷させます」


 プルーナさんの地魔法により、海に浮かんだ客室コンテナは島に向かって前進を始めた。 

 近づいてみると、それは島というより巨大な空母のような代物だった。

 中央に聳え立つ巨大な塔、その周囲に林立する建物群、規則正しく張り巡らされた道路…… 全てが金属質の材質で作られていて、巨大な生きた古代遺跡という印象だ。


 その後も攻撃を受ける事なく、客室コンテナは無事に港のような場所に接舷した。

 そして慎重に島へ降り立った僕らを、一人の人物が出迎えてくれた。


『お待ちしておりました。観察対象の皆様方』


 こちらに向かって礼儀正しく腰を折るその人の顔は、とても馴染み深いもの…… シャムと同じものだった。


「ま、また同じ顔であります……! でも、その体……」


 慄くようにシャムが呟く。そう、僕らを出迎えたシャムと同じ顔の人物は、その首から下が彼女と大きく異なっていたのだ。

 女性らしいシルエットをしているけど、体全体が金属の外装に覆われ、モーターの駆動音のようなものも聞こえる。

 シャムは肩と股関節以外はほぼ人間と見分けがつかないけど、目の前の彼女はまさに機械の体という感じだ。


 --こんな時なのに、僕は頭の片隅でこれはこれで良いな、などと考えてしまった。本当にどうしようもない。


「君は一体…… その体、なぜシャムと同じ顔を…… それに、観察対象……!?」


『--申し訳ございません。下位機能単位である当機には、観察対象からの質問に答える権限が付与されていません。

 どうぞこちらへ。上位機能単位、個体名二プラトの元へ案内いたします』






 仮称メカシャムの後に続き、僕らは言葉もなく島の道路の上を歩いた。

 シャムは先ほどから僕の手を握って離さない。その手から彼女の震えが伝わってくる。


「シャム…… 大丈夫。何があっても、シャムは僕らの大切なシャムだよ」


「タツヒト…… ありがとうであります……!」


 震えが止まり、シャムは力強く僕の手を握り返してくれた。

 メカシャムはその間も足を止めず、島の中央に聳える巨大な塔へと入っていった。

 塔の中の幅広で無機質な通路をしばらく進むと、僕らは大きな隔壁の前についた。


『この先へお進みください。任務完了につき、投機はここで待機いたします』


「……ありがとう。みんな、いくよ……!」


「「応……!」」


 ガァァァァァ……


 隔壁が開いたその先へ足を踏み入れると、そこは広大な円形の空間だった。

 そしてその中心には四人の人影。半ば予想していたその人物達の元へ歩み寄ると、その内の一人が僕らを拍手で迎えた。


「皆さん、お待ちしていましたよ! それにしてもよくここが分かりましたね」


 いつものように楽しげに笑うのは、シャムと同じ顔をもつ銀髪の妖精族(ようせいぞく)。冒険者組合所属のやたらと強い受付嬢、カサンドラさんだった。


「カサンドラ殿…… どうして貴方がここに…… なぜ魔神の島にいるのだ!?」


 ヴァイオレット様の絶叫に、カサンドラさんはただ笑みを深くした。


「無駄な質問をするな。すでに推測はついているだろう?」


 それにぶっきらぼうに応じたのは、シャムと同じ顔の上半分を仮面で隠した赤髪の妖精族(ようせいぞく)。魔導士協会長にして、魔導国が誇る魔導大学の長、アシャフ学長だった。


「アシャフまで…… じゃ、じゃぁやっぱり、やっぱり魔神は--」


「待って下さい! 猊下、ペトリア猊下! どうかお言葉を…… 私たちを導いて下さい! これは何かの間違いだとおっしゃって下さい!」

 

 シャムの震える声を、ロスニアさんの悲鳴のような声が遮った。

 その声に悲痛な表情を浮かべるのは、やはりシャムと同じ顔をもつ金髪の妖精族(ようせいぞく)。創造神の元、全世界の人々を教え導く聖教の教皇、ペトリア猊下だった。


「すまぬ…… すまぬロスニア、皆よ。我には、止められぬのだ……」


「……!」


 猊下の言葉に、ロスニアさんが顔面を蒼白にして絶句する。

 --カサンドラさん、アシャフ学長、ペトリア猊下。みんな、僕らがこれまで非常にお世話になってきた方々だ。

 そして、特にペトリア猊下は創造神とただならぬ繋がりがある。他の二人も同様だろう。

 その三人が魔神の島にいる。先ほどの裁きの光、下位機能単位の存在で生じた疑念が、確信に変わった。


「--魔神二プラトは、猊下達、つまり創造神と繋がっていた…… つまり、僕らを排除しようとしていたのは……」


「そうだ。お前達の死は、創造神様が望んだものだ」


 僕の呟きに答えたのは、またしてもシャムと同じ顔をした黒髪の妖精族(ようせいぞく)だった。

 この人物に対面するのは多分初めてだ。しかしメカシャムは言った。個体名二プラトの元へ案内すると。


「つまり、お前が魔神二プラトか…… お前のせいで…… お前がけしかけたヴェラドのせいで、一体何人死んだと思っている……!?

 お前のせいで、僕が何人殺さなきゃいけなかったと思う!? 僕らを殺すだけなら、他にいくらでも方法があっただろ! なぜあんな真似をしたんだ! 答えろ!!」


 僕の絶叫に、二プラトは苛立たしげに顔を歪めた。


「黙れ! 僕らだって、あんな手段は取りたくなかったんだ……! それにお前の息子がこれから引き起こす災厄に比べれば、そんなものはただの誤差だ!」


「……!? 一体、何を言っているんだ……!? お前に僕の息子の…… アレクシスの何が分かるって言うんだ!?」


「うるさい! お前さえ存在しなければ…… お前さえ……! --母様の望む平和な世界のため、お前達はここで死ね!!」


お読み頂きありがとうございました。

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【昼と夜に投稿予定】


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