表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/133

1.謎の少女剣士

書籍版は3/4発売です。

予約受付中ですので、よろしくお願い致します!!




 さてさて。

 リリスさんのいなくなったパーティーは、大幅な戦力ダウンだ。

 そんなわけなので、ボクとレミアの二人はギルドにやってきたのだった。理由は言うまでもなく、新たなメンバーの募集をかけるため。

 リリスさんは戦士だったから、バランスを考えると前線で戦える人が無難だろうか。――と、考えているとレミアがこう言うのだった。


「お主が得物を持ち替えて、前線に出れば良かろう」――と。


 それに対して、ボクはこう答えた。



「え、いや? だってボク、魔法使いだし」



 こちらの言葉を聞いた少女は、愕然としていた。

 額に手を当てて、呆れ返る。まるでボクが間違いを口にしたかのように。


「それにしても、リリスさんほどの戦士は滅多にいないからなぁ……」

「その点は致し方あるまい。お主には及ばないが、リリスもSランクだったのだ。いかな冒険者の街と呼ばれるここでも、なかなか出会える才ではなかろうな」

「だね。それに、一番大切なのはチームワークだし」

「うむ、そうだな。しかし――」


 仕切り直して、ギルドの談話室でそんな話をしていると、だ。

 頷いたレミアがこう言った。


「どうして今日は、こんなに人が多いのだ?」


 それは、周囲の状況について。

 ボクもそのことは気になっていた。たしかに昼時のギルドには、多くの冒険者が集う。しかしそれにしても、今日は人がまさしく波のようにうねりを見せていた。

 その隅っこでボンヤリと様子を眺めている、ボクとレミア。

 腕を組みながら首を傾げていると、声をかけてくる人があった。


「やあ、カイルくん。ちょうどいいところに」


 ニールさんだ。

 にっこりと笑った彼は、ボクらを認めると近付いてくる。

 軽く会釈をしながら、気になっていることを訊ねてみることにした。


「どうも。ところで、この騒ぎは何なんですか?」

「あぁ、これかい。これは――」


 こちらの質問に彼が答えようとした時だ。

 ニールさんの言葉を遮るような勢いと音量で、こんな声がした。


「ええい! この中に、儂を満足させられる強者はおらぬのか!!」


 幼い少女のそれで。

 なにやら威勢のいいその声は、人の群れの一番奥から聞こえてきた。それと同時に、冒険者たちがざわざわとするのが分かる。微かに耳に届いたのは……。


「う、うそだろ? モーブだってAランクの拳闘士だったはずだ!」

「それが、こんな小さなエルフの女の子に?」

「冗談じゃ、ないよな……」


 怯えに近いものだった。

 しかし、これだけでは何が何やら分からない。

 そのためニールさんに訊こうと、改めて彼の方を見る。すると――。


「おぉ、良いタイミングだ。――ハリエットさん! 少し、いいかな?」


 突然に声を張り上げるのだった。

 それに呼応するようにして人の波は綺麗に左右に割れる。一直線に、先ほどの声の主への道が出来上がった。ボクはゆっくりと視線を持ち上げる。

 そして、モーブという冒険者を倒したとされる人物を見た。


「…………ん、ホントに小さい」


 ハリエット――そう呼ばれた少女は、ホントに小さな女の子だった。

 背丈はレミアよりも、さらに下だろうか。肩までの青い髪に、エルフ特有の長い耳には深い蒼のイヤリング。瞳の色は金色で、顔立ちは端正なものだった。

 身にまとうのは白銀の鎧――なのだが、いまいちサイズが合っていないらしい。ちょっとだけブカブカになってしまっていた。歩くたびに上下に揺れている。


 手には木刀を一本。

 腰には、複雑な文様の刻まれた剣を携えていた。


「む――お前いま、儂のことを小さいと言ったか?」

「え、あぁ……その、ごめん」


 そんな女の子はこちらにやってくるとそう言って、ボクのことを睨み上げる。

 想定外に鋭い視線に、つい反射的に謝罪してしまった。


「――で、ニールよ。儂に声をかけたということは、この街で最も強い者を連れてきた、ということで間違いないな?」


 だが、こちらに対する興味をすぐに失ったらしい。

 ハリエットはニールさんの方を見て、腰に手を当てつつそう言った。


「えぇ、そうです。この街の伝説になろうとしている猛者ですよ」

「噂ではEXランクを与えられているようだが? この儂を差し置いてそのような高位に座するなど、許された話ではない。それで、その者はどこに?」

「いるではないですか、そこに」

「…………ん?」


 少女がこちらをちらりと見る。が、すぐに視線を戻す。


「いないではないか」

「いえいえ、まさしく彼のことですよ?」


 そう言われてもう一度、彼女はボクを見た。

 そして――。


「――この、ちんちくりんな男が、か?」


 こちらを指差してそう口にした。

 ハリエットを挟んで向かいにいるニールさんは、穏やかに頷く。


「彼こそが、この街で名高い――カイル・ディアノスくんですよ」



 彼は、改めてボクの名前を告げた。

 ハリエットはどこか訝しげに振り返っている。

 対してボクとレミアは、何が起きているのかと顔を見合わせるのだった。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2019/3/4一迅社様より書籍版発売です。 ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=408189970&s 「万年2位が無自覚無双に無双するお話」新作です。こちらも、よろしくお願い致します。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ