4.魔法使い、ですよね……?
遅くなり、すみませんでした<(_ _)>
「魔法使い――貴様は、私を馬鹿にしているのか?」
「へ……? いったい何が?」
国王陛下への謁見を終えて、ボクとアルフレッド、そして他の面子は王城にある鍛錬場へと足を運んだ。そこでボクは鍛錬用の木剣を受け取る。
すると、そんなこちらを見てアルフレッドはそう言ったのだった。
彼は杖を構えながら、こう叫ぶ。
「お前も、私と同じく魔法使いであろう! それだというのに、なにを平然と剣を構えている! ――よもや、私を愚弄しているわけではあるまいな!?」
それは、なんともご尤もな言葉だった。
ボクも最近の戦闘経験から、ついに魔法使いとしての戦い方を忘れてしまっている。しかし、それは決してアルフレッドを侮っているわけではなく――何と言えば良いのか。とにもかくにも、ボクが彼と正々堂々と戦うのであれば、これが最善だと思えた。
それを説明するのに苦心していると、後方のハリエットがこう言った。
「アルはやっぱり頭が固いのですねぇ。本当に、昔っからそうでしたけど――魔法使いが前線で戦ってはいけない常識など、ないのですよ?」
くすりと、まるでアルフレッドを嘲笑うように。
どうやら彼らは昔馴染みの間柄なのだろう。先ほどからそうだが、ハリエットの口調に遠慮というものが感じ取れない。
そして、それはアルフレッドも同じようで。
「貴様――ハリエット! お前はどちらの味方なのだ!?」
「そんなの先生の味方に決まってます! まさか、幼馴染み特権があるとでも?」
「そ、そんなもの期待してなどいない! だが、貴様は公平な立場であるべきではないのか! それでもパーティーを束ねる勇者なのか!?」
「知らないでーす。私は先生のことをお慕いしているので~!」
「『お慕い』――だと!?」
なにやら、売り言葉に買い言葉になっていた。
しかし最終的には、なぜかこちらに矛先が向いたようで。
「カイル・ディアノス! 後で吠え面をかいても、知らないからなぁ!?」
急速に魔力を高めて、巨大な火の玉を作りだした。
それはまさしくボクの理想とするような、魔法使いらしい魔法使いの戦い方。射出されたそれからも分かる。潜在的な魔力の量は、レミアには劣っていた。だがその理論は洗練されており、故に詠唱破棄をしたものでも、一撃必殺の破壊力。
魔法使いとしての熟練度。
それは、ボクの憧れた姿に他ならなかった。
「すごい、凄いよ……!」
「くっ……!? 回避しながら笑うなど、面妖な!!」
ボクは思わず頬が緩むのを感じる。
そして、それを見たアルフレッドは眉間に皺を寄せていた。
「これが、魔法使い! アルフレッド、ボクはキミのことを――」
「なっ――いつの間に、目の前に!?」
そんな彼の前に立ち、ボクは――。
「これから、先生と呼びたいです!!」
剣を投げ捨てて、その手を取った。
ついつい前のめりになりつつ、呼吸が荒くなる。
「……………………は?」
アルフレッドの目が点になった。
それもそのはず。理由は不明だが、憎き相手が突然に自分を慕ったのだ。
あまりの急展開に頭がついていかないのが、普通であると思えた。そしてそれは、他の面子――とりわけハリエットには衝撃だったらしい。
「あーっ! 先生は、私の先生です! アルフレッドには渡しません!!」
だーっと駆け寄り、ボクたちを引き離した。
そして、なにやらアルフレッドと口論になるのだった。




