1.夢
夢の中のボクは、どこか曖昧な存在だった。
それは今に始まったことではなくて、常にどこかを歩いている。なにかしらの答えに向かって、歩き続けるような感覚といえばいいだろうか。
所在がない。居場所がない。不安で仕方なかった。
「だれか、いないの……?」
そんな呟きは、闇の中に溶けていく。
返事はなかった。それでも、ボクは延々と問いかける。
するとその時だった。今までの無反応が嘘のように、視界が開けた。
「ここ、は……?」
そこは、寂れた城の中。
調度品はどれも高価なものであると思われた。
それでも、どれも使い古されて所々が壊れてしまっている。
「――! 誰か、いるの!?」
瞬間、人の存在に気付いた。
その人はボクを見て、こう口にする。
『あぁ、カイル。こんなに大きくなったんだな』――と。
◆◇◆
「…………!?」
そこで目が覚めた。
全身に汗をかいている。しかし、それも気にならなかった。
それ以上に、ボクには大きな疑問があったから。胸に手を当てて、荒くなった呼吸を整えた。そして辿り着いたその答えを――。
「お父さん、なのか……?」
ゆっくりと、口にした。
それはレーナとレミア、二人の少女からもたらされた可能性。
ボクの父親は――。
「魔王――ギアン・スタンフォード」
そして、母親は……。
「女神――エレミア」
夢の中の優しい声の主を思い出し、頭を抱える。
どうやら、今日もすんなりとは眠れなさそうだった。
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