1.レーナの独白
――オレはきっと、もう壊れている。
そう思い始めたのは、いつからだろうか。
魔族の領域に足を踏み入れて少しした頃か、それとも四魔神として扱われるようになってからか。いいや、もしかしたらオレは最初から壊れていたのかもしれなかった。あの男との邂逅はそのキッカケに過ぎなくて、魔族としての『歪み』は常にあったのだから……。
オレは、魔族と眷属の間に生まれ落ちた。
両者の特性を兼ね備えた存在となったオレは、一言で表せば『歪んだ子』だった。魔族として根源を持ち、ヴァンパイアとして狭間の立場を持っている。
両親を恨む気持ちは、少ししかない。それでも言えるのは一つ、彼らの営みによって生み出されたオレは間違いなく、この世界の保有する『歪みの一部』を体現していた。
オレは、生まれ落ちてはならない命だった。
決して交わってはならない血。『世界の歪み』同士の交配など、考えただけでも怖気立ってしまう。だがオレこそがそれの実現であり、ある意味での証明でもあった。
この世界はおかしい。
この世界はもう、救いようがない。
どこへ行っても袋小路で、なにもかもが無力だった。
オレは四魔神となって、この『世界の構造』を知って、思わず自分を重ねた。そして同時に恐怖に震えたのだ。自分よりも頭のおかしい、狂気の沙汰があること。その事実に、吐き気さえ催したのだった。
誰がための世界なのか――いや、誰のためでもない。
魔族も、魔物も、人間も、ヴァンパイアも! すべては『奴ら』の手のひらの上で転がされているに過ぎないのだから。自由意思なんて、欠片も存在しなかった!
――誰か、助けて。
気付けばオレは、そう口にするようになっていた。
それは何に対してなのか。それは、誰に宛てたものなのか。
いつの間にか壊れていたオレにはもう、それが分からなくなっていた。
『だったら、どうせなら』――と。
オレは己の根源に身を委ねることにした。
その先になにがあるのか、それはまったく分からない。
だけど、きっと、少なくとも何もしないよりは、次につながると思った。
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「最弱魔族の俺が、追放されてから復讐するまで。~【ギフト】強奪を駆使して、最強となる~」
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